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( 27 )聖女さまの登場

セレナの母親である王妃さまは、ご機嫌が悪い。このテムプルム神殿にまで、噂が広がってしまったからだ。


町の皆が、お祝いを言いに来る。



「聖女さま。ご結婚は、何時ですか?」



話にオマケが付いてラブストーリーのヒロインとなってしまっているセレナ。

今や、命がけで死神から恋人の命を取り戻した英雄でした。



「セレナさん、どういう事なのですか?何時から、王子とお付き合いを?どうして、私が知らないの!」



要するに、娘の恋に関わっていない事への不満らしい。セレナは、どうしていいのか分からないのに。



(結婚だなんて、プロポーズもされてないのよ。付き合ってもないじゃない!)



マルガリータ姫とは婚約解消してたみたいだから、良かった。そうでなかったら、王妃さまは怒り狂ってただろう。二股されたと。




(私は、デートもしてないし。手を繋いだ事も無いんだから!手を?いやー、恥ずかしいー。)



変、とっても変。この前までは、近寄られるだけで震えがきたのに。すっごく、怖かったんだから。


なのに、あの第2王子と手を触れると考えただけで息苦しくなるの。心臓がバクバクし出す。何かの病気かも。




「セレナさん、顔が赤いわ。息も辛いし、熱でも?」

「お母様、なんでもありません。元気です、ほら?私、仕事がありますから失礼します!」




慌てたウサギは、逃げ出した。自分の気持ちが分からない。


アグアニエベの頼みを引き受けなければ良かった。第2王子の葬儀になんて行かなければ。




『・・私としては、ウサギみたいに目を赤くしている君が気になる』




やめて、囁くのは。第2王子の言葉が消えてくれない。耳の奥で忘れるなというように繰り返す。


ウサギの心臓は、怖くてたまらない。近寄られないようにしていたオオカミに、近寄りたくなるのが。



(では、キューピッドの悪魔の出番ですねー。アグアニエベ、参上!)



アグアニエベは、にんまりとしてテムプルム神殿に降り立つ。これも、人助けでしょう。




「セレナさん、大変です。スタンレー国にモンスターが侵入して暴れてます!(私がカカ国に放しましたけど)」

「驚かせないで、アグアニエベさん。何処から入って来るのよ。受け付けを通して。」




感情の起伏の激しい乙女に悪魔は平気。追い返そうとされても、ひるまない。




「いいんですか、スタンレー国ですよ。第2王子の国ですよ?」

「モンスターくらい、退治できるわ。あの国の兵士は強いから。剛金モンスターは居ないし。私には、関係ないの。」

「ありますよ、剛金モンスターだから。」

「え?どうして、スタンレー国に剛金モンスターが?」

「カカ国が餌を撒いて、スタンレー国へ追い込みましたから。ジョセフィーヌ王女の命令で。」




セレナは、唖然とする。そんな事をするのか、自分と血の繋がってる王女が。信じられない。


悪魔は、もっと押してみる。



「内緒ですけどね、秘密のお話ですが。ジョセフィーヌ王女が、第2王子を殺したんですよ。呪いかけて。」



セレナは、アグアニエベを睨んだ。




「そんな話、嘘だったら許さないから。本当なの?」

「嘘なわけないでしょ。私は、地獄まで王子の魂を取り戻しに行って来ました。命かけてますから!(簡単に行けますが)」

「どうして、王女が第2王子を殺すのよ。理由が無いわ。」

「あります。婚約を断られたからです。」

「婚約?」

「ジョセフィーヌ王女は、イケメン大好き。近隣のイケメン王子に申し込んで、断った王子たちを魔法使いに殺させてましたよ。」




セレナは、身を震わせて言った。



「分かった。直ぐに、モンスターの居る場所へ案内して!」



バリバリと怒りのオーラがセレナを取り巻いていた。感情に支配されて、悪魔が嬉しそうな顔をしているのに気がついていない。










こちらは、スタンレー王国。突然のモンスターの襲撃を受けた村。モンスターに畑や家を壊されています。


逃げ惑う村人たち。兵士が駆け付けましたが、剣が刺さらない改造された剛金モンスター。手が出せません。



「もう、駄目だ。逃げるしかない!」



誰もが諦めた時、空から差した一筋の光。光の中を降りて来た薄桃色のドレスの娘。


女神か天使なのか。勇敢にも兵士が逃げ出したモンスターの前に立つ。



「お前たちね、暴れてるのは。今日の私は気分が悪いの。バラバラにするから!」



女神にしては荒い口調。だけど、右手を差し上げると、閃光を放つ。

光が消えた後には、バラバラになったモンスターが何体も転がっていたのだ。



「助かったーー!」



あっという間に退治した剛金モンスターたち。側に立った銀髪の男が何か言っている。



「聖女さま(必要の無い大きな声)!!村が酷い事に、元の姿に戻して差し上げませんと。皆さんが可哀想ですよ。」



それを聞いた娘は、胸の前で手を合わせて念じた。村のあちこちで、爆発音が響く。戸惑いながら眺めていた人々は歓声を上げた。




「家が、家が、元に戻ってく!」

「畑が、元に戻ったぞ!」




こんな事は見た事が無い。壊された村が、何も無かったように元の姿に復元されていた。


畑では、実った野菜が信じられない大きさに育っていく。あの強い魔力の娘は誰なのだ。本当に聖女なのか。


娘は消え去り、村人は残っていた銀髪の男に聞いてみた。




「もし、あの方は誰なのか教えてくださいませんか?」

「あの方は、テムプルム神殿の聖女さまでございます。」




この事で、またまた、噂は広がった。聖女の評判は上がったのだった。









1度は死んだ第2王子カエルレウム。生き返ったのは良いが、スタンレー王国の王様に悩みを与えてしまった。




「聖女さまが、モンスターを退治してスタンレー国を救って下さったそうだ。」

「その後、壊された村の家や畑を元に戻したとか。素晴らしい力じゃないか。」

「第2王子とお付き合いされてるのなら、結婚して頂かないと。」

「聖女さまが王家に入られたら、この国は安心だ!」




第2王子が言うには、交際していないとか。結婚以前の問題だ。おまけに、第2王子は女癖が悪い。父親から、お勧めできない。


だが、国民が要望しているのだ。腹を決めよう。王様は第2王子を見舞った。



「王子カエルレウムよ、命令だ。テムプルムの聖女と結婚するのだ。何としてもな!」



第2王子は、喜んで受けた。もとより、本心から妻にしたいと思っている。セレナ以外の女性は、考えられない。










そのセレナはというと、実はカカ国に来ていた。そして、城のある町の壁に貼られた似顔絵を見入ってしまう。関係のある物だからだ。



「下手くそ、こんな顔じゃないわよ!」



それは、重罪の指名手配だった。罪状は、追放処分となった元カカ国の王女セレナ。カカ国に侵入して、フィリップス王子を誘拐罪。


誘拐なんかしてません。フィリップスは喜んで一緒に来ました。



「魔法よ、町中の似顔絵を可愛くしてーー。」



魔法で、とても可愛くなりました。満足したセレナは、次に城門へ飛ぶ。突然、出現した絹のドレス姿の貴族の娘に門番は驚いた。



「何だ、あんたは?」



セレナは、指名手配の似顔絵を見せた。



「私が、このセレナよ。王位継承の再試合をしたいの。王さまに伝えて。」



門番は、関わりになりたくないと無視。セレナは顎を上げて、門に足を入れた。門番が止めようとするが、触れる事も出来ない。


カカ国の城へ押し入ったのでした。


少しだけ記憶にある城の中。城の奥に進み、新しい側女とイチャイチャ中の王の部屋に踏み込む。



「お久しぶり、お父さん。ジョセフィーヌと再試合しに来たの。よろしくね!」



たまげた王さまは叫んだ。兵士を呼んで連れだそうとするが、皆がぶっ飛ばされてしまう。

お抱えの魔法使いを呼んでも役に立たない。


誰も手を出せないと分かると、次には怖くなる王さま。望みを叶えて帰ってもらいたい。だから、娘のジョセフィーヌ王女を呼んだ。



「お父さま、何なの。私、パーティーやってるのよ。邪魔しないでよー。あんた、誰?」



お酒を飲んで真っ赤な顔をしたジョセフィーヌ王女は、待っていた姉を見た。

セレナは、挨拶をする。相手は挨拶を返さなかったけど。礼儀を知らないわ。


だったら、さっさと済ませましょう。



「じゃ、継承権試合をもう一度やって。」



嫌だと言われてしまう。そんな事、許さない。やれと言ってるんだから、やりなさい。



「あんたなんか、私の魔法で潰してやるわ。私は、次の王になるジョセフィーヌよ。強いんだから、ひっくー(酔ってる)。」



ジョセフィーヌは、魔法でセレナを攻撃した。それは、セレナに当たらず、鼻で笑われてしまう。


セレナの指一本でジョセフィーヌは、ポテッと倒れるのだ。



「再試合しないと、城ごと吹き飛ばすわよ。いいの?」



ふつふつと沸き上がるセレナの怒り。継承権試合の時は痺れ薬を飲ませてくれて。モンスターをスタンレー国へ追い込んだし。第2王子を殺すなんてするし。



ガタガタガタガターー。



音を立てて城が揺れ動く。本当に壊す気だ。王さまは、怖い。望みを叶えて帰ってもらいたい。



「分かった、再試合しろ。ジョセフィーヌ、早く!」



という事で、あっさりと再試合が決定。









城の広場には、今日は見物の貴族たちは居ない。忘れもしない。この場所でジョセフィーヌに殺されそうになった。


あの時と同じく、セレナ対ジョセフィーヌプラス魔法使いグループの対決。ジョセフィーヌは、震えていた。酔いも冷めてしまっている。



「こいつ、強いわ。私、負けちゃうじゃない。あんたたち、退治できなかったら首をはねるわよ!」



自分の実力が無いのを棚の上に上げて、勝手な王女です。一斉に攻撃開始。魔法の弾の中で、セレナは立っている。無傷で。



バンバンバンバン、バンバンーー!



聖女の片腕が払い退けると、一斉に飛んでいく。隙あらば襲うつもりの兵士も。悪賢い王さまです。


セレナの記憶に何かが触れた。あれは、誰の声だったの?




『この子を殺すなら、私を先にしなさい!』




女の声が、叫んでいた。痺れ薬をもられ大怪我をさせられて、意識の無くなりかけたセレナの耳に聞こえた声。


テムプルム神殿の穴に落ちた時、セレナに蘇った記憶。名前を呼ばれたよに思えた。誰かの叫ぶ声。



『お妃さま。これは、試合なんです。真剣勝負で死ぬ事だって、あるでしょ。どいてくれないと、お妃さまも危ないですよ。ジョセフィーヌは、強いもん。』



ニタリと笑う側女の娘に脅されても、お妃さまはセレナを庇うように抱きしめて離さなかった。


そうでなければ、殺されていただろう。邪魔者は、消したかったのだ。



(お母さまが、助けてくれたんだ。知らなかった!)



どうして、言わなかったんだろう?

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