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第二話 謎めいている

「何回その話すんのよ~」


 朝からずっと樋口刀哉ひぐちとうやについて熱弁を振るう私に、風夏ふうかちゃんは呆れて大きな溜め息をついた。


 今日の体育は屋外なので、やっと周りを気にせず話せると思ったのに、相変わらずのつれない態度だ。

「まあ、あんのくせに、さしでその男と話したのはすごかったんじゃないの」

「でしょ~?どうやって私が!?って思うよね!」

 ああ、もう好きすぎる!と言いながら、体操着姿の自分を抱きしめている私を見て、風夏ちゃんはあんたみたいにはなりたくないわぁとこぼした。


「でもね、連絡先を教えてくれて、お友達にはなってくれたけど、とりあえず彼のお友達にはナイショってことにしてほしいって」

「ふーん、なんで?」

「からかわれるのかイヤみたい。かわいくない!?彼と私だけの秘密~」

「楽しそうだね」


 彼のことをそれからもしゃべり続ける私の頭を、風夏ちゃんはぽんぽんとたたくとお母さんのようにふっと笑ってくれた。







 誰の目にも明らかだ。

 刀哉の側近のようにいつも隣にいる俺には彼の様子がいつもと違うことにすぐ気付いた。


「流されやすいな~ 」


 あの女を軽視していた。


 いつも電車の中で刀哉をねらっていることはわかっていたのだが、彼女はただ傍観しているだけのタイプの女だと思っていた。


 意外と度胸はあるようだ。


「起きて起きて~」

「ん~」

 自分を取り巻く人間だけに気を許す刀哉は、たいてい昼休みに校庭の芝生の木陰で昼寝をする。


いつき?」

 少し虚をつかれたような顔をしている。


「甘い夢でもみてた?」

 しゃがみ込んで刀哉を覗き込むと、寝起きでまだ慣れないのか、眩しそうに目を細める。


「あー、うん」

 いつも通りの不貞腐れたような態度で刀哉はコクリと頷いた。


「誰かに求愛でもされた?」

 一瞬迷ったがわざとずる賢そうな顔をして問う。

 融通の利かない性格の刀哉はわかりやすく図星だという表情をしたが、迷わずウソをついた。


「そんなわけねーだろ」



 信頼されてないな。

 俺は。







それぞれお友達が登場しました~

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