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僕は完璧でありたいのである  作者: いとう
第二章 ガポル村の天才幼女
29/116

第二十三話 お別れの魔法なのである

短いです



 食事会はそれなりな感じで終わった。


 親同士の交流をメインの目的とした食事会だったので、子供は雑談しながら食事をしていただけだ。


 ハロルドパパとヘロンさん、リシアとママとカラさん、それぞれ子供が同じクラス同士で積極的に話をしていた。

 みんな、自分の子供が心配だからお互いに協力し合いましょうって感じなのであろう。



 ラファはヘロンさんからカチュアの面倒を任されたので、それなりに大変そうにしていた。カチュアの食事はまだ基本的に母乳らしいのだが、ラファとて流石に母乳は出ないので、ミルク瓶で食事を与えていた。

 大変そうにはしていたが、勿論嫌がってなどいなかった。楽しそうにお世話をしていたのでwin-winというやつなのである。



 僕たちキッズは本当に特に何もなかった。


 ハロルドは終始楽しそうに騒いでいたが、それについて悪く言う人はいなかったし問題はない。

 トゥリーはもともとほっといても問題ないし、ヨモンドとは僕の話題を中心に盛り上がって随分仲良くなっていた。

 ティアの機嫌は二品目がくる頃にはすっかり良くなっていた。2人でお揃いのアクセサリーを買いに行きたいという話をしてくれたし、僕のことを100%好きでいてくれているので安心である。



 まあ、一つ気になることがあるとすれば、ティアが僕以外に興味が全くなかったことだろう。


 自慢とか惚気じゃなく、一緒のクラスのトゥリーとも全く会話をしなかったし、ハロルドに嫌そうな顔をしていなかったのも、ただハロルドに全く興味がないだけのことだったのである。

 別に、ハロルドとトゥリーと仲良くして欲しいとかそういう話じゃなくて、クラスで僕以外の子と仲良くなれるのかが心配になったという話だ。


 ティアが他の子と仲良くできなかったら、僕とティアで2人きりの世界を作るだけのことといえばそうなのだが、僕の考え方では、ティアのように偏った価値観の下で育った子はいろんな人間と関わるべきだと思っている。



 要するに、ティアはこのままだと差別主義者になりかねないという話なのである。




――――――――――――――――――――――――――




「今日はごちそうさまでした。多分またすぐ来ます」


 今日はもともとお昼を食べるだけの約束だったので、食べ終わったら帰るのである。

 別にどうせまたすぐ来るだろうし、寂しくもなんともない。そもそもティアとはまた明日会うのである。


「私もまた来ていいですか?」


「ええ、勿論です。いつでも是非いらしてください。私もカチュアもラファさんが来てくれたらとても嬉しいですわ」


 ラファも今回はちゃんとカチュアにもお別れが言えたし、寂しそうではあるけれど、そんなに悲しい感じではない。

 カチュアはラファとのお別れを寂しそうにはしているが、眠たいがギリ勝っているので泣き出してはいない。



「リシアちゃんお花ありがと!また会いましょうね!」


「…機会がなければわざわざ会う必要ありませんわ」


 カラさんは完全にリシアを落としたのである。


 ティアがツンデレデレデレデレなら、リシアはツンツンツンツンツンデレなのである。ツンが多すぎてわかりにくいが、明らかにカラさんにはデレているのである。


 カラさんとママはリシアから花束をお土産にもらっていた。リシア感満載の赤と黄色を基調にしたド派手な花束なのである。


「ヘロン様、リシア様、本当に今日はありがとうございました。娘達がまたご迷惑をおかけするかもしれませんが、何卒よろしくお願いします」


 ママは思ったよりも人と仲良くなるのが下手なタイプだ。

 まだ距離が少し離れているし、緊張をしている感がある。



「本日は本当にご迷惑をおかけしました…」


 ハロルドパパの別れの挨拶はもう、あれだ。


 顔は死んでいるし、声も震えているし、1人だけオーラがどんよりしている。気にしすぎてむしろ良くないレベルなのだが、そういってやるのもかわいそうなのでやめておくのである。



「ヨモンドまたなーー!!」


「ああ、また明日な」


「ご馳走様でした」


 チビ学生達の挨拶なんて、どうせ明日また会うのだから適当なものなのである。


「アーニャ、今日は帰っちゃうんですか?お泊まりしてくれて本当にいいんですよ…?」


 ……一名を除いて。


 なんでこの娘はこんなに寂しそうなのかよくわからない。

 明日またすぐに会えるというのに、めちゃくちゃ寂しそうにして泣きかけているのである。


「明日の準備もあるから今日は帰るよ。また明日会えるからそんなに寂しそうにしないでよ」


「…でも、寂しいものは寂しいです…」


 ティアは僕の袖を軽く引っ張ってくる。


 この娘は本当に萌え要素を詰め込んでいるのである。

 僕は決してロリコンなんかではなかったはずなのに、ティアを見ていると胸の奥がキュンキュンしてくるし、愛おしくて仕方がかないのである。

 …もしかしたらただの母性本能なのかもしれないが。


 まあとにかく帰らないといけないものは帰らないといけないので、ティアの手を振り払わないといけないのである。




 ティアの手を冷たく振り払うなんて僕にはできないし、とっておきの手段を使うことにしよう。





「ティア」


「はい?」


 …ちゅ


「!?」







 別れはほっぺにキスと、相場で決まっているのである。





誤字報告を頂きました。誠にありがとう御座います。

大変恐縮では御座いますが、これからも誤字等がありましたら報告をして頂けると幸いです。

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