女神代行と異世界の景色
「私は女神代行の任に就いています、アリスと申します。この世界を救っていただくために皆様を召喚しました」
そう言うと指先が光る。
「水よ、走れ」
そう言うと指先から水が生まれる。
「「!?」」
周りの友人や先生、他校の生徒も驚いている。俺も驚いた。
「魔法…」
俺はその言葉しか発せずにいた。
「ど、どうせマジックとかだろ?」
「ハハ、どうだろ、英語でマジックは魔法じゃなかったか?」
周りも動揺したいる。
すると、一人の男が言う。
「外を見てもらえると、ここが元の世界でないことがわかるかと思われますよ、女神代行」
「そうですねガランさん。それではこちらへどうぞ」
ガラン、と呼ばれた男が女神代行、アリスさんの横で言った。
女神代行のそばにいかにもな格好をした騎士が何人かつく。
「私達は女神代行の護衛だ。変な真似をするなよ。安全は保証しかねる」
そう言った騎士からは常人には感じられない圧を感じた。普通の生活をしていたらあんな風にはならないだろう。
やはり、戦いを繰り返してきた者との差だろうか。魔王と言っていたが、モンスターが存在するのか。
「こちらです。全員は入りきらないので少しずつ入ってください」
転移された場所は広かったが、外の景色が見える部屋というか、外が見える窓は狭いようだ。彰はどちらかというと後半にいた。前の人がはしゃいだり、絶句したりしているのが伺える。
彰もまた、その一人だ。
「..................」
言葉も出なかった。
目の前に広がる光景は、青い空と大きな街。現実にはありえないはずの大きな城があった。
確かに異世界にきてしまった、そう認識した。
どのくらいたっただろうか。
「あなた達は違うガッコウから来たのですね?」
「あー、はい」
「えと、教育機関のことです」
女神代行と先生方がなにやら話している。能力判定までの時間に、状況の把握をするそうだ。
能力判定。そう、どんな才能が眠っているか青い玉を使って調べる行為。らしい。
なにしろ、総勢302名もの能力判定。それなりに時間がかかる。
「今回は高ランクの勇者が多いですね」
「魔王討伐が遂に果たせるかも、ですね!」
ここの職員だろうか。聖職者のように見える。能力判定は彼らの側で行われており、彼らは判定結果を見てメモをしている。
20分くらいすると自分の番が回ってきた。
そのときチラッと見たが、書いているのは日本語だった。この世界では、普通に日本語が通じる。文字も日本語となると、だいぶ楽だ。
「次も良い勇者かね?」
「えぇ、きっとそうです。今回は皆、優秀な者のようですから」
Aランクが既に5人出ているそうだ。前の召喚では全部で4人だったので既に越している。
「そんな期待されても...俺は役に立てませんよ...」
「あ、あぁ...いえ、大丈夫ですよ。むしろ低いランクの人が多くないと不自然ですからね!大丈夫です!」
さらっと自分のことを役立たずだ、と言っておく。これで後々良かったら謙遜してるだけになる。悪くても言っただろ、役立たずだって。と言って少しおまえなんなの?というのを回避可能だ。と思う。
「これは......!!」
能力判定は二つの班に分かれて行われていた。
302人のうち172人の他校の内、
Sランク9人
Aランク37人
Bランク43人
Cランク28人
Dランク20人
Eランク35人
302人のうち130人の俺の学校の内、
Sランク8人
Aランク30人
Bランク43人
Cランク21人
Dランク13人
Eランク14人
Fランク1人
俺の番の次からどんどんDEF帯が出てきたらしい。
そして俺はただ一人のFランクとなった。