表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔と一緒  作者: 犬又又
1/25

波の音


 右手の平から目もくらむような金貨が溢れてくる――歪な金属音が価値と共に押し寄せて落下しては鈍い音が降り積もる。


 光に当たりより眩しく、影に重なりより眩しく、強大な権力を付随しながら落ちていく。


 左手より力が発せられる――権力にも似て、権力と非なる。


 純然たる力は畏怖と恐怖を宿らせる。


 ほほ笑む悪魔が一人。


 どちらにも惹かれ、どちらにも引き寄せられる。


 欲しいと思い、喉から手がでるほど欲しいと、それさえあれば、怖い物など、恐ろしい物などなにもない。


 ただ、そのどちらにも手が伸ばせなかった。


 何よりも怖いのは自分が変わってしまう事。


 違う、自分の本質が露呈してしまう事。


 いつかぼくがぼくで無くなる事。


 だからぼくは、どちらも手に取らなかった。


 掴むのは悪魔の服の裾。


「強欲ね」


 にたりと笑みを浮かべて悪魔は笑った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ