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(四)-2
私が近づくと、「あなたが英梨奈さんね」と女性が声をかけてきた。
「はい、そうですけど……」
「君が見たのは多分この人じゃないかな」
「う、うん、そうだけど」
「紹介するよ。この人、俺の上司の沼ノ沢奈々さん。うちの会社の営業部のチームリーダーなんだ。俺と組んでもらって二人で客先を回っているんだよ」
徹がそう言うと、彼女は「初めまして」と、スカートの左右の裾をそれぞれ持ち上げながら、少し膝膝を折りながら頭を下げて挨拶した。間近でみると、遠目で見るよりもずっとかわいらしく、まるでお人形のようだった。フリルのスカートがとても似合っていた。
(続く)




