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13/26

13.ストロベリー侯爵は甘えたい。

 ラヴィーナさんを探すと決意した日の夜、私はイシドール様の部屋を訪れた。

 部屋の扉が静かに閉まり、イシドール様がソファに腰を下ろす。私はその対面に座るように勧められたけれど、どうにも落ち着かず、手を膝の上でぎゅっと握っていた。


 厚手のカーテンに覆われた窓の向こうは、すでに暗い。執務室の中は、ランプの明かりだけがぽうっと灯っていて、やたらと心音が響く気がする。


「……今日はずっと、何か言いたそうだったな」


 低く落ち着いた声。けれどその裏にあるのは、“気づかないふりをしてあげる”優しさじゃなかった。気づいたからこそ、見逃さなかった声だ。


 私は、思いきって唇を開いた。


「……ラヴィーナさんのことを、探したいんです」


 その瞬間、彼の瞳がわずかに揺れ動く。

 すぐに返答はなかった。でも急かさずに、私はゆっくりと待つ。


「どうしてだ?」


 静かな問いかけ。

 どうしてだか私は、少し怖くて身を震わせた。

 なにかを壊してしまうかもしれない──そんな予感がして。

 でも。


「シャロットの涙を見て、そう思ったんです。あんな悲しい顔、もう二度と見たくありません」


 声が、震える。けど、言葉は止めたくなかった。

 シャロットのために。


「私は、あの子に──母親と会わせてあげたい」


 イシドール様は目を伏せ、椅子の肘掛けに片肘をついて、指先で唇をなぞった。その姿に、理性と感情がぶつかっているのが見える。


「……探したことは、ある。だが、見つからなかった。いなくなった直後の話だが……」


 その言葉に、胸の奥がぎゅうっと苦しくなった。

 探してなかったんじゃない。見つからなかったんだ。どれほどの絶望と共に、それを諦めたんだろう。


「だが、レディア。仮に見つかったとして……彼女がシャロットに会いたくないと言ったら? 何も言わずに出て行ったラヴィーナが、ここに来るとは思えない」


 イシドール様の声は冷静で、どこか諦めのような響きを含んでいた。まるで、既にその答えを知っているみたいに。


 たしかに、それは現実的にあり得る話だと思う。何も言わずに消えたラヴィーナさんが、娘に会ってくれる保証なんてない。むしろ、拒まれる可能性の方が高いのかもしれない。


 ──それでも。


 私は唇をぎゅっと結び、ほんの少しだけ視線を落とす。気持ちを整えるために、拳を握った。


 たとえラヴィーナさんがこの屋敷には戻れなくても。少しでもシャロットに会いたいと思ってくれたなら、この場所じゃなくたって、会う方法はいくらでもある。


 本当に会えるかどうかは、今この瞬間に答えを出すことじゃないもの。


 今は、このまま何もしないでいることの方が、よっぽど怖い。

 シャロットはずっと泣いたまま……前に進めない。

 誰よりも、あの子のために。


「それでも、やっぱり……“知らないまま”ではいられないんです」


 私は思いを言葉に乗せる。


「それがどんな答えでも。ちゃんと、会って……気持ちを伝えなきゃ、きっと、あの子は“どうして”を抱えたまま大人になってしまう」


 ずっと、自分は捨てられたんだと思ってしまうかもしれない。母親に、愛されてなかったんだって。


 それが、どれほど残酷か──それを想像しただけで、胸が張り裂けそうになる。

 私のように、最初から愛されなかった子じゃないもの。

 あの子は……愛されていた。それは、シャロットを見ていればわかること。

 だから、捨てられたなんて思いを、少しでも抱かせるわけにはいかない。


 イシドール様はゆっくりと顔を上げて、私をまっすぐに見た。


 その瞳に浮かぶのは、疑いじゃない。

 迷いと、痛みと──それでもなお、誰かを信じたがっている、眼差し。


「……もし、シャロットが……俺ではなく、ラヴィーナを選べば、どうなる……っ」


 その言葉があまりに本音すぎて、胸がぎゅっと締めつけられた。

 イシドール様がこんな顔をするなんて、思ってもみなかったから。

 自信に満ちた人だと思ってた。常に前を見て、誰よりも堂々としてて、ブレなんてものとは無縁のように見えていたのに。


 でも、そうよね。

 イシドール様だって、お父さんなんだ。たったひとりで、女の子を育ててきたんだ。

 何度も悩んで、揺れて、怖くなって、それでもシャロットのためにって歩き続けてきて。

 その愛が、いまさら誰かに否定されるような気がして……怖いって、そう思ってしまうのも、当然じゃない。


 私はそっと、イシドール様の手の上に自分の手を置いた。

 その指は少し強張っていて、ぎゅっと拳を握る寸前みたいに力が入っていた。

 でも私の手に触れた瞬間、少しだけ、その熱が溶けていく。


「イシドール様……」


 静かに名前を呼ぶと、彼の目がゆっくり私を見た。

 不安を隠せない目。誰かに傷つけられるくらいなら、自分で先に壁を作ってしまうような、そんな目。


「それでも、私たちは、シャロットのために動くんですよね」


 私は言葉を選ぶように、ゆっくりと続ける。


「何があっても、どうなっても、彼女が自分で選べるように──そのために、動くんです。イシドール様を否定するためじゃない。ラヴィーナさんを正当化するためでもない。シャロットに、知る権利があるから。……それだけです」


 イシドール様は小さく瞬きをして、視線を落とした。


「……あの子に、知られたくないことも、ある」

「ありますね」


 私は即答した。人には、誰にも見せたくない部分がある。自分でも直視できない部分だってある。

 特に、イシドール様は……ラヴィーナさんに一目惚れして、求婚してしまった。侯爵からの縁談は断れないと、多分わかってて。

 だけどそれは仕方のないことだと思う。イシドール様は、自分の思いにまっすぐだっただけ。相手に想い人がいると知ってたら……きっと、引いていた。そういう人だから。


「でも、それも全部含めて。決めるのは、シャロットです」


 イシドール様の肩が、すこし震えた。たぶん、こらえてる。今にも崩れそうな気持ちを、どうにか支えてる。


 私は、もう一歩だけ近づいて、彼の肩に自分の額をそっと預けた。

 ぬくもりが、胸の奥にじんわりと広がっていく。


「大丈夫です。どんな結果になっても、私、ちゃんとそばにいますから。イシドール様も、シャロットも、ひとりにはしません」


 私の言葉に、イシドール様の呼吸が乱れたのが、わかった。

 彼の指が私の手を握り返してくれる。


 このぬくもりが、ちゃんと届いているならいい。

 完璧な正解なんてわからないけど、一緒に悩んで、一緒に進んでいけばいい。そう思えた。


 私たちはしばらく、黙ったまま手をつないでいた。

 その静けさは、ちっとも苦にならなくて。むしろ、ずっとこうしていたいと思ってしまうくらいで。


 しばらくして、イシドール様がそっと私の手を引いた。

 気づけば、彼のベッドの端に一緒に腰掛けていて、肩がほんのすこしだけ触れ合っていた。

 胸が、どきんと鳴る。


「……こんなふうに、誰かに弱音を吐いたのは、いつぶりだろうな」


 低くつぶやいた声は、どこか照れていて、でも少しだけあたたかい。

 その横顔を見上げると、私の心もあたたかくなる。どこまでも誠実で、不器用で、でもちゃんと人を大切にする人。


「たまには、甘えてくれてもいいんですよ?」

「君にか?」


 その顔は、少し困ったような、甘えるのが恥ずかしいような、そんな苦笑だった。


「私、けっこう頼りになるんです。……たぶん」


 イシドール様が小さく息を洩らした。

 笑ったのかな、と思って顔を向けたら、思ったよりも近くて、びっくりする。

 私の額と彼の額が、ほんの指一本ぶんくらいしか離れていなかった。


「……レディア」


 イシドール様の、甘い声。

 ……こんなベッドの上で、そんな声を出しちゃいます?

 今さらながら、緊張してきた。

 逃げるつもりなんてない、けど……

 私はまだ、シャロットに母親だと認められていない。

 もしかしたら、一生認められないかもしれない。

 そう思うと、胸が痛んで──


「本当に……君がそばにいてくれて、良かった」


 ……。

 私もです。

 私もなんです、イシドール様。


 シャロットがラヴィーナさんを選んだらどうしようって気持ちは……私も同じ。

 だから、あなたがいてくれることが、本当にありがたくて……嬉しくて。


 ああ、もうだめ。私は本当に、イシドール様が好きなんだなぁって。


 自分の気持ちを隠せなくなって、私はそっと、イシドール様の胸に顔をうずめた。

 その体は驚いたように固まったけれど、次の瞬間には、やさしく腕をまわしてくれる。


「私も、甘えていいですか……?」

「ああ。もちろんだ」


 私はイシドール様の胸にぎゅっと甘えた。


 シャロットは、私とラヴィーナさんだったら、きっとラヴィーナさんを選ぶから。

 本当の母親なんだもの。シャロットはママが大好きなんだもの。当然の話。


 でも……きっと、それでいいんだ。


 シャロットが、幸せなら、それで。


 そんな私の心を見透かしたように、イシドール様は私を強く抱きしめた。

 胸の鼓動が、私の耳に響く。

 一定じゃなくて、少し早くて、でもそれがなんだか愛おしい。


 ふいに、彼の指先が私の髪に触れた。そっと、耳の後ろをなぞるようにして、それから髪をすくうようにして、首筋にふれて。

 息が止まってしまう。


「……俺も、少しだけ」


 イシドール様の唇が、私の髪にそっと触れた。

 それだけなのに、全身がじわっと熱くなる。


「イシドール様……好きです……離れたく、ありません」

「それは……誘っているのか?」

「ふぇ!? ちがっ」


 そういう意味で言ったんじゃないですからっ!

 って、顔を上げたら視線がぶつかって……。


「──っ!」

「ッ!!?」


 あ、危ない!!

 もうほんの少しで、キスしちゃうところだった!!


 不意打ち過ぎたのか、イシドール様のお顔が赤くなってるんですけど……!


 イシドール様は口元に手を当てて、少し私から視線を外した。


「まったく……いい加減、待てないのだが……」

「す、す、すみません……」

「君が、魅力的すぎる」


 そんなこと言ってくれるの、イシドール様くらいですよ?

 でも……素直に、嬉しい。


「俺も、レディアを愛している。もしもシャロットがラヴィーナを選んでも……君は、俺と共にいてくてるか?」


 ストロベリー侯爵……。

 その答えに拒否なんて、するわけがないでしょう?


「もちろんです。どうか、ずっと……イシドール様のお傍にいさせてください……」

「……良かった」


 イシドール様は、心底安心した笑みを見せて、私の手を取ると──

 私の指に、何度も音を立ててキスを……っ!


「え、ちょ、唇以外ならキスしていいと思ってませんか!?」

「……だめなのか?」

「なんか……い、いやらしいです……っ」


 カァァッと音が出そうなほど顔が熱くなる。

 どうして平気なんですか、この人は!


「甘えさせてくれるんだろう?」

「……っ!」


 ずるい。こんな顔でそんなこと言うなんて、ずるい。


 でも、私は深呼吸して──さらに五回くらいして──言った。


「……まだ、シャロットのことで、きちんと答えを出してませんから」


 ぴた、とイシドール様の指へのキスが止まる。

 ふわりと距離ができたけど、その距離は冷たくない。


「……確かに。君の、そういうところが好きなんだろうな」

「えっ、真面目で面倒くさいところですか?」

「……ああ。実に面倒くさい」


 えっっ!!


 目を見開くと、イシドール様はふっと笑った。

 ああもう……! その顔、反則なんですってば……っ


「でも俺は、そんな君だから、惚れている」


 ……そんなこと言われたら、怒れませんけど……っ


「私も、イシドール様のそういうとこ、好きです。不器用で、ちょっとヘンテコで、やたらと色気まき散らしてくるところも」

「……君にしか見せていないはずだが」

「ふふ、知ってます。光栄です」


 こんなふうに笑い合えるのが、なんだか嬉しかった。

 さっきまで泣きそうだったのが嘘みたい。


「きっと私たち、大丈夫ですよ。十年後も、ずっとこんな感じで話してるんだろうなって、私思うんです」


 イシドール様が一瞬きょとんとして──次の瞬間、小さく笑った。


「……頼むから、十年後はキスくらいさせてくれ。これでも割と、我慢しているんだ」

「えっ、でも最初は私の気持ちを尊重するって、余裕でしたよね」

「もう割と余裕はない。君のせいだからな」

「ストップ! 待てですよ、イシドール様!」

「俺は犬か?」


 イシドール様の言葉に、私たちはぷっと吹き出した。

 笑いが収まると、イシドール様は目を細める。


「もう少しだけ、一緒にいてくれるか?」


 その声は低く、穏やかで、胸の奥に静かに染み込んでくるようで。

 私は、ゆっくりと頷いた。


「……はい。私も、もう少しだけ、こうしていたいです」


 私たちの間に、ぬくもりだけが残る。

 言葉よりも静かなこの時間が、かけがえのないものに思えた。


 誰かに選ばれること。選ばれないこと。

 まだ何も決まっていない未来のこと。


 けれど今は、こうして寄り添えることが、ただ嬉しくて。

 不安や寂しさを抱えていても、それを分け合える誰かがいるだけで、人はこんなにも救われる。


 イシドール様の胸に、もう一度そっと額を預ける。

 その手が、何も言わずに私の背を撫でた。


 あたたかかった。


 愛されているんだって、心から感じて。

 そして、愛する人が目の前にいることに、私は感謝した。

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