精霊学園の双剣士(2)
「海都でいいか?」
「好きなように呼んで構わないよ」
爽やか笑みを浮かべるこの男に、俺は剣を抜いて切っ先を向ける。
「この試合、本気を出して良いんだよな?」
「もちろん。そうしてくれないと困るよ」
そう言って海都は魔法陣を大量に出現させた。
『さぁ、闘争を始めよう』
俺は海都と同時にそう言って、地を這うように駆ける。二本の剣を瞬時に抜き放ち、海都へと斬りかかった。
「召喚、シルフ」
俺の剣はシルフの風によって海都に届かない。
「それなら、これでどうだ!」
二本の剣を重ねて、魔法陣を作り上げる。
「カノン、憑依召喚!」
「了解だよ」
カノンの魔力を纏った剣は簡単にシルフの風を切り裂く。殺った、 そう思った瞬間、海都の魔法陣が発動する。
「召喚、ギルガメッシュ」
瞬間に繰り出される十本の剣。身をよじって躱すが、微かに頰が裂かれる。
「複重召喚かよ」
「凄いだろ?」
「面倒だ」
俺が剣を軽く叩くと、カノンが剣から分離して魔法陣を組む。
「死を覚悟せよ、絶空の雷撃!」
大地を揺るがす程の雷撃がギルガメッシュを襲う。だが、ギルガメッシュは腕二本でそれを防いだ。
「こいつでも喰らえよ、月影!」
亜音速で振り抜いた剣は、ギルガメッシュの胴を薙ぎ、魔法陣を切り裂く。
「お前の力はそんなもんか?」
柄にも無く相手を挑発してみたが、効果は抜群だったみたいだ。海都は、展開した魔法陣全てを発動させた。
「これが本気だ! 終焉の召喚!」
「無駄だ、百花繚乱!」
カノンの魔力を纏った剣は、複数の魔法陣全てを一度に切り裂いた。
「これで終わりだろ?」
俺は海都の首に剣の切っ先を当てる。