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【完結】血まみれシュレッダー1 〜戸塚結実の追憶〜  作者: ゆこさん
4章

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4章-7.相談(2) 2021.8.29

「他に、聞きたい事はありますカ? 普段色々聞くのを我慢しているのでしょウ? 今聞いてしまいなさイ」

「全部顔に出てるって事ですね……」

「えぇ。その通りでス。基本的にユミさんの事情を知っている私に対してであれば、何を聞いても問題になりませン。他の人間には安易に聞いてはいけないことであればその都度教えまス」

「了解です。えっと、じゃぁまず、プレイヤーのランクごとの人数みたいなものが気になります。ランクを言われても凄さがイマイチピンと来なくて……」


 シュンレイは少し考えている。ユミにも分かり易い言葉を選んでくれているのかもしれない。


「上から行きましょウ。SS+ランク。このプラスと言うのは唯一性を示します。測定不可能という意味もあります。最強と言っても良いでしょう。世の中に合計15人います。私も昔はプレイヤーだったので、私を含めれば16人になりまス」

「ザンゾーも?」

「えぇ。ザンゾーもSS+ランクでス。幻術を使った戦闘には歯が立たなかったでしょウ。私にもあの術を見破ることは出来ませんかラ。ザンゾーと殺し合いをして渡り合える可能性があるのは、同じSS+ランクの人間だけでス。とはいえ、このレベルになると、相性次第で勝敗が分かれるのデ、戦う前から結果が分かりまス。従っテ、基本的に殺し合いにはなりませン」

「むむむ……」


 イマイチ分からない。何故殺し合いにならないのだろうか。

 

「具体的に考えてみましょウ。ザンゾーは隠密や逃げが得意でス。私は物理攻撃が得意でス。また、私自体に幻術を入れることは困難でしょウ。ここで殺し合いをするとどうなると思いますカ?」

「どっちも死ななそう」

「えぇ。結果どちらも互いを殺せないでしょウ。私はザンゾーが仕掛けて来なければ攻撃を入れることが出来ませんシ、ザンゾーは分が悪くなれば逃げることが出来まス。ザンゾーも私を殺すためには、幻術だけでは不十分なので物理攻撃をしなければなりませン。しかし、物理攻撃をされれば私は確実にカウンターを決めまス。従ってザンゾーは私に攻撃できないでしょウ。故に決着がつかないので殺し合いにはなりませン」

「成程……」

「どんな相手にも通じる固有性を持っている事が、ランクに『+』が付く要因となります」


 シュンレイを含めてたった16人しかいないというSS+ランクプレイヤーだが、自身の周りに2人いるというのは特殊な環境なのではないだろうか。


「SS+ランクプレイヤーはプレイヤー間ではとても有名人でス。ランクを重要視しているプレイヤーであれば、名前くらいは知っているレベルでス。この辺で動いているSS+ランクのプレイヤーで押さえておくべきは、六色家(ロクシキケ)の当主ジョード、六色家の赤の当主ザクロ、六色家黒の当主ザンゾー、崋山家(カザンケ)のスイレン、暗器使いのバクですね。あまり表には出てきませんが他には、鞭使いのラック、大鎌使いのシャレコウベ、律鳴家(リツメイケ)のフィーネあたりでしょうカ」

「六色家に沢山いる……」

「えぇ。六色家は非常に大きな組織でス。10年前はそれこそ最強の一族と言われるほどで、各色の当主と合わせて計7人SS+ランクの人間がいましたかラ。幻術自体が優位性を持ちやすいという特性もありますガ、単純に彼らは強イ。そういう家でス」


 自分が想像していたよりずっとザンゾーは凄い人だったのかもしれない。


「ですので、ユミさんが六色家から生きて帰って来られたことは本当に奇跡でス。SS+ランクの人間に襲われた時点で絶望的ですかラ」

「確かに……。その話を聞くと奇跡ですね。シュンレイさんに見つけて貰えなかったら、私は生きてなかったです」

「いえ、確かに私は助けには行きましたが……。私が到着した時には、既にユミさんは自力で生き延びていましタ。要するに、私はただアナタを連れて帰ったに過ぎませン。ユミさんは、自身の力で生き延びたと言えまス。故に、アナタは誇って良イ……」

「えへへ。頑張って良かったです!」


 あの時諦めずに生き延びる選択をして良かったなと改めて思う。またここへ帰って来られて本当に良かった。


「次にSSランクについてでス。現在世の中に38人いまス。対プレイヤーの戦闘に対しテ優位かどうかが、下位のSランクとの差になりまス。プレイヤー同士の殺し合いで一定の成績がないと、SSランクにはなれませン。アヤメさんや、先日会ったアイル等がSSランクです。戦闘力で言えば、SS+ランクにはどうやっても勝てませんガ、Sランクプレイヤー以下に対しては一方的な戦闘ができるレベルでス。SSランクプレイヤーも、プレイヤー間から恐れられル部類になりますのデ、プレイヤーの間では有名人でス。店に登録はされていませんガ、戦闘レベルだけで言えばフクジュもSSランクでしょウ」

「私の周りには凄い人が沢山ですね」

「えぇ。ここには異常に集まってしまっていまス。平均の感覚を捉えるのは難しいかもしれませン」


 SSランクですら38人しかいないという。非常に少ないと感じてしまう。もっといるものだと思っていたが、たまたま自身の周りに沢山集まっていただけのようだ。


「次にSランクですガ、この辺りから正確な人数の把握が出来ませン。100から150人程度でス。依頼を着実にこなせバ、特殊な技などなくても辿り着けるランクになりまス。また、Sランクからの依頼内容は、それなりに戦闘ができル人間を処理しなければならないような内容になってきまス。当然プレイヤーがターゲットになる場合もありまス。任務中に亡くなル人間も多いため、常に人間が入れ替わっていまス」


 Sランクのプレイヤーが請け負う仕事となれば、危険度が跳ね上がるのだろうなと感じる。ユミは、Bランクの仕事を一人で行った経験と、アヤメと一緒にSSランクの仕事を行った経験しかない。

 間のランクの仕事がどのような物かあまり想像できないが、一方的に殺戮できるわけではなく、殺し合いがメインになるのかもしれないと想像する。

 

「また、多くのプレイヤーがこのSランクで頭打ちの状態になりまス。SSランクになルためには他のプレイヤーより優れル必要があるため、SSランクとの差は大きいと言えまス。身近な所だと、シエスタがSランクでス。ユミさんも戦闘の実力だけで言えばSランクで申し分ないでしょウ」

「ふぇ!?」


 突然自分の名前がでてきた事に驚く。


「システム上は、見習いプレイヤーなのでBランクですが、今後独り立ちして一定量の依頼をこなせば、躓く事無く直ぐにSランクになれると私は見ていまス。対プレイヤーの仕事となっても問題ないでしょウ。先日アイルと手合わせした様子を見ても、格上に対してあそこまでやれるのですかラ、Sランクの中でもすぐに上位に行けるでしょウ」


 アヤメの背中が少し見えてきた気がした。兄弟子であるアイルもSSランクだと言うのだ。自分もその領域まで到達したい。


「Aランク以下Gランクまでに関しては、非常に沢山いまス。さすがに把握は出来ませン。この辺りのランクは仕事の達成率やこなした数で常に変動しまス。失敗しなければ下がりませんガ、簡単な物だけやっていても上がりませン。ランクが上がるかどうかは店主の匙加減で決まる部分が大きいのデ、割と適当でス」

 

 そこが適当でいいのかと、不安になる。恐らくシュンレイならば、その辺りは適正に判断して適当になんてやらないだろう。しかし、他の店の場合はそうではないのだろうと想像する。やはり、仲が良いとか、そいう言った人間関係も込みでランクが上下するのかもしれないと想像する。


「Bランクあたりからプレイヤーとしての戦闘能力が見られ始めまス。仕事の出来から、戦闘の実力が十分でないと店主に判断されれば、昇格チャンスのある仕事は回してもらえなくなるため、当然プレイヤーランクも上がりませン。店主に認められないと永遠にBやCランクという状況になりまス。なので、なんとなく想像できるとは思いますが、B、C、Dランク辺りのプレイヤーにとってランクの話はタブーでス」


 前にランクの話はセンシティブな話題だと聞いていたが、今の説明でしっくりきた。実力があっても店主に気に入られなければ上がらず、難しい問題なのだろう。店主のご機嫌を取らなければならないのかもしれない。そう考えれば、悩む人は多そうだなと想像がつく。


「また、Aランクの仕事とBランクの仕事では報酬も大きく変わってきますかラ、余計センシティブな話題になるでしょウ。野良のプレイヤー達は生計を立てるため、何とか店主に認められてAランクを目指そうとするところがありまス。依頼を受ける店を変えて相性の良い店主に出会えれば一気にランクを上げられるプレイヤーもいますシ、この辺りはランクと強さが必ずしも一致しないため、難しいでス。こんな所でしょうカ」

「ありがとうございます。どれくらい周りの人が凄いのかが分かりました」


 何となく感覚が掴めた気がする。自分がどのくらいのレベルのなのかも分かり自信が持てた。この社会でも自分はやって行けそうだと思うと一安心である。

 おそらく、呪詛による身体強化によって格段に身体能力が上がったからこそ通用したのだろう。呪詛のせいで一般人ではなくなってしまったわけではあるが、せめてこの裏社会でも生きていける状態であって良かったと思う。

 また、自分に目標も出来た。いつかはSSランクになりたいと思う。道のりは険しそうだが、周りの人達に追いつきたい。目標が明確になり、その思いが一層強くなった。

 今このタイミングでランクの話をシュンレイに聞けた事は、大きいなと感じた。

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