第十九話 We're over
りりなだけは俺から離れないという絶対の自信があったというのに、彼女から別れ話をしてきたときはそんな度胸があったのだなと単純に驚いた。
後の言葉が見つからない様子のりりなは俺から目を逸らし、居心地悪そうにしている。
「もう十分」
そう呟いたりりなは俺の目を見つめ返してこない。
「一時も離れられないんじゃなかったっけ?」
何も答えられない彼女に、俺のことけっこうイヤなヤツだと思ってるんだろうと笑いかけてみる。
「時々甘い言葉を言ってくれたときは嬉しかった・・・」
俺のことをちらりと見てからすぐに目を背ける。
「俺いい人を演じるの得意なんだよ~」
りりなは最後まで俺のことが理解できなかったとこぼす。
「誰にもわからないよ、俺のことなんて」
「信じてもらえないかもしれないけど、りりなは樹のこと分かろうと努力したよ」
彼女の、ビューラーでぐりんぐりんに巻かれたまつ毛をぼんやりと見つめながら、結局理解できなかったんだろと思う。
窓の外の通行人を眺めながら、りりなはもしかしたらかなり前から俺の元を去ろうとしていたのだろうかと推測する。
「心が軽くなった?」
フリーズしたりりなは顔を曇らせる。
「なんで俺より傷付いた顔してんの?」
どうしてわからないのと言った後に、彼女は俺の考え方が歪んでいるとこぼした。
「今日は強気に攻めてくるな~」
「そのままだと誰と付き合っても結果は同じになると思うよ」
偉そうに俺に忠告してくるりりなに、人は変われるらしいぞと言うと、本人にその気があればねと言われる。
はははと受け流す俺に、彼女は笑い事じゃないよとうなだれた。
バイバイりりな。
おまえのことはあんまり好きじゃなかったけど、俺に向き合おうとしていたことはわかってたよ。
何が悲しいって、そういう存在を俺はありがたいと思えない人間なんだ。
そんな自分を反吐が出るほど嫌いだ。
自分にうんざりしているようです(>_<)




