とある日の朝
眠い。
俺の脳内は、その一言で埋まっている。睡眠時間を削ってまで行った訓練の所為だろう。横になれば数秒で眠れそうだ。
「ねぇ主、今日は学校じゃないの?」
カノンの言葉は俺のやる気を一気に削ぐ。学校がある事を忘れ、体力の限界まで訓練を行っていた数時間前の自分を呪いたい。
「はぁ〜」
嫌な気分のまま、カップに残っているコーヒーに口を付ける。
「話聞け! バカ主‼︎」
魔力で増大された怒声が俺の耳を打つ。あまりの衝撃に、口の中に含んだコーヒーを吹き出す。
「ふにゃ!!」
吹き出したコーヒーは前にいたカノンにかかってしまった。
「あっ、ごめんな、カノン」
そう言ってタオルを渡そうとした。だが・・・
「地獄の火焔!」
カレンの魔法によってカップが蒸発した。ついでに、その中に入っていたコーヒーも。
「復元」
簡単な魔法でカップを元に戻す。
「絶対零度の封印」
何も言えねぇ、カップを封印しやがった。
「馬鹿」
そういうと、カノンは魔力を纏って体に付いた水を蒸発させる。
「今日は学校なの?」
二度目のその質問に俺は頷く。
「一緒に行ってもいい?」
「なんで?」
「暇だから」
「ダメだって言ったら?」
「家を凍結」
「そこまでしてついて行く理由は?」
「主の学校での様子を観察するため」
「必要無い」
「私にはある」
そこまで言うと、カレンの周りに濃い魔力が
練られる。
「わ、分かった、今日だけだぞ?」
「やった!」
カノンはそう言うと、着ている服を学校の制服へと変化させた。
「ねぇ主、これ似合う?」
「お前、馬鹿なのか? 学校に使い魔は制服で来る必要は無いぞ」
そう言うと、カノンは肩を落とし元の服へと格好へと戻す。
「無駄なことをした」
そう言ってちょっとむくれる。
「まぁ、そう言うな。早く行かないと遅刻するぞ」
「うん」
俺はカノンと共に家を出た。
「さて、学校に行きますか」
これが二話目です。まだまだ続くのでよろしくお願いします。