ペイフォワード⑬
良太を伴い、風真が校舎の一階まで降りて来たところで、午前のニ時限目までを自習にするという校内放送が流れた。二人でガラス張りの玄関の外を覗いても、不審者の姿も駐在所のパトカーの姿も見当たらない。
風真は、昨夜来ていた俊葵からのラインを思い出し、ついでにその依頼をやってしまうのはどうかと思いついた。
「ふーま、何やってんの?」
何やら探し始めた風真の視線を追って、良太が外を眺め始めた。
「あ、いや、ここ離れ島なのに、結構車で来てんだなー先生達、とか思って、」
「な。ずりーよな。俺達はあの坂自分の足で登ってきてんのにさ、」
「だね。」
フフと笑いながら頷いて風真はある事を思い出した。
「良太さ、車好きだよね?」
「うん。」
「じゃさ、校内に停まってる車の車種とか分かる?」
「俺は基本旧車専門だけど、ある程度は分かるかな。」
「そうなんだ。すごい。」
「へへ、
別にすごく無いけど、機械はカメラだけっていう風真よりは確かにマシかもな。」
良太が鼻の頭を人差し指で擦った。
「ゔ、図星で何も言えん。」
「はは、
で、どれ知りたいの?」
「うーん。ぜんぶ?」
良太が怪訝そうに眉間に皺を寄せた。
「あ、いや、今思いついたんだけど、文化祭用の作品に、オーナーと車を一緒に撮るシリーズなんてどうかなぁとか...この間、キューピー先生にビートルの写真あげたら、めっちゃ喜んだからさ、」
「ああー」
良太は、納得してくれたらしく頷いた。
「あ、でも、車種は分かっても流石に誰のかまでは分からないよね?」
風真は上目遣いで良太を見上げた。
良太は首を横に振る。
「やっぱ気になるんだよね。エンジン音がすると振り向いて見ちゃうんだ。だから誰がどの車に乗ってるかは大抵分かると思う。」
「すご...」
「だからすごくは無いって、あ、でも、機械音痴の風真よかはマシなのか、」
良太はニヤニヤしながら言った。
「ん、もう!」
「はは、」
「じゃ、お昼休み時間とかお願いしていい?」
「いーよ。
俺の旧車愛も合わせてたっぷり聞かせてやる。」
「おけ、」




