コントラスト⑥
「ん?どういうことだ?」
俊葵が眉根に皺を寄せた。
「このプリント、」
風磨がトントンと指先で叩く。
「光生君の顔がハイライトで、背景が勿体無いって言ったでしょ。俊葵さん、」
「ああ。」
「そしてこうも言った。周りのモノに覆いをしてから、追加の露光をするのは、『背景に小道具以上の役割をしてもらっては困るから』だって、」
「ああ、」
椅子の背にどっかり体を預けて、顎を上げたまんま目を細める。これが恐怖のギャング顔。風磨はその顔が怖いと言っているが、俊葵は一向に辞めようとしない。
でも今は怯んでる暇はないと、風磨はそのまま話を続けた。
「周りのモノに、小道具以上の役割をさせようとしたらどう?」
「あー?」
ーーだから、怖いって、ーー
「あ、んもう!つまり、光生君のコントラストを下げるのは、光生君から目を逸らさせるためで、そのための道具として、」
風磨は上目遣いで俊葵を見、言っている事を理解してるか反応を待った。
一時、風磨の顔を見つめていた俊葵だが、
「何かから人の目を逸らさせようとして、ゲイをカミングアウトしかけたってか?」
と叫ぶと、ガバッと身を起こした。
「うん。僕、光生君のお父さんに会ったことは無いけど、一時の気の迷いとか、話題性のためにとか、そんな独善的理由だとはどうしても思えないんだ。光生君にとっての最善の選択だったと信じてやってる。そんな気がして仕方がないんだよ。」
「うーん…」
俊葵は、また背中を椅子の背に預けて、腕組みをしている。
「畠山の何から目を逸らさせる必要がある…」
「俊葵さんは言ったじゃないか、『子供を守る為ならリベラルなんか糞食らえってのが親ってもんだ。』って、」
「この場合はむしろ逆だぞ!時代の流れかも知れんが、好奇の目に晒される。」
「そうだね。でもここまでして光生君のお父さんは、何かから光生君を守ろうとしてるんじゃないのかな?この手段を使うのが一番良いと踏んだんだと思うんだ。」
「それほどの何か、お前は何だと思う?」




