玉座の間にて
「おぉ、よくぞいらっしゃった勇者殿。私はライラ王国国王ファビス・ライラである。って、勇者殿は3名という話だったが、なぜ4名いるのだ?」
「そ、それは」
おっと、王女さんが困っている。ここは助け舟を出してあげよう。
「それは俺から説明するぜ。あんたの言った通り本当に召喚されたのはこの3人だよ。ただ、偶然近くにいた俺もその召喚に巻き込まれた訳よ。だから俺は役に立たないから、魔王討伐しに行かなくていいかな?」
「貴様!王に向かってなんて口の聞き方だ!無礼だぞ!」
そうだそうだ!と周りの貴族達も騒ぎ立てる。随分と怒らせてしまったようだ。まぁすぐにここからもでてくから、関係ないか。
「静まれ!お主ら客人に向かってなんて口の聞き方だ!無礼なのはお主らの方だ。」
玉座の間が静まりかえった。中々迫力あるなぁこの王様。
「さて、うちのものが失礼をした。要するにお主は自分は巻き込まれただけで、なんの力も持っていないから、魔王討伐では役に立たないということだな。だが、スキル鑑定もせずに決めるのは早計ではないか?せめてスキル鑑定をしてから考えないか?」
ぐっ、これはスキル鑑定を行う流れになってしまったな。仕方ない。ここはスキル「隠蔽」を使おう。
「分かったよ。まぁ、どうせしょぼいステータスだろうけどな。」
「ありがとう。では早速スキル鑑定を始めよう。勇者殿はこの水晶に手を当ててください。
最初に水晶に手を当てたのはイケメン君だった。水晶から出てきたイケメン君のステータスはこんな感じ。
【神田 優斗】
種族:人間
職業:勇者
性別:男
レベル:1
攻撃力:1000
防御力:1000
魔攻撃:500
魔防御:500
魔力:300
俊敏:1000
【能力】
ブレイブソード
加速
「おぉ。あなたが勇者であったか。さすが勇者というべきか、レベル1だというのに、一般男性のステータスを抜いてある。」
「やっぱり勇者は優斗なんだー。私もやってみたかったけど、勇者は優斗に譲るよ。まぁ私は勇者ではなかったけど、それなりに強いスキルはもらえるでしょー。」
そう言いながら茶髪女子は水晶に手を当てた。
【本田 美穂】
種族:人間
職業:賢者
性別:女
レベル:1
攻撃力:500
防御力:500
魔攻撃:1200
魔防御:1200
魔力:1200
俊敏:500
【能力】
なし
「おぉ、美穂殿の職業は賢者!賢者は(魔法使い)の上位互換で、魔法の習熟を早めてくれる。今はまだ能力はないが、すぐに最高位の魔法まで覚えられるだろう。」
「やったー!私賢者だ!」
おぉまさか賢者とは…魔法でいえばあと一年もしたら俺を抜けるだろう。次に水晶に手を当てたのは黒髪女子。
【寺内 梓】
種族:人間
職業:侍
性別:女
レベル:1
攻撃力:1200
防御力:700
魔攻撃:700
魔防御:700
魔力:500
俊敏:1500
【能力】
一刀両断
「む?なんだ侍とは?初めて見る職業だが?」
「侍というのは、私たちのいた国の昔の職業です。」
初めて黒髪女子が喋った。
「ほぉ、なるほど!ならばきっと強いのだろう!」
そんなわけで、遂に俺の番になった。俺は水晶に手を当てた。
【真田 健二】
種族:人間
職業:巻き込まれしもの(勇者)
性別:男
レベル:1
攻撃力:250(2500000)
防御力:250(2500000)
魔攻撃:250(2500000)
魔防御:250(2500000)
魔力:120(12000000)
俊敏:250(25000000)
【能力】
なし
ふっふっ。完全に平均的にしてやったぜ。
「おぉ、なんと普通のステータスだ。確かにお主は巻き込まれただけのようだな。」
「ってなわけで、俺は魔王討伐しなくてもいいですか?」
こんなやつがいても足引っ張るだけだから。ね?
「分かった。でも学園には勇者殿と一緒に通ってくれぬか?こちらもお主を召喚した責任がある。」
んーー。まぁ前世は召喚されて、即刻騎士団で死ぬような訓練してすぐ魔王を討伐しに行ったから、学園に通ったことないんだよなぁ。だから学園に通うぐらいはいいかな。
「分かった。学園には通うよ。でも魔王討伐はしないと思ってくれ。」
「感謝するぞ健二殿。学園の入学式は来週である。今日は皆疲れておるだろうから休憩をしてくれ。最高のおもてなしをさせてもらおう。」
その晩はパーティーがあり、楽しい夜となった。それにしても学園かぁ。楽しみだなぁ。