火の魔法
この後の予定。
一ヶ月訓練後に、更に訓練をする。今までは対人の訓練だったが、魔物に対抗するための訓練を開始する。対処が簡単な低級の魔物から、魔法などを使う中級、アホみたいに強い上級までいろんな対処の仕方を学ぶ。
A〜Cは。
Dより低いランクでは、下級、中級に遭遇した場合の訓練のみ。その後は複数人で行動するための訓練や、多数の魔物との戦闘の訓練だ。
DとEは。
ただ一人のFランクは一味違う。基礎訓練の後、対人を他より長くする。そして俺の武器の特性上、スニークの練習や、位置を特定された時に素早く離脱するための体力強化をする。弓よりも遠距離での戦闘が予想されるが、そうなると、弾切れを起こした際に役立たずとなる。
「というわけで魔法、ね。できるかな…」
現在、神殿の裏庭にて。訓練中。
「簡単なものもありますから。少しずついきましょう」
なんと、先生はアラジールさんです!この信頼感たるや。
「まずは火の魔法からいきましょうか。小さな火からです」
「火、ですか。燃えろ〜…」
出ませんでした。
「詠唱が必要ですからね。そりゃ何も起きませんよ」
「むぅ。燃えろって言いましたけど。」
「適当じゃだめです。魔力の流れを意識してみましょう。」
物に魔力を流すみたいな感じか。
「自らが持つ魔力を意識するのは出来てそうですね。では、この空気中にある魔力も意識してみましょう」
「空気中?」
「この世界は魔力で溢れています。あらゆる生命体や大地や海までもが魔力を発し、この世界は出来ています」
そうなのか。魔力はそこら中に漂っている。
「なにも、自分の魔力だけじゃなくていい。火をイメージして、この空気中の魔力を使えば…」
『うふふ…』
「…!今なにか、声が…」
聞こえた。そう言おうとしたとき、目の前に閃光が走った。
アラジールは瞬時に判断した。これはまずい、と。
「プロテク!!」
詠唱は基本的に必要。だが、緊急時に詠唱時間などないため、省略可能。修練はそれなりに要るが。
神殿の裏庭の半径二メートルが吹き飛んだ。梶彰を中心として。