第二十二話 バックボーン
第二十二話
「風夏まだ起きてたのか?」
深夜だというのに甘くて高カロリーなお菓子を食べていると、飲みから戻った兄に驚かれた。
「おかえり~。なんか眠れなくてさ」
「・・・。なんかあったか?」
兄が不思議そうにのぞき込んでくるのでなんかって?と逆に聞き返した。
「顔つきでわかる」
無自覚のようだが、ときどき兄は彼氏のような発言をしてくる。
「ちょっと心に引っかかることがあって・・」
「・・・。最近少ししか笑わないと思ったら、悩み事か?」
ほっといてくれと思うことがほとんどだが、見守ってくれているのだなとありがたく感じることもある。
「杏の彼氏のともだちがさ、杏のことを認めたがらないって言うか・・・」
杏に対して寛容になれないみたいで大変そうだと私は兄に相談した。
「友達のことでそんなに悩んでるなんて、風夏はやさしいなぁ」
兄は目を細めると、その友達とやらは幸福に飢えているのかもなと言った。
「まあ、いかにもそんな感じだけど、関係ない杏たちの仲を妨害してくるからイライラする」
周りを不快な気分にさせてはいけないよなと顔をしかめた兄は、そいつに彼女でもできれば諦めるのではないかと言う。
「いたけど嫌気がさしたみたい」
「その友達の気を紛らわせてくれる彼女だったらうまくいったのかもしれないけどなぁ」
「杏が言うには割といいこで、彼に夢中だったみたいだけど、結局お手上げだったらしいよ」
そういう男は意外と傷付きやすいから彼女が諦めたとなるとプライドがズタズタだろうなと兄はため息をついた。
「杏の彼氏もあんなヤツ切り捨てちゃえばいいのに」
「まあな〜。でもそういうヤツに冷たくすると面倒なことになったりするから、お前も巻き込まれないように気を付けるんだぞ」
私の肩をポンポンとしてくるので、兄の手をやんわりと払った。
風夏は冷たいなぁと言うと、兄は昔はいつも手を引いて歩いていたのにとぶつぶつ言いながら居間を出ていった。
「人に言われて動くのはイヤなんだ・・」
樹がケージの中の僕をツンツンしながらぼんやりと言う。
「仮に俺が刀哉への束縛をといたらどうなるんだろうね~」
樹のことを必要だと思ってほしいのだろうかと僕は頭をかしげる。
「潔さを見せるべきかなぁ」
そう呟いてから樹は僕の顔をじーっと見て、大ちゃんの目は一点の曇りもないねと言った。
「可能性として高いのは、そろそろ二人で俺を更生させようとしてくるってとこかな・・」
そんなとき、樹は冷静な対処ができるのだろうか?
「そっとしておいてほしなぁ・・」
悩んでいる彼の、道しるべになれたらいいのにと僕は思う。
「どうってことないよ!」
言葉は通じないけれど、自分の頭をがしがしして伝えてみる。
「ありがとう・・」
想いが通じた。
協力を仰ぎました(^.^)




