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転生する国 【プロローグ】
来世は商人に生まれたい。
馬車に乗って、色々な風景を見て、色々な町を見て、色々な人を見て、その地、その場所で旅費を稼いで自由に旅をしたい。
外には綺麗な草原が広がってるみたいだよ。
訊いた話ではさ、そこには「キャロキャロ」と鳴く鼻の曲がった黄色い鳥がいるんだ。
朝、眩しい日差しが、僕たちの馬車を照らすんだ。
そんで、そのキャロ鳥が馬車の上で夜明けを知らせて、僕たちを起こすんだよ。
まだ眠いけど、商人の朝は早いから仕方ないね。頑張って起きるんだ。
草にくっ付いた朝露がさ、朝焼けを反射して、地面が宝石みたいに光るんだ。
想像しただけでも凄い!
そんで、なんだか陽の眩しさがくすぐったくって、僕たちは一緒のタイミングでくしゃみをするんだよ。
クシュンって!
そんで二人で笑って、朝を迎えるんだ。
どうだい、サシャ。
僕と二人ならきっと楽しいよ。
大丈夫、僕がサシャを守ってあげるから心配しないで。
今までだって、そうだったじゃないか。
だからね、ほら、もう怖がらなくたっていい。
来世は、希望に満ちてるんだから。