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僕は完璧でありたいのである  作者: いとう
第二章 ガポル村の天才幼女
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第十五話 お出かけなのである

前半はアーニャの汚い部分が現れていますので、不快に思われる方がいるかもしれません。



 僕は『聖人』ではないので、人の好き嫌いくらいある。



 僕は自分を磨く『努力をしない人』が嫌いだ。



 勘違いしないで欲しいのは、もともとできる人なのであれば『努力をしない人』でも僕が軽蔑することはない。

 僕が嫌いなのは他人より劣っているくせにそれを改善したり、埋め合わせたりする『努力をしない人』なのである。



 もう少し具体的な話をしよう。



 イケメンが美容やファッションにそれほど気を使ってなかったとする。勿論、不潔なのはNGだ。

 僕はその人のことを全く悪くは思わない。その人は生まれながらに他人より優れているのだから、何もする必要なんてない。自然体で十分である。


 では、ブスが美容やファッションにそれほど気を使ってなかったとする。勿論、不潔なのは論外だ。

 僕はそいつのことをひどく軽蔑する。生まれながらに他人より劣っているのだから、少しでも良くなるように努力をするべきである。他人より劣っていることを恥じるべきだ。



 きっと『聖人』ならどんな人に対しても優しく、変わらない態度を取るのだろう。ブスのくせに努力をしない人にも他の人と同じ態度を取るのだろう。



 だから僕は聖人が嫌いだ。



 だって考えてみて欲しい。


 生まれながらに太りやすい体質で、顔だって整ってなくて、肌まで弱くてすぐニキビができちゃう人がいたとする。

 だが、その人はそのことを気にしていて、周りのレベルに近づくように、周りの人に不快な思いをさせないように、あるいは自分が誰からも見下されないようにと、必死で努力をして『普通』の見た目になっていたとする。


 その人と、自分はブスだからどうでもいいと割り切って何もしない人とを同じように扱うことは、本当に良いことなのだろうか?



 僕にはそんなことはできない。



 僕は女顔と低身長を必死で誤魔化して生きてきたのに、なんの努力もしてないくせに平気な顔をして、「お前はイケメンだからいいな」と言ってきたあのブスどもを見下さずにはいられなかった。


 勉強だってそうだ。


 自分はバカだからといって努力もしないでフラフラしている連中に、「お前は何もしなくても頭が良くていいな」なんて言われたくなかったのである。



 世の中にはどうしても勉強が苦手な人というのはいる。

 そういった人たちの中にも、最低限の勉強をしたあと、自分にできる他のことを探して必死に頑張っている人たちがいるのだ。


 どうしてそんな立派な人たちと、何もしてないバカを一緒にできようか。



 僕は人に払う敬意のレベルを概ね四段階にわけている。



 もっとも敬意を払うのは、他人よりも劣っていたのに、ひたすら『努力』をして自分を磨きあげた人だ。



 2番目に敬意を払うのは、生まれながらに優れていながら、『努力』をして自分を磨き続ける人だ。



 なぜ、同じ『努力』を続けた人なのに、他人よりも劣っていた人の方が尊敬するかといえば、自分の優れたところを伸ばすよりも、劣っているところを補うほうが、精神的にも必要労力的にも険しい道のりだと思うからである。



 三番目は、生まれながらにある程度能力が足りているから、『努力』をしない人だ。



 まあ普通の人というべきだろう。

 ここの人たちは尊敬も軽蔑もしていない。

 圧倒的というほどの欠点なんてものはどこにもない人が世の中のほとんどで、大体の人がここに入る。


 僕のように少しだけ人よりも気になる部分を補っているようなタイプも概ねここに該当する。


 だから僕は自分のことを立派な人間だとは思っていない。

 僕がなりたいのはあくまでも『完璧』なのである。



 それで、僕が最も敬意を払わないのが努力もしないカスというわけだ。



 ただ、上位三段階の人種にも、一定の条件でそいつらと同等に軽蔑する連中がいる。



 それは『努力』をした人に敬意を払わなかったり、『努力』した人としてない連中を同じに扱う奴らである。


 努力をしている人を笑う奴、努力をしている人をそれでもデブやバカと罵る奴、努力をしている人の努力を考えない奴、努力をしている人と努力をしない奴を同じように扱う奴




 『聖人』はそこに該当するのだ。




――――――――――――――――――――――――――




 季節は12月、例年通りの寒い日々が続く。


 10月ごろから気温はぐっと低くなり、公園で修行をしていても凍えそうになってくるのだ。

 夕方なんかは寒くて外にいれたもんじゃないので、僕もラファやトゥリーが帰るタイミングで家に帰るのである。


 それでも僕らは毎日、天気さえ良ければ必ず修行をしに公園に向かうのだ。



 ――しかし、今日はいい天気なのにもかかわらず、僕とラファは公園には出掛けていなかった。




 そう。今日は予定があるのだ。




――――




「トリシアー!襟とか曲がってないか!?」


「ママー!後ろのリボンみてー!」


「ママー!髪の毛アーニャが結ってあげる!」



 今日僕たちはなんと、パークス領領主様であるカドルテ・パークス様にお食事にお呼ばれしているのである。

 お呼ばれしたメンバーは僕たち一家4人と、ナスフォ街の街長一家の6人だ。


 ちなみに、どうやらパパはガポル村の村長だったらしい。だからお呼ばれしたのである。



 僕たち一家の姓は『ハレア』であり、『ハレア』という姓は代々ガポル村の村長一家が名乗るものなのだ。

 パパの前の村長は件の魔物襲撃事件でお亡くなりになったらしく、パパが引き継いだらしい。


 あ、そうそう。ガポル村の村長は護衛責任者が兼任するからパパがなったのである。別にパパが仕事ができるとかそういうわけじゃないのだ。



 カドルテ・パークス様は毎年年末に領内を回って各長と食事をしているらしい。

 そしてどうやら、来年からカドルテ様の御子息であるドルモンド・パークス様が初等教育学校に入学するということで、ドルモンド様の紹介を兼ね、今年は家族で食事という形にしたとのことだ。



 ナスフォ街の街長一家はナシアール一家という。

 ないのかあるのかはっきりしない一家である。


 ナシアール一家の家族構成は父、(母1、長男、次女)、(母2、長女)といった感じらしい。

 次女は今年生まれたばかりで、長男と長女は僕と同い年とのことだ。



 さて、そんなこんなでママのヘアセット完了だ。



「パパみて!ママかわいいでしょー!」



 ママはまだ若いし、今日の食事の誘いにはあまり堅苦しくない楽な格好で来てくれと書いてあったので、ゆるい三つ編みにヘアピアスをつけて、可愛らしい感じにしてみた。



「か、かわいいにはかわいいけど…どうなんだろう…?少し派手すぎないかな?」


「いや、大丈夫じゃないこのくらい?髪型自体は後ろで緩く編んでるだけだし」


「え、へへ…。ね、ロンド?だめ、かな? 私これで行きたいなーって思うんだけど…」



 ほらかわいい。ママがこんなにかわいいのに文句言ってくるような領主だったらパークス領から出て行こう。

 だいたいドレスコードだなんだってやつはお互いが気持ちよくあるためのものなのだ。

 領主様からの手紙を見る限り向こうだって堅苦しいのはもとめてないし、パパが気にしすぎなのだ。



「ラファは準備できたよ!」


「今日は馬車が迎えに来てくれるから待ってようね」


「うん!」



 ラファはテンションマックスである。

 ドレスを着るのは初めてだし、やっぱり女の子としては嬉しいものなのだろう。ずーっと鏡の前でくるくる回っている。かわいい。


 僕としてはドレスはどうでもいいのだが、領主様に会えるのが楽しみでうずうずしている。この感覚はなかなか転生する前ではなかったものだ。

 本物の偉い人に会うというのはこう、なんか、なんとも言えない嬉しさがあるのである。


 まあ一応アルナーイ一家と会うのも楽しみだ。

 なにしろ来年から一緒の学校になる子が2人もいるのだ。うちの村ではトゥリーと僕以外にはハロルドしかいない。



「にゃーーーー!ーーー」


「お!馬車きたよー!」


「わーーー!ラファ馬車初めて!!」


「ママも初めてよー!」


「アーニャー、猫はおいていけよー」



 さて、出発である。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前半の後半の意見はまだ分かるけど、前半の最初に言ってる事はただ差別してるだけのクソ野郎じゃん... 価値観の押し付けとしか思えない、お前何様だよってのが率直な感想ですね 要は努力しない奴は例…
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