訓練開始
こちらの世界に来て3日目。今日から全員戦闘訓練だ。教官にはこちらの世界の人がつく。D,Eランクは一般兵に指導してもらっている。B,Cランクはある程度強い騎士、S,Aランクともなると、名のある人がつくようだ。
そして、Fランクにはもちろん一般兵だ。だが、D,Eと違って、つきっきりである。
「よろしく、君の担当のバッハだ」
「彰です。よろしくお願いします」
バッハさんは一般兵であるものの、最近は功績を挙げ続けているので昇格は目前らしい。22にしてここまでくる人はかなり少ないらしい。
一時間後、休憩に入る。それまで、基礎を叩き込んでもらった。
「近接戦闘では、相手の動きを見るっていうのがかなり重要。だから、戦闘中に瞬きは基本しない。相手が格上だとなおさらだ。一瞬の隙が結果を大きく変えるからね」
「はい。じゃあ、もう一回!」
「おっ、いいね!いくよ!」
戦闘訓練は楽しい。なかなかセンスがあるようで、バッハさんに褒めてもらった。
「おっ、飲み込みが早くていいね!でもね、」
俺は木剣を持って訓練している。相手の動きを見て、隙が見えたらそこを突く!
「隙があるように見えて、そうじゃないときもあるから注意だね。ほいさっ」
そういうとバッハさんは僕の足をからめ取り、転がせた。
「うわー、すげー」
地面に大の字にころがりながら言った。本気で感動してそれくらいしか声が出なかった。
「まぁ、今の指導内容は訓練一日目にするような内容じゃないんだけどね。飲み込みがいいからさ!」
あはは、とわらいながら頭を掻いている。
まぁ、それくらいのセンスがあるということで...
「にしても、あれはエグいな...」
バッハさんが視線を移し目を少し細めて言った。
「あれが、Sランク...速い」
あれは、上級者だ。間違いない。俺とやったら何回死ねるだろう。
「僕でも勝てそうにないなぁ、Sランク勇者。結構頑張って来たんだけど」
バッハさんが苦笑いになってしまった。
「俺もいつかあそこに行けるでしょうか」
「どうだろう、人の域を超えてるような気がするからなぁ...まぁ、君も勇者だから、行けないことはないんじなないかな?」
俺もいつかみんなと戦えるように...それを目標に、FランクでもFランクなりに頑張ろうと決意した。
その日の夜に入る頃。
「アキラさーん!いますかー!」
彰の部屋にコンコンとドアをノックしながら人が来た。
「はーい、今出ます」
ガチャりと扉を開けると、アリスさんがいた。
「あれ、どうしたんですか?」
「先日の、金属を加工してくれる腕のいい職人さんを見つけました!」
アリスさんが笑顔で言うとこちらまで笑顔に...じゃなくて。
「ホントですか!ありがとうございます!」
「急ですが、明日にでも素材を渡しにいこうと思っています」
「はい!ぜひお願いします。早い方がいいので」
自分強化ができる!やったぜ!
「明日、訓練後に行きます。護衛を一応つけますのでそちらで案内してもらいます。それでは、失礼します」
加工屋が思ったより早く見つかったな。