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( 17 )あの人が変なんです

慣れない馬車に座っているのは、疲れる。揺れる馬車の旅に、セレナの足腰が痛み出した。




(あいつと一緒に居るより、歩いた方がマシよ!)




でも、失敗したー。こんな遠出になるのなら断るんだった。おまけに、村の食堂で同じテーブルに座らされるのは苦痛。


天の助けは、現れた。あの人だ。




「こんばんは、良い夜ですね。王子さま。」




長い銀髪の背の高い男。すこぶる美形だ。声をかけられた王子は、少し驚く。




「あなたは、ここへも商いで?」

「はい、商売になるなら。何処へでも(あなたに会いに)」

「あ、オジサン!」




嬉しくて、セレナは呼んだ。男はセレナを見て目を細める。




「あ、男難の子だって思ったでしょ?」

「いや、セレナちゃん。それは、違うよ。上クラスの男達が、君を追いかけるんだから。」

「嘘つき!どうせ、セレナは男運が悪いんだもん。プンプン!」




第2王子は、目を耀かせた。興味を抱いたらしい。




「石ころセレナは、男難なのか?」

「そうよ。このオジサンが言ってるの(あんたも、男難の1人よ)」

「私が指命して使ってるではないか。上クラスの男に気に入られている。良かったな。」

「ありがとうございます(気に入られてるなんて止めて!)」




王子は男に同じテーブルに座るように誘う。商人から情報を聞き出す為だ。




「王子さまは、テムプルムへ行かれるのですか。あそこへは人が入りませんから、道案内が必要です。下手すると迷って出られなくなりますから。」

「地図だけでは、無理だと思われるか。あなたは?」

「アグアニエベとお呼びください。」

「アグアニエベは、「(みぞれ)」ですか。」

「はい、父が好きなので。」




隣でパエリアを食べながら、セレナは考える。「霙」が好きなお父さんは、どんな人なんだろうと。




(こんな綺麗な顔だもの。お父さんも、お母さんも美形なんだろうな。)




何故か、アグアニエベはセレナを見ていた。そして、目が合うと微笑む。




(優しそうなんだけど。なんか、なんかなの。訳ありなのかな。)




セレナの魔力の部分で反応するのがあって、何かありそうだけど分からない。害は無さそうなのに。




「私の知っている者に、あそこの近隣の者が居ます。ご紹介しましょう。」




王子は、喜んだ。そして、男が2人で話し込む。セレナは食事を終えて村に出た。路店を見て歩く。


何日も旅するのなら、持って来た荷物だけでは足りない。買い足さなくては。



「あ、可愛いー。」



目を惹く女の子の服。行商人が広げた衣類の商品だ。値段を聞いて迷う。出来たら、無駄遣いしたくないから。



「何だ、買わないのか?」



座り込んで商品を見ているセレナの背後から、男が手を伸ばす。息が顔に触れた。セレナは、身体を強ばらす。



「・・・・・・・・!?(心の悲鳴)」



どうして、こんなに馴れ馴れしいんだろう。遊び慣れしてるからなのかしら。他の男の人は、ベタベタしないのに。


ゾワゾワーとして、心臓がキュンとする。


誰かと居て、こんな気分にさせられるのは何故なの?そんなに、怖いんだ。私!





「この程度の値段なら、安い物だ。私が、買おう。」

「え、やめてください!」




嫌と言おうが関係ない男。強引に代金を払ってしまう。他の服も買い入れて。



「男ばかりの中に女の子が1人だ。不自由があれば言ってくれ。出来るだけ善処する。」



服を手渡して、第2王子はセレナに詫びた。もしかしたら、優しさなのかもしれないと思ってしまう。


ダメ、いい人と思ったら。本当に嫌な人なのよ。セレナは、自分に言い聞かせる。










山越えをする途中で、追いかけて来た残りの冒険者グループと合流。一緒に案内人も、待っていました。


第2王子は、驚いたようだ。




「君が、アグアニエベ氏の用意した案内人ですか。女の子に、ジャングルは無理なのでは。」




ダークブロンドの髪を三つ編みにしている相手は、十代にしか見えない美少女。

モンスターのいる危険な場所へ行けるのか。誰でも不安に思うだろう。




「私は、この近くにある村で育ちました。ジャングルは、庭のようなものです。ご安心ください。」




疑わしきに見た第2王子の行動に驚かせられた。いきなり、剣を抜いて少女に切りかかったのだ。




「おやめください!」




素早く、少女は飛び退く。素早い動きに第2王子は笑った。




「成る程、案内人として雇おう。戦い慣れているようだからな。名前は?」

「はい、アネモネです。」




口数の少ないアネモネは、余計な事は話さない。年は、セレナより上の19歳だった。乗って来た馬で、小隊の先頭に立つ。


その様をアグアニエベは、木の枝の上から見ていた。




「上手く入れたようですね。しかし、あの王子は荒っぽい。女の子に優しくする事を覚えなかったのでしょうか。」




そんなとこも、アグアニエベは好きです。もてる男は、気にしなくていいのでしょう。羨ましい。




「本気になった時に、苦労しますよ。相手が振り向いてくれなくて。」




第2王子に付いている黒い影が増しているように見えるのは、気のせいか。女性の怨みをかっていますね、きっと。










第2王子が旅立った後の町の古道具屋は、最近、同じ依頼を受けるようになっていた。また、貴族の奥様が来店です。




「いらっしゃいませ。」

「ここで、呪いをしてくれると聞いて来ましたのよ。本当?」

「ご要望がありましたら、当店では応じております。」

「やっぱり、噂は本当だったのね。第2王子の交際相手が婚約発表を前に失踪!こちらで、誰かが呪いを頼んで行ったでしょ?」

「私どもは、お客様の秘密は守ります。」

「まあ、そう。いいわ、私もお願い。第2王子が好きになった相手に呪いを。お礼は弾むから、たっぷりと!」




そんな事があるとも知らず、知っても自分には関係ないと思うだろう少女セレナ。第2王子が、鬱陶しくてならない。




「どうして、側に来ると鳥肌が立つのかしら。アネモネさん、経験ある?」




女の子が2人なので、1つのテントを2人で使用。相部屋だけど、アネモネは口数が少ない。


「さあ、私には。」で、終わった。でも、セレナは知っている。




(あなた、夜に1人で泣いているでしょ。好きな人を思い出してなの?)




そう聞きたいけど、口に出せない。でも、第2王子みたいな人じゃない。そうでないと、可哀想。


どうしてか、顔を合わせる度に嫌い度が増してくよな。呪いでも、かかっているかしら?


王子と明日の旅の打ち合わせをしたアネモネは、テントへ戻って来た。馴れない旅に疲れるのか、セレナは眠っている。



「私に、お力を。魔力透視ー!」



アネモネは、左腕に付けているお守りを寝ているセレナに向けた。お守りの模様が、光る。


アネモネの村では、これを手にする事で魔法が使えた。代々と奉ってきた神が、魔力を貸して下さるのだ。



『魔法使い「アン※※※リ※」。魔力レベル計量不能。体質は、光に属する・・・』



アネモネは、お守りを握って力を込めた。駄目らしい。何度やっても、透視が途切れてしまう。こんな事は、始めてだ。



(この子、何者なの?計量不能の魔力って、どういう事?)



美形の第2王子は、平民の魔法使いの娘に気を配っていた。数時間ごとの休憩、干し肉とパンだったのを食料を補充して一般食に変更。


などなど、普通の旅と違う事が有るのだがセレナは気がついてない。自分の為であるというのを。



(王子が大事にしているのは、何故なのかしら。理由があるからだわ。)



この娘が、仮免魔法使いというのも妙だ。こんなに強い魔力の匂いがしているのに。

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