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女の子ひろいました!  作者: 武藤かんぬき


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32――みやが遊びに来た

いつもブックマークと評価、誤字報告ありがとうございます。

ただ私がみやにミーナを可愛がって欲しかったという、休憩回です。

 

「へぇ、そんなことになっていたのね」


 明治神宮で魔力を補充してから数日、みやがおうちに遊びに来た。ミーナを拾った当初に会った時はそれほどミーナに興味はなさそうだったのに、今日はミーナを膝の上に載せている。


 時々頭をはじめとして色々なところを撫で回されているミーナは、居心地が悪そうに身を捩っていた。まぁ暴力振るわれている訳ではないし、大学の友達に構われまくっていた時もこんな感じだったから静かに見守っていよう。ミーナが女の子の自覚を持つ手助けになるかもしれないし、もし自覚が持てなくても女の子に慣れるぐらいはするかもしれないよね。


「本当に祈りが魔力に変換されるなら、神社なくても寺でもいけそうよね」


「キリスト教とか? でも、そこまで古い教会とかはなさそう」


 みやの推理に乗ってはみたものの、わざわざキリスト教とかイスラム教とか、海外で主流の宗教の施設を選ぶ必要はないんだよね。この間の明治神宮でもミーナの話だと、回復のためにもらった魔力は誤差の範囲だって言ってたし。


 地味に使用頻度が高い翻訳魔法も、一週間も使いっぱなしにすれば残りの魔力はかなり少なくなるらしい。ミーナも保育園に通ってコミュニケーションを取る相手が増えれば、日本語も上手になるだろうし翻訳魔法を使う機会も減ってくるんじゃないかな。でも、ミーナとしてはいざという時のために魔力の残量をなるべく満タンにしておきたいらしいので、近くに回復できるスポットがあるのはありがたいんじゃないかな。この間行った感じだと、散歩コースとしても良かったからね。


「それにしても、みや。今日はミーナをずいぶん構い倒すね、この間はそっけなかったのに」


「いや、あの時はミーナちゃんも精神的に余裕なかったでしょ。しばらく会ってないうちにふっくらして可愛くなってるし、髪もサラサラだし。これは可愛がらないとって思ったのよ」


 知ってる、可愛いもの好きだもんね。ミーナにとってはいい迷惑だろうけれど、これも私の義妹になる洗礼だと思って我慢して受け入れて欲しい。みやはこんな風に気が向いたら私の家に遊びに来るから、仲良くなった方がミーナも気を使わずに済むからいいよね。


「お兄ちゃん達もミーナちゃんにメロメロなんじゃないの? 佐奈的には、ちょっと寂しかったりするんじゃない?」


「それがねぇ、この間の帰省では真ん中のお兄ちゃんにしか会わなかったんだけど、ミーナを放置して私ばっかりに構ってくるんだよ。こんなに可愛いミーナをほったらかしにするなんて、私としては信じられないんだけど」


「……シスコンだからねぇ、佐奈のお兄ちゃん達。私も佐奈の幼なじみで親友だから優しくしてもらってたけど、そうじゃなかったらものすごい塩対応だったんだろうなって思う時があるもん」


 うちの兄は顔もそこそこいいと思うし優しいしモテる要素は備えてると思うんだけど、私以外の女性には本当に素っ気ない。ふたりとも彼女は何人かいたはずなんだけどね、いつの間にか別れていてびっくりしたことが何度かあった。


 んん? もしかして兄達もみやと同じように、ミーナが今は他所の子だから遠慮して可愛がらないようにしているのかもしれない。それが正解だとしたら、養子縁組した後のミーナが兄達にもみくちゃにされるのは多分間違いないだろう。ミーナのストレス軽減のためになるべく帰省しないようにして、できる限り守ってあげなくちゃね。


 それからしばらく他愛のない話をして、夕方になったらみやはバイトがあるからと帰っていった。お手洗い以外はずっと静かにみやにお膝抱っこされていたミーナは、ようやく解放されてぐったりとしている。『お疲れ様、ミーナ』と労りの声を掛けながら頭をポンポンと撫でた。何故助けてくれなかったのかとほっぺを膨らませて抗議してきたミーナだったけれど、私は好き勝手にミーナの事を撫で回してるのに、みやはダメなんて子供じみた事は言えないでしょ。ごめんね、と謝りながら言い訳みたいにそう言うと、ミーナはぐぬぬと不満そうに歯噛みしながら矛を収めてくれた。


 正直なところ、チョロすぎてかなり心配になる。変な人……特に変態な男の人に騙されて、連れ去られたりしないだろうか。ミーナには自衛のための魔法もあるし普通の状態なら安心だけど、意識を失ったりして魔法が使えない状況に陥ったら、その辺の子供と何ら変わらないもんね。夏休み明けから通う保育園でも教えてくれるだろうけれど、私からもちゃんと知らない人に付いていかないだとか、食べ物をもらっちゃいけないとか基本的なことを教えてあげなきゃね。


「ミーナ、今日はお疲れ様の意味をこめて、夕ごはんの後にプリン食べようか」


 とりあえずそういう教育はまた明日からにして、頑張ったミーナにご褒美をあげよう。私がそう言うと、ミーナはプリンという単語に大きな瞳をキラキラと輝かせてコクコクと頷いた。


 子供になったからなのか、それとも元から甘いものが好きなのか。ミーナのキラキラ笑顔には本当に癒されるし、可能な限りおいしいお菓子を食べさせ続けたくなる。でも太らせすぎたら健康にもよくないし、体重は標準まで増やさないといけないけど、その辺りの調整はちゃんとしておかないと。


 世のお母さん方は大変だなぁと思いつつ、私はソファーから起き上がるとご飯の支度をしにキッチンへと向かうのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] みやさんに構われまくってもミーナは大人しく受け入れてたんですね。 抵抗しても無駄だと割り切ってたのでしょうか? プリンで御機嫌取れるチョロさが、佐奈さんにより女の子扱いさせているのではない…
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