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( 12 )噂の人

今日は、ジミーが市場へ買い物。子供たちを連れて顔見知りと話をする。




「あんたの見習いの子、パーティーに出かけたみたいだな。」




そう教えられて、ジミーは驚く。そんな話は聞いてない。雑用を頼まれたとばかり思っていたのだ。


慌てて、ギルド協会へ行って問い合わせる。




「セレナ・ストーン17歳の入ったパーティーですか。ああ、これだ。危険度20の山での採取ですね。」




ジミーは、心配になった。自分も、祖母の手伝いをしながらギルドに参加していた事がある。


その体験から、学校で勉強した事も無い未経験の女の子には危ないと思ったからだ。




(行き先を確認しておくんだったな。身寄りも無いと言っていたし、女の子なんだ。私が親代わりに見てやらなかったら!)




それから、ただ、無事に帰る事を祈るばかりだ。パーティーで入る場所は、レベルが低いといっても何が起こるか分からない。


日が沈む頃、家の戸口が叩かれる。ギルド協会の者と知って、ジミーは最悪な結果を考えてしまった。




「パーティーに参加したセレナ・ストーンさんの家ですね。パーティーに事故が起きました。協会に迎えに来て下さい。」




ジミーは、青ざめて走った。何ていう事だ、悪い予感が当たってしまった。ギルド協会へ駆け込み、セレナの名を言う。




「セレナは、セレナは、何処ですか。大丈夫なんですか?」




後ろから、声がする。ジミーは、振り返って涙を流した。セレナが立っていたからだ。




「どうして、パーティーなんかに。ダメじゃないか、教えていかないと。怪我をしたら、どうするんだ!」

「ごめんなさい、ジミーさん。」




目の前で、泣くジミーにセレナは戸惑いながら謝った。追放された時に、親も兄弟も来てはくれなかったのに。心配してくれた人。


この人の為に、頑張ろう。そう、心に決めた。




「君が、セレナ・ストーンかね。今日は、君のおかげで助かったよ。それで、仮免許は惜しい。協会から、特別に仕事を回してあげよう。高額ダンジョンを!」




協会の偉い人が、いい話を持ってきてくれたのだが。ジミーが、断ってしまう。




「やめて下さい。この子は、女の子なんですよ。危険な仕事は、やらせません!」




まるで、父親のようだと誰もが思ってしまう。


怪我はしていないが、顔や手に擦り傷。服は、カギ裂き。セレナの魔法が起こした爆風のせいなのだ。




『「事故報告」

某日某 時刻。当協会の採取パーティーは、レベル20の山でハイエナの群れに襲われた。

パーティーの警護の冒険家(1名)が負傷。参加者に負傷者なし。

仮免許魔法使いの活躍により、ハイエナ19匹駆除。


▲これより、この山は安全が確認されるまで入山禁止とします。』




事故が起きれば、知らされるのが通常。だが、こうやって貼り出された物は見た者の国柄広がっていく。


たちまち、凄腕の仮免許魔法使いが話題となり。協会への問い合わせが多くなった。今や、セレナは英雄あつかいだ。









立ち入り禁止となったハイエナの群れが現れた採取の山。事故処理の後始末の為に現場検証が行われていた。


ギルド協会所属の魔法使いが、現場を見て歩く。そして、首を傾げた。




「お尋ねします。これは、仮免許魔法使いが魔法を使った後ですか?」




尋ねられたギルド協会の役員は、頷く。




「そうです。レベル15の魔力を持った仮免許なりたての魔法使いが、魔法でハイエナを退治したという報告でした。どうかしましたか?」

「これは、仮免許魔法使いの仕事では無い。レベル15の魔力では、行えない事だ!」




魔法使いは、驚いたという様子で目の前の穴を手で指し示す。大きな大きな穴が地面に掘られていた。


家が一軒は入ると思われる大きさ。


仮免許魔法使いだと?違うだろ。レベル15の魔力で、こんな事は出来ないのだから。




「何かの手違いで間違ったのでなければ、魔力検査をやる必要がある。そう、進言します!」




魔法使いは、強く言う。これだけの魔力を使用するのには、通常は魔方陣の準備が必要なのだ。


それが、魔方陣の跡さえ無い。高度の魔力を所持していなければ、下手すると自分が巻き込まれて大怪我をする。







そんな事になってるとは、思ってないセレナ。ギルド協会へ賞金を受けとりに来ていた。




「君の活躍を聞いて、ギルドへの参加依頼が来てるんだ。仮免許でも、通常魔法使いの報酬が払われる。やってみないか?」

「参加依頼ですか、ダメです。」

「どうして?いい収入になるよ。」

「ジミーさんが、二度とやらせないって言ってるから。ごめんなさい!」




仕事を押し付けてくる協会の職員を振り切って、ギルド協会を出る。


仕事があるのは嬉しいけど、ジミーさんが怒ってるから出来ないのだ。家に帰ってから、たっぷり説教されてしまったし。




(でも、困ったなあ。仕事しないと、お金が入らないもの。)




また、やってみようかと仕事紹介所へ行ってみる。貼り出された仕事を見ていても、気がのらない。


柑橘系の甘い香りが、ふっと思い出されただけでゾクッとした。




(いやーっ!思い出したくない、オオカミ王子なんて!)




あっという間に腕の中に閉じ込めた女の扱いに慣れた王家の一員。小さな頃から男の子とは駆け回って遊んだけど、怖いと思った事は無かった。




『石ころセレナ!』




私の名前は、そんなんじゃないの。平気で人を踏みつけてくる嫌な人。


二度と会いたくないのに、何故か何度も会っている。


最初の出会いで頭に染み付いてしまったのか、側に来ると蛇に睨まれたカエル状態で魔法が使えなくなるから厄介。




(カエルレウム王子と会うと蛇に睨まれたカエル状態?面白くないっー!)




貴族のパーティーのメイドの仕事は、日給が良い。今日も、仕事が出ている。セレナは、肩を落として溜め息。


ダメだ、やれそうにない。また、オオカミ王子が出て来そうで。完全にトラウマだわ!



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