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風を感じるために生まれた  作者: 新井 逢心 (あらい あいみ)
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エンパシー③

「そう言えば、畠山。お前、この家の事どこで聞いた?風真か?」

俊葵が光生と風磨を交互に見て言った


視線を受けて風磨はブンブンかぶりを振った。


「港で聞いったっす。」


チッ、

俊葵が舌打ちする。

すると風磨が肩を跳ね上げさせた。


「あ、風真すまん。」


「い、いい…」

一瞬、風磨の顔が陰った。


光生が不思議そうに見ている。


「あ、あの、光生君がここの事聞いたのどんな人だった?」


風磨の取り繕うような言い出し方が気になったが、

光生は顎に手を置き、頑張って思い出してみた。


「あ、そうだなぁ。色が黒くて筋肉質で背は風真くらいか、」


「それ多分、宮城さんだね。俊葵さん。」

風磨がホッとしたように、俊葵をふりかえった。


「だな。」

そう言うと、俊葵はスマホを取り上げた。


「あ、シュン?うんそう。今日俺の知り合いに道教えてくれたんだってな。ありがとな。

で、相談なんだけど、そいつ、ちょっと訳ありで…そうだろ?…そうなんだよ。そういうわけだからさ、変なのがそいつ探しにくるかも知れないんだ。だから …そうそう、分かってるやん!よろしくな。また今度飲もう。じゃ、ありがとう。」


クックック…

俊葵は、スマホをタップすると笑い出した。


「シュン…宮城がさ、畠山の事、既婚者に手を出して旦那に追いかけられてる間男まおとこだと思い込みやがった。俺が写真やってるから、その伝手で女グセの悪いモデル匿ってやるんだと勝手に、フフッ、追々誤解は解いといてやるから、今はこの方が都合いいだろ。言いふらすやつじゃねぇしさ、」


光生も楽しそうに笑っている。


「ああ、これでいい事を思いついた。食べ物やら持って来てもらうのに、歩きじゃあ涼風さんに悪いと思ってたんだが、世話をする人間が出入りするってシュンに吹き込んでおけば、俺の軽トラ使ってもらうのも全然問題ないな。涼風さんなら、ほかの島民に見られても、年恰好で葵だと思われてスルーされるだろうし、」


俊葵は自分のアイデアに満足したようで、何度も頷いている。


風磨は肩をすくめた。

「ま、遠目には…って事で、じゃないと葵さんに失礼だよ。」


「アオイさんって?」

光生が聞いた。


「俊葵さんの妹さんだよ。」


「あ、アオイさん、ここに住んでるんじゃないんすか?」


ーーああ、その心配ねーー


「葵は…本島に住んでる。万が一立ち寄っても、用があるのは庭の方だ。家の中にまでは入って来ない…」


ブツブツ言いながら、俊葵は洗い物を黙々とキッチンに運んでいる。

風磨もカップやらを運ぼうとして、俊葵に取り上げられた。


光生が、風磨の肩をちょんちょんと突っついてきた。


ーー俊葵さん、昨日も明らかに葵さんと会ってから不機嫌になった。きっと突っ込まれたくないんだよな。

光生君は聞きたそうだけど・・・ーー


振り向きざま風磨が、

「あ、そうだ。光生君。昨夜、僕、写真現像したんだよ。結構前に学校で撮ってたやつ。見る?」

と言うと、


「え、あのお父さんのカメラで撮ってた写真か?見る見る!現像って、プリンター使わずにやるんだよな。すげぇーじゃん。風真。」

と、光生が食いついてくれて、

風磨はホッと胸を撫で下ろした。


「もう、そんな事は写真見てから言ってよ。」


あからさまに褒められて、風磨は、照れ隠しに、わざと足音を立てて暗室に入っていった。



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