勇者召喚 王女side
ここは王宮内の玉座の間。そこには1人の男と1人の女がいた。まぁ玉座の間といえば、誰かは分かってしまいそうだが。そう、私はこのライラ王国の第一王女クリスティーナ・ライラである。そして私の目の前に座るのは私の父であり、ライラ王国現国王でもあるファビス・ライラだ。
「それではお父様行ってまいります。」
「分かった。だが本当に護衛はつけなくていいのか?」
「ええ。勇者召喚はかなりの集中力が必要なので、周りに人がいると集中できないおそれがありますので。」
「えぇでもなぁ、我が愛しい娘に何かあったらなぁ。なぁクリスティーナよ、ほんとにほんとに護衛はいらないのか?」
「ええ。大丈夫です。」
まったくこの父親はどこまで親バカなんだ。確かに父にとって私は一人娘だ。父は側室を作らず、私の母であり、現王妃でもあるフィルス・ライラだけを愛しているのだ。1人の女性を愛する生き様は尊敬するが、この親バカは直してほしい。などと思いながら私は父に別れを告げ、勇者召喚を行う部屋へと向かった。
キィぃという音を立て、私は年季の入ったドアを開けた。この部屋は王宮の豪華さとは打って変わって、何もない質素な部屋だ。部屋の中に入り、私は鍵を閉めた。
そしてそれを見計らったかのように、バサバサと音を立て、なにかがこちらに向かってきた。私はとっさに後ろに後退しつつ、こちらに向かってくる何かに炎魔法「ファイア」を放ち、何体かは倒せたが残った物が達がまだ向かってきていた。私は避けようとするが、あまりの数に避けきれず、肩に傷をもらってしまった。だが、私を襲ってきた何かの正体は掴めた。それはコウモリだ。そしてこのコウモリは操られてるような動きをしていた。コウモリを操れるのは、ある種族だけだ。
「このコウモリ達を操っているのは、魔族の上位種
「「ヴァンパイア」」ですね。それも恐らく魔王軍の。」
正解!というようにコウモリはバサバサ羽を振った。その反応を見た後に、私はすぐにこれからのことを考える。ただのコウモリであれば私でも対処可能だ。だがヴァンパイアの操っているコウモリでは、正直言って怪しい。増援を呼びにいくと言っても、鍵を開けている暇はない。つまり残された選択肢は私一人で戦い、コウモリを倒すこと。
「かかってきなさい。ヴァンパイアの操ってるコウモリであっても、私の魔法には耐えられない」
戦いの火蓋が切って落とされた。
そうして戦うこと数分…。
状況はどんどん不利になっていき、私の魔力も残りわずかだ。コウモリの数も減ってはきたが、元の数が多いため、攻撃の勢いは止まらない。もはや満身創痍。この少しの魔力で、一匹でも多くのコウモリを道連れにしよう。
そう思っていた時に、「それ」は放たれた。「それ」により建物がカタカタと音を立て震え、コウモリ達もばたばた倒れていった。そして私の足も無意識のうちに震え、膝をついてしまった。そして「それ」はコウモリ達が全員倒れるまで続いた。