表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/29

プロローグ

他サイトで書いていた作品です。楽しんでくれると、いいなー(。^。^。)作者

それは、カカという王国での出来事。城の広場では、王様と王妃様の前で試合が行われようとしていた。兵士が高らかに宣言する。




「これより、アンジェリカ王女とジョセフイーヌ王女との王位継承権を得る為の公式試合が行われる!」




集まった貴族達が、広場の中央に現れた2人の王女を見つめた。今の王家には、強い魔力を持っているのは2人だけなのだ。兄弟の王子たちには、魔力が無い。




「正妃(本妻)と側女(愛人)の姫たちが争うとは、皮肉ですわね。」

「仕方あるまい。王家のしきたりだ、魔力の無い王子たちは除外されておる。」

「どちらに、賭けます?私は、側女のジョセフイーヌ姫に。」

「それは、ズルい。大方が、ジョセフイーヌ姫だぞ。アンジェリカ姫は、修道院にて花嫁修業をしていたとか。魔法使いたちに指導を受けていたジョセフイーヌ姫を相手では、話にならん。」



殆どが、勝ち気そうなジョセフイーヌ王女の勝利を確信していた。ほっそりとした小柄な身体のアンジェリカ王女が勝つとは、誰も思って無かったのだ。



「では、はじめーー!」



2人は、向かい合う。その瞬間、吹き飛ばされたのはアンジェリカ王女。その後も、城の壁に叩きつけられる。圧倒的なジョセフイーヌ王女の勝利だった。



「これで、私、ジョセフイーヌが次の王よ!」



ジョセフイーヌ王女は、歓声を上げる貴族たちに満面の笑顔で手を振るのだった。巻き起こる祝福の声と拍手。


この日、次期王位に着くのは勝者のジョセフイーヌ王女と決まった。敗者となったアンジェリカ王女は、しきたり通りに追放となるのだ。






それから、1週間の時が過ぎた後ーー。






国境で、馬車が止まります。馬車から降りたのは、少女が1人。粗末な衣服と靴に肩までの黒い髪。



「ここから、隣りの国へ行けば遠距離の馬車乗り場があるから。気をつけて行くんだよ。」



御者の言葉に、少女は頷いた。



「はい、分かりました。送ってくれて、ありがとうございます。」



走り去って行く馬車を見送ると、少女は手提げ鞄を手に歩き出す。そして、隣りの国へ足を踏み入れた。



「ジャンプーー!」



ピョンと飛んでみる。ニッコリと笑う。元気を出そう、負けない。




「アンジェ、あんたは自由よー!」



大きな声で叫んだ。あんなとこ、誰が居るもんか。喜んで出て行ってやる!



「あ、痛っー。忘れてた、傷の事。」



地面に座り込み、痛みが治まるのを待つ。頑張って、アンジェリカ。こんな事、何でも無い。御前試合で大怪我しても、誰も見舞いにも来なかった。




「いいの。追放される王女になんて、近寄りたくないもんね。でも、宝石も何もかも取り上げられちゃった。魔力も。」




恨めしそうに、追い出された国を横目で見る。親なのに、王様も王妃様も見送ってもくれなかった。

5才から乳母と修道院に入れられてたから、どんな人かも知らない。


いいんだ、忘れちゃう。嫌な事、全部ー。



「そうだ、名前。今日から、私はセレナになるわ。アンジェリカじゃないの。王女でも無い。普通の女の子よ!」



これから、精一杯、好きに生きてくから。


本当は怖がりで、乳母に「ウサギさん」と言われてたくらいだけど。試合なんて、恐怖だったけど。


ウサギの心臓で、頑張ってく!









私は、セレナでっす。本名は別にあるけど、言いたくないから。年は、17歳。故郷は、お日様が上がる方向(内緒)。



「あー、ヤバい!こんなんじゃ、家出あつかいされる。考えなきゃ。」



大人が一緒じゃない理由。考えたいけど、頭が痛くなってきた。まだ、身体が言うこと聞かない。治癒魔法を使って治してはくれたけど。


魔力を絞り取った傷口も痛む。手加減しないから。長かった髪も、囚人みたいにバッサリと切られてしまった。



「歩くのも疲れるう。あれ、戻しといた方がいいのかも。」



立ち止まったセレナ(アンジェリカ)。伸ばした左手をグーチョキパー。それ、グーチョキパッパ。そして、ぶつぶつと呟き出した。魔法の呪文だ。



「我が名は、アンジェリカ王女。契約の名の元に命じる。有りのままの姿に戻れ!」



左手の指から浮き上がる古文。絵文字のような緑色の文章は、少女の身体中に浮き上がった。見えないように掛けられていた魔法だ。


遠い場所に居る乳母の声が聞こえる。



『お嬢様の魔力は、強すぎます。お城なんて、簡単に吹き飛ばすかもしれませんから。今は、隠しておきましょう。』



幼い王女の身を案じて、王様に内緒で魔力を外した乳母。知られたら打ち首覚悟の呪文だ。城の魔法使いたちは、魔力を奪ったと思っているだろうが大した事はない。


取られたのは、ごく1部の魔力だけだった。



「ありがとう、私の乳母。魔力が強いと分かったら、殺されてたかも。分かってたのね。」



何しろ、御前試合の前に毒をもって痺れさせたくらいだから。怖い人達。セレナは、身震いした。身体に溢れる魔力。それを使って、傷の痛みを癒す。








暫く歩いて、辿り着いた馬車乗り場。


キョロキョロー。


セレナは、目ざとく見つけた。仕事紹介所を。手持ちのお金は、少しだけ。当座の生活費と交通費。


お城からは、田舎に住む王家の縁戚の家で暮らすように指示されている。そんなの、気にしない。



(少し働いて、お金を貯めよう。)



少女は仕事紹介所へ飛び込むと、壁に貼られた求人の紙を見て回る。すると、隣りに立った婦人が話かけてくるではないか。



「いい仕事があるんだけど、どう?」



それは、時給の良い仕事だった。でも、身元引き受け人が必要。セレナには、無理だ。



「じゃあ、私が身元引き受け人になるわ。家は、どこ?え、無いって。家出!」

「家出じゃないんです、働きに来ました。信じて下さい!」

「なんか、事情ありそうねえ。いいわ、間借り人を募集してる知り合いがいるの。紹介してあげる。」



一石二鳥、幸運だった。その人の世話で、仕事も住む部屋も簡単に見つけられたからだ。


セレナは、働くのは慣れている。修道院に居る間、色々な仕事を体験したからだ。とても、王女とは遠い生活だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ