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風を感じるために生まれた  作者: 新井 逢心 (あらい あいみ)
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ペイフォワード⑥

最初に校内の異変に気がついたのは、校舎の玄関で靴を脱いでいる時だった。


「どちら様?何のご用ですか?」  

生徒の声でざわつく中、キューピーもとい校長先生の声が聞こえてきた。

いささか居丈高いたけだかな声色で、らしくないと思った風真が顔を上げるも、登校の集中したタイミングだったらしく、人垣に阻まれてしまってその問いかけられている人物の姿は見えなかった。


「いや、私はその...」

ざわつきがさらに大きくなっていく中、成人男性のしどろもどろの声だけが途切れ途切れに耳に届いてくる。


風真の隣にいる女子三人が、脱いだスニーカーを下駄箱に収めつつ、爪先立ちでその様子を窺い始めた。


「何あれ、」

「なんかおっさん怒られてんね。」

「あ、あれ多分さ、ウチの部の先輩が言ってたヤツかも、」

「え、何なに?」

「先週?学校帰り知らんおじさんに声掛けられたって、」

「んで?」

「何年何組か聞いてきたらしい。」

「んでんで?」

「でー、何も言わず逃げたらしい。」

「ふぅ〜」

「それ、マジで正解!キューピーちゃんがあんなに怒ってんだからさ、きっとヤバい奴だろーしさ、」

「だね。逃げて正解。」


さらに、玄関は寮生の登校のピークを迎えていたようで、大勢の生徒で溢れ始めた。

風真は上履きに履き替えるのを諦め、脱いだ靴をサブバックに放り込むと、そっと教室へ向かう生徒の波に乗った。


3階にたどり着く頃には生徒の数は少なくなり、何で上履きを履いてないんだとクラスメイトに突っ込まれる事が急に気になりはじめた。

階段のすぐ横がA教室で、川東クラスの教室はその隣にあるのだが、通りすがりに目の端に入るA教室がひっそりしているのに気がついた。

いや、ざわつくにはざわついているのだ。ただ生徒の姿が目に入らない。今度は首を教室の中に向けてみると、既に登校している十数人は全員、窓から下を覗き込んでいる。何をしているのかと、人見知りの風真が他クラスに聞けるわけもないので、玄関のアレだろうかと思いつつ自分の教室に向かった。


B教室の扉を開けると、A教室と同じく窓下を覗き込んでいたクラスメイトが振り向き、何人かは掛け寄ってきた。

「風真、」「やっと来たか。」「何か騒ぎあったけど、大丈夫か?」


「ぉ、おはよ、いや何も、やっと来たって何が?」

風真が首を傾げると、

「そっか。なら良いけど、」

クラスでは、一番取っている授業が被っている白石 良太がそう言ってチラリと後ろを見た。


「よし、全員揃ったね。」

クラスのドンと化している芽衣が手を打ち、顎をしゃくる。別の男子が風磨が今入ってきた扉の鍵を下ろした。















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