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風を感じるために生まれた  作者: 新井 逢心 (あらい あいみ)
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ペイフォワード⑪

相手は、風真の母親の涼風だった。

風真から一連の話を聞き、何か出来ることは無いかと電話をかけてきたのだった。


『私、そっち行こうか?』


「え、」


『あ、違う違う。姫島の方。』


「え、でも...」


『誰も、彼を見る人がいないんでしょ。医療従事者で、』


「確かにその通りなんですが...手当をしてくれた人が二、三日なら都合付けようかと言ってくれてて、」


『あのさ、私、都合付きそうなの。てか、付くのよ。これさ、あんま名誉な事じゃないから、電話でちょっと言い難いんだけど、実は私の勤めてる病院、営業停止食らっちゃって、』


「は?」


『病院だから営業はおかしいかって、まぁそんな事は置いといて、つまり通常業務が再開するまでウチの診療科は、自宅待機言い付けられてて暇な訳。』


「あー、なるほど。じゃあ、」


『え、それって行ってもいいって事?』


「ぜひ、よろしくお願いします。」


『やったぁ、実は師長にはもう、田舎の親戚の介護に行くから市内を離れるって言っちゃったの。』


「ハハ、涼風さん。電話ちょっと待ってもらえますか。この事、島の人達に伝えますんで、」


「おっけぇ、」




「あの人花池さんだっけな。例の看護師。」

伯方が呟いた。


「ええ。花池 涼風すずかさん。どうですか。」


「どうもこうも、中々の豪胆だ。」


クスッ、

「不測の事態に備えるのが仕事なんだから、看護師さんは多かれ少なかれそういうものでしょう?」


「いや、ありゃ特別製だ。」


ハハ、


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