闇へ誘われ。
いろいろあって。
「今日はありがとうございました。アリタニアさん。」
「最高の出来にしてやるよ!武器はあるから、防具でいいか?」
お別れの時間だ。
「武器の性質上、動きやすくないといけないのでその辺頼みます」
近接戦に弱いため、位置がバレると一気に詰めてくる可能性がある。なので、こまめに場所を変えて撃つ必要があるのだが、あまり知られていない気がする。
「わかってるって。あ、ガランとバカ。そいつにこの世界での常識をちゃんと教えてやんな。取り敢えず最低限のな」
「分かっている。本来ならばまだ訓練の段階だからな。これから教える」
「あれ、今バカって言われたような...」
バッハさん、かわいそう。いい人なのに。
帰り道である。バッハさんが不思議がっていた。
「もう暗くなってきましたね。この季節だと早いんじゃないですか?」
「そうだな。例年より早い。……だいぶな」
そういうとガランさんは剣を抜いた。
「ガランさん…?」
急に剣を抜いたガランさんを見て俺びっくりした。
「…なるほど」
バッハさんも何かを察したのか剣を抜く。
「まぁ、流石アリア騎士団副団長といったところか。」
そう声が聞こえると、薄暗かった周りが闇に包まれた。
「な、なんだこれ!?」
「街に魔物が入ってくるとはな」
「話す魔物で闇結界まで作る...かなりの強敵ですね」
闇結界ってなんだよ!さっきから知らない単語ばっかり出てくる!
「アキラ、僕たちからあまり近すぎず離れすぎない場所にいてくれ。」
「実戦未経験の僕には難しくないですか、それ」
「フン。遠すぎれば敵に切り裂かれ、近すぎると私たちに斬られるぞ、勇者」
なんでこんなタイミングで敵が出るんだ。しかも強いらしい。