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僕は完璧でありたいのである  作者: いとう
第二章 ガポル村の天才幼女
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第二十八話 ピンク色なのである

短いです



「トゥリー様はこのままうちに来ますか?」


 お誕生日会はお父様たちの帰ってくる18時頃からでしょうし、一旦トゥリー様が家に帰る時間はあると思いますが、でも一度帰ってまたこちらにくるというのも無駄に手間がかかります。このままうちに来た方がいいと思うのです。


「はい、このままティア様と一緒に帰ってお邪魔させて頂きます。2組はまだ帰りの会が終わっていませんが、ヨモンドを待ちますか?」


 うーん…いつもならお兄様はご友人と遊んでから帰ってくるのですが、今日はそのまま帰ると言っていましたね。

 どうするべきでしょうか?お兄様は私たちと一緒に帰るつもりでしょうか?


「うーん…トゥリー様はどちらがいいと思いますか?」


「どちらでも良いと思いますよ。ティア様がヨモンドと一緒に帰りたいかどうかじゃないですか?」


 お兄様と一緒に帰りたいとは思いませんので、待たずにこのまま帰りましょうか。


 ――あ!で、でも!今日はアーニャがいないので、お兄様を待たないとなればトゥリー様と2人きりということになってしまいますわ!!


 ど、どうしましょう!トゥリー様と2人きりというのも少し緊張してしまうような気がします!!

 3人でいるときに2人で話していても緊張なんてしないのですが、完全に2人きりというのは初めてですし…ちょっとだけ緊張してしまうような…で、でもそれもなんだか…


「トゥリー様はお兄様と帰りたいですか!?」


 どうなんでしょう!?トゥリー様も緊張してらっしゃるのでしょうか!?こ、ここで別にお兄様と帰りたいわけじゃないと言われたら…言われたら!2人きりで帰ることにしましょう!


「え、俺ですか?まあ特別一緒に帰りたいとは思いませんけど…」


「そ、そうですか!…じゃあ、2人ともお兄様と一緒に帰りたくはないのですし、今日はその、2人きりで…」


「…どういう話の流れなのかわからないからなんとも言えないんだが…本人の前で『一緒に帰りたくない』なんて言うのは明らかに悪意があるよな?」


 え!?お兄様いつからそこに!?


「いや、ヨモンドを待つかどうかって話をしてただけだよ。別に待つほど一緒に帰りたいわけじゃないって話」


「それもそれでなんか複雑だが、まあ悪いがせっかくの機会なんだし3人で帰ろう。嫌か、ティア?」


 別に嫌ではありませんが…


 なーんか、一気に冷めちゃいましたわ。

 お兄様はやっぱり妹の気持ちのわからないダメダメお兄様です。いつも通りお友達と一緒に帰ればよかったのです。




――――




「学校から家までの道も慣れたもんだな。最近はもうそんなに遠いとも思わなくなった」


「まあそうだよね。話してればすぐ着いちゃうよ」



 …なーんか結局お兄様とトゥリー様2人で楽しくあ話してしまっています。今日は私のお誕生日なのですのにー。


 それに2人で勝手に共感していますが、学校から家までは今でも遠いです!最近は気温も上がってきているので私は疲れてしまうのです!


 まだ中央広場にもつかないのです!私もう疲れましたわ!



「ティア様、よろしければ」


「へ?あ、はい」



 トゥリー様が手を差し出してきたので、意図はよくわかりませんが手をとって繋いでみます。どうしたのでしょうか?


 トゥリー様から手を差し出してきましたのに、なぜか私よりも驚いた表情をしています。お兄様はもっと驚いた様子で、口をぽかんと開けています。みっともないので早く閉じてください。


「…荷物をお持ちしましょうかという意味だったのですが…でも、これはこれで良いですね」


「…なるほど。それで僕とは帰りたくなかったというわけか。すまなかったな、まさかそういう感じだとは知らなかった…」



 へ!?



「いや!ちがっ!や、ち、ちが!」



 …くもないかもしれないかもです…。

 でもまだ少しはやいといいますか…私たちはまだ幼すぎるといいますか…せめて後10年とは言いませんが、5年は早いのではないかなとは思います…はい。


 とりあえずこのまま手を繋いで帰るわけにはいかないので離します。一旦落ち着いてから、改めてトゥリー様のご好意に甘えるとしましょう。


 落ち着くときは深呼吸とアーニャが教えてくれました!息を大きく吸って、ゆっくり吐くのです!!



 すぅーーーーー……


 はぁーーーーー……よしっ!



「荷物、お、お願いします…」



 やっぱり恥ずかしいです!トゥリー様の顔が見れません!


 トゥリー様は私の荷物を受け取ると、一度ご自分のリュックを下ろして、私のリュックの方を背負ってくださいます。きっと手で持って形が崩れるようなことのないように気を遣ってくれたのでしょう。こういう心遣いがとても素敵です。




「手を繋いで帰るのはヨモンドがいないときにしましょうか」



 !?



 急に何を言い出すのですか!?え!?ま、まだ私たちにはそういうのは早いですよ!!!私は7歳に今日なったばかりです!トゥリー様はまだ6歳です!!!あと、3年待ってください!!!!

 大丈夫です!!そんなに急がなくても他の方のもとに行ったりなんて絶対にしません!!!



 ここは、鉄の意志を持ってちゃんと断らないと、はしたない女性だと思われてしまいそうです!ちゃんと断ります!!









「…………はい。…お兄様がいないときにまたぜひ…」





――――




「…トゥリー…お前いつか痛い目見るぞ…」


「?え、なんで?」


「まあいい。あと2、3年もしたらわかる…」


「…ああなるほど、そういうことか。――大丈夫だよ、別にティア様だけを特別扱いしているわけじゃない。ちゃんと全ての女性に対して平等に接しているつもりだよ」


「…………………はぁ」

トゥリーはみんなに優しいです。

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