第十一話 傍観して
「朝比奈さんて普段自分のこと拙者とか言ってそうですね」
バイト先の居酒屋で、俺はずいぶん前から変な女子高生に目をつけられている。
「・・・。イエスっちゃイエスだね」
面倒なので適当に返事をする。
「元カレの話聞いてもらっていいですか?」
話に脈略がない。
「りりなちゃん、スカート短すぎるよ」
うちの居酒屋に特に服装の規定はないのだが、むちむちした太ももが見苦しいので一応注意してみた。
「朝比奈さんのそういうとこ、なんか好きです」
だろうねと思う。
「二股でもかけられた?」
またもや適当に質問してみると、それはありえないですよ~と言った後に、りりなちゃんは何て言うか、わがままと言うか、よくわからない人なんですと言った。
今の彼じゃないかと思っていると、厨房にこれ生焼けだそうですと言いながら、他のバイトの女の子がサイコロステーキを持ってきた。
俺は鉄板を受け取ると、近くの高校生男子にやり直し~と言って渡す。
「最初は意気投合したんですけどね~」
「・・・」
応えるのが面倒になってきた。
「彼は自由人って感じで~」
「・・・」
「もう別れた方がいいのかな~」
やっぱり元カレじゃないじゃないかと思いながらも、それが賢明だなと吐き捨てた。
「りりなちゃんの彼って、見なくてもどんなヤツだかだいたいわかるよ」
「え~、どういう意味ですか?」
「虫が好かないヤツ」
すると彼女はいつも俺に向けてくる、とろんとした表情を崩して今度は彼氏の肩を持とうとしてくる。
「でも~、樹は機嫌がいいときはりりなの話をきいてくれるし、ときどきゲーセンにも連れていってくれるし・・」
ホールからキッチンに向って威勢のいいオーダーが聞こえてくる。
「きっとりりなちゃんだけでなく、手当たり次第に他の女の子に手ぇ出してるよ」
今ではすっかり表情がなくなってしまったりりなちゃんを目にして、なんだか愉快な気分になってくる。
俺は妹以外の女の子には何もしてあげられない。
くるりと方向転換をしてその場を後にしたりりなちゃんの後ろ姿を見送ると、風夏は今晩ちゃんと食事をとったかなと思いながら、俺は大きな欠伸をしてキッチンの作業に戻った。
先日私のペットのハムスター、大福が亡くなりました(>_<)
このお話の中では元気でいてほしいです。




