中学生
そして、桜の蕾が開き始める頃に、怜はイギリスの学校へ、高人は中学校へ入学し、私は5年生になった。
私は小学校に一人になったけれど、高人や怜のおかげで普通に喋れるようになっていたし、その頃には私の髪の色をどやかくいう人達はある程度決まっていたので、話しかけてくれる人も以前に比べて増えていた。
だから普通に友達も出来たので、学校での不便は特になく生活していた。
高人は持ち前の運動神経の良さをいかして、運動部では一年生にしてレギュラー入り、勉強の方も何とか隙間時間に復習したりして、良い成績を保っていた。
そんな生活を続けて気づけば、私は小学校を卒業して中学校に入学。
高人は高校受験を控えた受験生となった。
「華、入学おめでとう。」
高人が優しく微笑みながら、入学式を終えた私のことを校門付近で待っていてくれた。
「ありがとう。でも、高人はすぐ高校に行っちゃうからまた、一人……」
少ししょぼくれてみた。
高人の反応が気になったというのもあるが、八割本心だった。
家では、もちろん一緒に住んでいるからずっと一緒にいられる。
だけれど私にとっては小学校の時みたいに一日ずっと一緒にいられることが減ってしまって、寂しい気持ちが膨らんでいた。
そっと瞳を上に向けて高人の顔を覗き見た。
すると、高人は少し笑っていた。
「いつまでも甘えたがりだな、華は。
兄ちゃんは華の将来が心配だな…はは」
イマイチ高人の最後の言葉の意味はわからなかった。
でも、甘えたがりだと思われてもいいから、私はずっと高人と一緒にいたい。
いくら昔よりも上手く話したり、仲良くしてくれる人が増えたからとはいえ、やっぱり一番は高人で、高人が近くにいないと少し不安になってしまう。
その日の夜は、祖父の銀が華の入学祝いにと、豪華な夕食を作ってくれた。
どれもこれも華と高人の好きな物。
その後、お風呂に入り明日の準備を終え、ベッドに入った。
華は、明日から始まる中学校生活を楽しみにしていると共に何かよく分からない不安を感じながら眠りについた。




