( 20 )お待ちしていました
名前を呼びながら、第2王子は穴に飛び込もうした。それを付き人や兵士が止める。
「お止め下さい、王子さま!」
「セレナが、落ちたんだ。助けに行かなくては。」
「危険です、避難しましょうー。」
「私は、セレナを助けに行く。離せ!」
皆で飛び込もうとする王子を捕まえて広間から出る。引きずられながら、王子は床に空いていた穴が消え去るのを見た。
「セレナーー!」
セレナが戻って来ないかもしれないと考えただけで、どうしょうもない不安に震えた。
穴に落ちたセレナは、名前を呼ばれたよに思えた。誰かの叫ぶ声が、聞こえる。それは、声高に宣言していた。
『この子を殺すのなら、私を先にしなさい!』
強い決意に満ちた声だった。それが誰なのかを確かめたかったが、目が開かない。重たくて。
柔らかい手が優しくセレナを抱いた。その温もりにホッと息をつく。怖かったからだ。
(私、怖がりなの。乳母は、ウサギの心臓だからと言ってたわ。試合なんて嫌だったのよ!)
どうして、血の繋がった妹と闘わないといけないの。王様なんて、なりたいわけじゃないのに。
優しい人は、ぎゅっと抱きしめてくれた。その後、意識が無くなったのだ。誰かも分からないまま。
氷の塊となったセレナを黒い羽を持った悪魔が救い出す。夢を見ていたセレナは、現実と夢の区別がつかないようだ。
フフッと、悪魔はおかしそうに笑っている。
「あ・・、アニ何とかの霙さんだ。」
「はい、何とかのオジサンですよ。ほら、目を覚まして。」
「起きてますってば。」
「ダメだ、こっちに来る。また、後で。」
助けに来たアニアグエベだが、やって来る魔力の気配に姿を消した。
意識の朦朧としているセレナを連れての戦いは不利だと判断したのだ。
おまけに、ここは、敵の陣地。向こうの思いのまま。動きようが無い。
ガンガン、ガンガンガッシャーン!
石積みの壁が形を変えて入り口が開いた。そこから、セレナを襲った大蛇が現れる。鎌首を持ち上げて、辺りを見回した。
アグアニエベの気配を感じたのだろう。セレナは慌てて壁まで逃げた。
「来ないで。蛇は好きじゃないの!」
「これは、失礼いたしました。ですが、この神殿を守る神獣なのです。お許しください。」
「こっちへ、来させないでよ。あっちへ行って。」
「これ以上は、近寄りません。ご安心ください。聖女さま。」
おかしな事を言う。セレナが、「聖女さま」と勘違いしているのだ。
『私は、疲れました。待つ事に。だから、誰でも良いから渡す事を決めたのです。』
ちょっと、ムッとする話。誰でもいいからって、何?それが私なら、もう少し言い方があると思うの。
あなたをお待ちしていましたかとかねえ。
目の前に現れた光の人は、うなだれて言う。
『ここは、神への愛情で満たされていました。まさか、見捨てて行くとは。想像もしなかった。』
何故だろう。セレナの胸に辛い気持ちが入ってくるみたい。心がリンクした感じだ。そして、頭の中に、賑やかな神殿の映像が浮かぶ。
ある日、神殿を守ってきた王が別の神殿を建てた。自分が神だと宣言したのだ。
『そんな事、誰も信用しないと思っていたのです。神殿の聖女も巫女たちも。裏切られました。ここへ来る人は、1人も居なくなったのです。』
見捨てられた神殿は荒れ果てて、蔦や雑草が蔓延り木が覆い消え去った。
『長い時を託す者を待っていましたが、現れませんでした。だから、遺産を聖女さまにお渡しする事に決めました。お受け取りください。』
なんだか、勝手に決めてるみたい。聞いてみたら、可哀想な話だけど。私は、聖女なんかじゃないし。
「あの、私は違うの。そんなんじゃないの。石ころセレナとか呼ばれてるし。」
あら、返事が無い。どうしたの?
ドドーーンッ!
セレナは、身体に衝撃を受けて倒れ込む。何が当たったのだろう。モンスターに直撃されたよな身体の痛み。
「痛っーー、たっ!」
どうしょう、起き上がれない。手足を動かしただけで、痛さが増す。どうしたの、私?
聞き慣れた声が、上からする。
「あ、その声。きっと、雫!」
「呼び捨てですか、いいですけど。」
「ねえ、オジサン?」
「はい、何ですか?」
「私、まずいの。起きれない。」
「でしょうねえ。」
「えっ?」
「だって、聖女の魔力の遺産を頂いちゃったし。相当な力ですよ。」
ええー、いらないのに。そんなもの、必要ないのに。使ってない魔力もあるのに、どうするるのよ!
「痛みが引くまで、何日かは寝てないといけませんね。その間、新しい魔力を予備のポケットを作って入れる。ですか。」
「そうね、そうするしか。何で、魔力を身体の中のポケットに隠してるを知ってるの?」
「私には、何でも分かる。神さまと親しいからね。」
信じられない、神さまと親しいとか言うオジサン。セレナは、お愛想笑いをした。
「セレナさん。早く、新しいポケットを作って魔力を整理して下さい。ここを出ますよ。」
「え、出る?私、動けないんだけど。」
「神殿の結界が失くなったので、モンスターが入って来るでしょう。今まで入れ無かったから、暴れ放題でしょう。きっと。」
「モンスター?やる、やるから。すぐに!」
仕方ありません。この状態では、モンスターと戦えないから。贈り物なんか、必要なかったのに!
名前を呼びながら、第2王子は穴に飛び込もうした。それを付き人や兵士が止める。
「お止め下さい、王子さま!」
「セレナが、落ちたんだ。助けに行かなくては。」
「危険です、避難しましょうー。」
「私は、セレナを助けに行く。離せ!」
皆で飛び込もうとする王子を捕まえて広間から出る。引きずられながら、王子は床に空いていた穴が消え去るのを見た。
「セレナーー!」
セレナが戻って来ないかもしれないと考えただけで、どうしようもない不安に震えた。
穴に落ちたセレナは、名前を呼ばれたように思えた。誰かの叫ぶ声が、聞こえる。それは、声高に宣言していた。
『この子を殺すのなら、私を先にしなさい!』
強い決意に満ちた声だった。それが誰なのかを確かめたかったが、目が開かない。重たくて。
柔らかい手が優しくセレナを抱いた。その温もりにホッと息をつく。怖かったからだ。
(私、怖がりなの。乳母は、ウサギの心臓だからと言ってたわ。試合なんて嫌だったのよ!)
どうして、血の繋がった妹と闘わないといけないの。王様なんて、なりたいわけじゃないのに。
優しい人は、ぎゅっと抱きしめてくれた。その後、意識が無くなったのだ。誰かも分からないまま。
氷の塊となったセレナを黒い羽を持った悪魔が救い出す。夢を見ていたセレナは、現実と夢の区別がつかないようだ。
フフッと、悪魔はおかしそうに笑っている。
「あ・・、アニ何とかの霙さんだ。」
「はい、何とかのオジサンですよ。ほら、目を覚まして。」
「起きてますってば。」
「ダメだ、こっちに来る。また、後で。」
助けに来たアニアグエベだが、やって来る魔力の気配に姿を消した。
意識の朦朧としているセレナを連れての戦いは不利だと判断したのだ。
おまけに、ここは、敵の陣地。向こうの思いのまま。動きようが無い。
ガンガン、ガンガンガッシャーン!
石積みの壁が形を変えて入り口が開いた。そこから、セレナを襲った大蛇が現れる。鎌首を持ち上げて、辺りを見回した。
アグアニエベの気配を感じたのだろう。セレナは慌てて壁まで逃げた。
「来ないで。蛇は好きじゃないの!」
「これは、失礼いたしました。ですが、この神殿を守る神獣なのです。お許しください。」
「こっちへ、来させないでよ。あっちへ行って。」
「これ以上は、近寄りません。ご安心ください。聖女さま。」
おかしな事を言う。セレナが、「聖女さま」と勘違いしているのだ。
『私は、疲れました。待つ事に。だから、誰でも良いから渡す事を決めたのです。』
ちょっと、ムッとする話。誰でもいいからって、何?それが私なら、もう少し言い方があると思うの。
あなたをお待ちしていましたかとかねえ。
目の前に現れた光の人は、うなだれて言う。
『ここは、神への愛情で満たされていました。まさか、見捨てて行くとは。想像もしなかった。』
何故だろう。セレナの胸に辛い気持ちが入ってくるみたい。心がリンクした感じだ。そして、頭の中に、賑やかな神殿の映像が浮かぶ。
ある日、神殿を守ってきた王が別の神殿を建てた。自分が神だと宣言したのだ。
『そんな事、誰も信用しないと思っていたのです。神殿の聖女も巫女たちも。裏切られました。ここへ来る人は、1人も居なくなったのです。』
見捨てられた神殿は荒れ果てて、蔦や雑草が蔓延り木が覆い消え去った。
『長い時を託す者を待っていましたが、現れませんでした。だから、遺産を聖女さまにお渡しする事に決めました。お受け取りください。』
なんだか、勝手に決めてるみたい。聞いてみたら、可哀想な話だけど。私は、聖女なんかじゃないし。
「あの、私は違うの。そんなんじゃないの。石ころセレナとか呼ばれてるし。」
あら、返事が無い。どうしたの?
ドドーーンッ!
セレナは、身体に衝撃を受けて倒れ込む。何が当たったのだろう。モンスターに直撃されたような身体の痛み。
「痛っーー、たっ!」
どうしょう、起き上がれない。手足を動かしただけで、痛さが増す。どうしたの、私?
聞き慣れた声が、上からする。
「あ、その声。きっと、雫!」
「呼び捨てですか、いいですけど。」
「ねえ、オジサン?」
「はい、何ですか?」
「私、まずいの。起きれない。」
「でしょうねえ。」
「えっ?」
「だって、聖女の魔力の遺産を頂いちゃったし。相当な力ですよ。」
ええー、いらないのに。そんなもの、必要ないのに。使ってない魔力もあるのに、どうするるのよ!
「痛みが引くまで、何日かは寝てないといけませんね。その間、新しい魔力を予備のポケットを作って入れる。ですか。」
「そうね、そうするしか。何で、魔力を身体の中のポケットに隠してるを知ってるの?」
「私には、何でも分かる。神さまと親しいからね。」
信じられない、神さまと親しいとか言うオジサン。セレナは、お愛想笑いをした。
「セレナさん。早く、新しいポケットを作って魔力を整理して下さい。ここを出ますよ。」
「え、出る?私、動けないんだけど。」
「神殿の結界が失くなったので、モンスターが入って来るでしょう。今まで入れ無かったから、暴れ放題でしょう。きっと。」
「モンスター?やる、やるから。すぐに!」
仕方ありません。この状態では、モンスターと戦えないから。贈り物なんか、必要なかったのに!




