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弱い奴

「高人、お前さん今日は華と一緒に登下校しろ。わしゃぁ急な用事が出来てしもうた。」


朝起きて急にそんなことを言われた。


「は?そんなもん一人で行かせりゃいいじゃねぇか!なんで俺と一緒に行かなきゃいけねぇんだよ!!」


「馬鹿もん!華はまだここに来て日も浅い。何よりあの子は………

とにかく今日一日華と一緒に登下校せぇ!!」


そう言ってジジィは仕事に向かった。

なんで俺が一緒に行かなきゃなんねぇんだよ。

俺は人間が嫌いだ。両親がいない俺のことを変な目で見てきたり、挙句の果て変な噂話まででっち上げる。

そんなヤツらが許せない。大嫌いだ。

だからジジィが連れてきたあの白いチビも嫌いだ。


今日も朝からあいつはビクビクしてるし、声ひとつ出しやしねぇ。

弱いやつも俺は嫌いだ。見ていて腹が立つ。


そうこう思いながら朝食をとって、身支度をしていると学校に行く時間になった。


「鍵、閉めとけ。勝手に着いてこいよ。俺は知らねぇからな。」

エレベーターを使って下に降り、学校へ向かい歩き始める。

その俺の後ろをトコトコ鬱陶しく追いかけてくる。

妹?血も繋がってないのに何が妹だよ。ふざけんな!

俺は一人で十分だ。どうせ誰も俺のことは必要としてないんだから、何しようが勝手だ。



学校に着くとあいつとは別れ、俺は教室で授業を受けた。

昼休みに唯一の親友 怜 が「放課後、遊ぼうぜ!」

と誘ってきた。


俺はチビのところに行き、「おい、行きで道わかっただろ。だから帰りは一人で帰れよ。」と言った。

行きで来た道をそのまま戻ればいいんだから大丈夫だろう。そう思った。


そもそも何であいつのせいで俺の自由が奪われるんだよ。

小学2年にもなって一人で帰れねぇとかありえねぇ。



午後の授業を終え、掃除当番をサボり、怜といつもの公園に遊びに行った。

今日はバスケットボールをした。怜も俺も運動神経抜群だからいつも決着はなかなかつかない。

でも、それでいい。

この怜と遊べる時が俺の唯一の楽しい時間だ。


少し休憩をしている時に怜がふとたずねてきた。

「高人お前、今日朝一緒にいた子は誰なんだ?

白いふわふわっとして、小さくてヒョロっこい。」


「あぁ、あいつはジジィが勝手に連れてきた奴だ。

いっつもビクビクしてるし、喋んねぇ。

あんな弱い奴、俺は嫌いだな。」

コーラをぐびっと一気に飲む。


「一緒に帰らなくて良かったのか?昼休みその子のところに行ってたんだろ?」


「一人で帰れるよな、っていったらあいつ頷いてたから大丈夫だろ。」


飲み終えたコーラの缶をゴミ箱に向けて投げ入れ、怜とのゲームを再開した。





6時頃に怜と別れ、家に帰った。

最近はジジィがあいつの為に休んでいたから家に帰れば電気が付いた。

しかし、何故か今日は付いていない。



先に華が帰ってきているはずなのに。

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