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僕は完璧でありたいのである  作者: いとう
第二章 ガポル村の天才幼女
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第三十六話 新学期なのである



 僕は本が好きなのだが、恋愛に寄せまくった『恋愛小説』みたいなものは嫌いだ。


 まったくどうして、ああいった文学にそれほどの人気があるのだろうか?

 だって疑問ではないか。他人の恋愛やら何やらかんやらを見て何を思うというのだろうか。


 そもそも、恋愛というのは『性欲』による人間の動物的な営みであろう。それをどうやって美化するかといった話をどう楽しむというのだ。

 むしろ『恋愛小説』だというのなら、人間の生理的な欲求に基づいたドロドロした動物的な話の方がまだ興味が持てるのいうものだ。


 それでもまあ、それが好きだという人を否定するつもりはない。僕がファンタジーやミステリーといった非日常に憧れてその手の本を読むように、恋愛小説を読む人にとってはそれが面白いのだろうということ自体は理解ができるからである。



 ここで勘違いしないで欲しいのは、メインが恋愛ではないものに含まれる恋愛要素は多少の範囲までなら好きだと言ってもいいのである。


 ミステリー小説なんかでは、愛憎蠢く話は面白いというのが相場で決まっているのだ。

 人間としての文化的、倫理的な一面と、動物的、本能的な一面が絡み合うからこその複雑なストーリーというのは、非常に面白いと思う。

 ああいった話をうまく書く人というのは、どういう人生を経験しているのだろうか?



 ああ、さらに勘違いしないで欲しいのは、行き過ぎた恋愛要素というのは『純・恋愛小説』以上に僕が嫌いなものだ。


 少年漫画然り、ライトノベル然り、男と女が出てきたらすぐにペアにしたがる風潮が僕はとにかく嫌いだ。そういうのは二次創作でやっていればいいものであって、公式でやられすぎるとドチャクソ寒くて読む気が失せるのである。

 そういう恋愛脳は少女漫画でも書いていてくれ。



 そもそも、この話を進めるのであれば「男女間の友情は成立するか否か?」という話になる。



 つまり、男と女が出てきたら必ずペアにする意味があるのかどうなのかという話だ。ハーレムとかそういうものも、少なくとも片方は恋愛感情を持ってしまっているのでこの話につながってくる。

 完全に余談だが、僕はハーレムを嫌いというつもりはないが、明らかに不自然に主人公がモテるというのは嫌いだ。



 話が脱線したが、男女間の友情は成立するのだろうか?


 語弊を生むといけないので先に断っておくが、この場合の男女とは、互いに性別だけで見れば性愛の対象になる人間同士という話だ。「ホモなら〜」とか「そもそも恋愛感情がわからない〜」とかは論外とする。


 完全に僕個人の意見だが、男女間の友情が成立するか否かという話について、まず間違いなく『成立する』と断言して良いだろう。成立するパターンについては主に2つ挙げられる。


 ①お互いに恋愛対象として見れないほど見た目がタイプではない。


 ②お互いに性行為を特別視せず、食事をするのと同程度の価値観で考えている。


 まあ、①というのはよくある話じゃないだろうか?お互いまったくタイプじゃなければ基本的に恋愛には発展しないだろう。これなら普通の友情が成立するはずだ。


 ②というのは俗にいうセフレだ。

 とはいうものの、セフレではどちらか片方が恋愛感情を持ってしまうことが多いという。

 まあでも、もしお互いに性行為を特別視していないのなら、ただの友情と言い切ることはできるはずだ。



 ここまで考えてみると、男女間で完全な友情が成立するということは、あるにはあるが、少ないということがわかる。

 そういう風に考えると『ナンデモカンデモカップル族』はそれほど間違っていないのかもしれないと思ってしまう…




 …いやいやいや、それは違うのである!



 そもそもの話、『勃つには勃つ程度の女』がいたとしてそいつを彼女にしても良いと思えるだろうか?


 『男女間の友情は成立するか否か?』議論が無駄だったことは認めよう。

 そこは僕の敗北として置いておくとして、『ナンデモカンデモカップル族』が肯定されるということには繋がらないのである。


 だって、お互いのことを性愛の対象と見れたところで、それが必ずしも恋愛に発展するというのは無理があるのだ。

 そんなことを言うのであれば、世の中の大抵の男は世の中の大抵の女のことを彼女にできると言う話になる。

 そんなバカな話はない。


 つまり、男6人女6人いたらせいぜい2カップルできる程度で、後の44はお互いにやろうと思えばやれるけど、別に付き合いたくはない程度になると考えるのが普通というものだ。


 半ば強引で適当な理屈になったが、やっぱり『ナンデモカンデモカップル族』は間違っていると言って良いのである。



 ちなむと、僕の理想の人間関係ストーリーはこんな感じだ。



 主人公側 サトシ、ピカチュウ、タケシ、ヒカリ


 敵側 ムサシ、コジロウ、ニャース


 ピカチュウとコジロウはそれぞれサトシとムサシに恋心を抱いていたのに、結局サトシとムサシが結ばれる。お互いにモテる男女が結ばれて、何人か失恋して、それ以外はノータッチ。それくらいが丁度いいと思うのである。


 例示の名前は僕が適当につけたのであって、別に何かをイメージしてつけたわけではない。

 ピカチュウはメスという想定だ。




 間違えた、女の子という想定だ。




――――――――――――――――――――――――――




 暦の上ではまだ夏であるものの、朝晩なんかは肌寒い程度に涼しくなってきているので、もう秋といっても差し支えのない季節になった。


 うちの夏休みは学校がないというだけの、名ばかりの夏休みだったのであんまり休んだ気はしないが、久しぶりにクラスメイトに会うと、やっぱり長期休業だったんだなという気はしてくるのである。



「ドミンド白っ!!おれっちの肌見ろよ!!真っ黒だろ!!」


「はぁ!?おれっちの方が黒いだろ!黒竜ドミンドとはおれっちのことよ!」


 ザ・小学生男子筆頭のドミンドっちとゴンズっちは案の定肌が真っ黒だ。

 遊んでいてばかりだったとは思わないが、それなりには夏を満喫したのだろう。心なしか顔つきが男らしくなったような気もする。多分なってない。



 対照的にシャイナーなんかはまったく日焼けした跡がなく、真っ白である。髪の毛を切ったとか、染めたとか、メイクをしてみたとかもないから、夏休み前から何も変わってないのである。

 かくいう僕も、まったく変化がないのである。ちょっと髪が伸びたが、そろそろ切るので関係ない。


 ほかの連中も変化なしといった感じだ。ドレッドは相変わらず爽やかだし、タイグドは普通に気持ち悪い。サリアも成長した様子はない。



 そんな感じで基本的にはうちのクラスに変化はない。もう名前も忘れたが、マジメ腐ったなんとかとなんとかも相変わらずのつまらないガリ勉みたいな感じだ。





 ――ただ、クラスの一角だけ変化したところがある。



「少し肌寒くなって来ましたけど、トゥリー様はまだ冬服には変えないのですか?」


「アーニャとティア様に合わせますよ」


「もうっ!様はいらないので『ティア』と呼んでくださいってば!何でアーニャだけ呼び捨てなんですの!?」


「じゃあ俺のことも『トゥリー』って呼んでくださいよ」


「そ、それは、恥ずかしいからいいんですっ!」



 あーあ。ばかうざいなぁ…。


 小学1年生のくせにピンク色の空気出してるバカップルみたいなのが僕は本当に嫌いなのだ。頭に桜でんぶでも詰まってるんじゃないのか??


 別に僕は今までモテたことがないとかそういうんじゃないから僻みとかそういうのではまったくないのである。

 ただ単純に、たいして愛とか恋とか知らねえガキンチョが恋愛ごっこをしてるのを一日中見せられればストレスが溜まるのである。


 だって、3人でいても3人でいるって感じじゃなくて、2+1って感じなのだ。夏休み終盤くらいからこんなことになってしまった。



「ねえねえ、あの2人ってお付き合いしてるの?」


 アラネーだって女の子なのだ。あんな感じにいちゃいちゃされてたら嫌でも気になってしまうのだろう。テンションはいつもとかわらないものの、若干上機嫌に僕に尋ねてくる。


「べつに、そういうわけじゃないんじゃない?」


 知らないけど、そういうわけじゃないんじゃない?


 ティアは結局男好きの尻軽バカ女だ。

 僕を誑かせておいて結局男が好きなのである。女同士の友情なんて脆いものだ。



「アーニャは仲良いのに知らないの!?この前2人で手を繋いで買い物してたわよ!」


 シャイナーみたいなマセガキが気になってしまうのは当たり前だ。何てったって僕もその現場を目撃したのだ。 


 課題が全部終わったから明日は家でゆっくりしようかって話になった日に、なんとなく1人で街を散歩してたら2人が手を繋いでデートをしていた。僕だけを除け者にして2人で楽しそうにイチャイチャしてたのだ。

 思わず石を投げつけそうになったものだ。


 耐えられたのは僕が転生者だからだろう。普通の小学生なら確実に泥団子くらいは投げつけていたものだ。



「羨ましいですね!私も恋とかしてみたいです!」


 誰だよお前。茶髪に暗い色の目玉をした微ブスが謎がらみをしてきてびっくりしたのである。真面目ちゃんのくせに頭ピンク色とか救いようがない。消え失せて欲しいのである。



「…あーにゃはなかまはずれ?」


「ううん。アーニャにはサリアがいるからいいの」


「えへへ。おともだち」


 ふん。魔力量の低い能無しどもは能無し同士で仲良くやって、同じく才能のない産業廃棄物みたいな子供でも産んでおけばいいのだ。



 僕はサリアと結婚してできのいい子供を産むからそれでいいのである。




――――――――――――――――――――――――――




「みなさーーんん!!元気でしたかーーーっ!!先生はめちゃくちゃ元気でした!!むはははは!!!おひさしぶりでーーーーーーす!!!!!!!!!」



 朝からエノーラちゃんは騒がしい。この様子じゃエノーラちゃんがひと夏の恋をしてきたとか、そういう話はなさそうなのである。何だか少しエノーラちゃんの好感度が上がった。


 うちの学校は始業式みたいなものもないから、普通に朝の会をやって、そのまま普通に授業開始となる。

 テスト返しがあったようななかったような気もするが、僕からしたらどうでもいいことなので、どうでもいい。



「それじゃあ!朝の会と1時間目を使ってテスト返しをやりまーーーす!!むははは!!この成績によってこれからの授業が変わりますからね!!皆さん楽しみにしてくださーーい!!」


 終わったテストのことを今更説明したところで何の意味があるんだか。普通に返して勝手に授業を変えておけばいいだろう。

 大体ついさっき、テストはどうでもいいって話をしたばっかりなのに、テスト返しとか言われるとめちゃくちゃ腹立つからやめてほしいのである。

 若干エノーラちゃんに対しては理不尽な怒り方をしているような気がしないでもないが、僕は機嫌が悪いのだから許して欲しい。



 出席確認だの、朝の祈りだのくだらない事をやったらエノーラちゃんがおもむろに分厚い紙の束を鞄から取り出した。

 いつも通りの朝の会が終わってそのまま続けてテスト返しになるようだ。休み時間がないということに納得がいかないが、まあ時間の都合というものも考えて許してやるのである。



「はいじゃあまずはアーニャちゃーーん!!!むははは!!!流石ですよ!!全教科100点満点です!!!むははは!!!」


 なにこいつ。うるせえな、ばらすなよ。


「人の成績大声でバラさないでもらってもいい?普通にありえないんだけど」


「!? え!?あ、え!? ご、ごめんなさい!! どうしましょう!夏休み前より3倍くらいアーニャちゃんが刺々しいです!!」



 うるせえよ。

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[気になる点] 産業廃棄物の件は一線越えたなって印象 主人公のクズ化が止まるところをしらない
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