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第九話 As time goes by

佐久間さくまくんも左利き?俺も~」

 高校二年生になった初日から、初対面だというのに前の席のいつきは俺にずっとしゃべり続けてきて、なんだか愉快なやつだなと思った。


 ふと隣を見ると、気難しそうな顔をした刀哉とうやがいた。

 こいつはいつだったか、駅の近くのコンビニのレジで前に並んでいたデカイやつだと気付いた。


 捉えにくそうな雰囲気を醸し出しているなぁと思っていると、樹がさらりと声をかけた。

樋口ひぐちくんも一緒にしゃべろうよ」


 当たり障りがないことをしゃべらせたら右に出る者がいないかもしれないと思うほど、樹は社交的な男で、新しいクラスに知り合いがほとんどいなかった俺はとても気が楽になった。

 きっと刀哉も同じ気持ちだっただろう。


 だが時が経つにつれて、言いたい事を楽しそうに言う樹に少しずつ違和感を覚えてきた。

 なんというか、そういう役を演じているというか、本当の事を言っているようには思えないときがあるのだ。


 特に俺が刀哉と兄弟の話をしていると、樹にも年の離れたダイスケという弟がいて、生まれつき体が弱いから自分が面倒をみる必要があるのだと言うのだが、どうもウソくさい。

 誘いを受けたけれど気が向かないときの断り文句がだいたい弟だ。



「残念な女」

「・・・。誰が?」

 掃除の後、ゴミ箱を樹と焼却炉に持っていく際、やつがふとそう吐き捨てた。


「刀哉の周りをうろついてる女」

「へー、そんなこいるんだ」

 俺が興味を持つと、樹はありえないというような顔をしてあの女に刀哉は百万年早いと言った。


「ははっ。お前と刀哉はラブラブだもんな」

 樹は一瞬間を置いたが、すぐにふざけた表情でだろ~?あんな女に目をつけられて刀哉は気の毒だと首を振った。


「顔は?ぶっちゃけどうなの?」

「ふつうじゃね?でもああいうタイプは男を手に入れるためには手段を選ばなそうだからなぁ」

「ふーん」

 樹の横顔をちらりと見ながら、こいつは普段刀哉の監視でもしているのだろうかと若干引く。


「ほーんと邪魔」

 樹の顔に、そんなことはさせないとはっきりと書いてあり、なんてこったと俺は溜め息をついた。







左利きの男の人ってちょっとっかっこよく見えますよね(^-^)


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