始まりの終焉
「あははっ、もう終わり?」
俺の頭上から声がする。
「もうちょっと強いと思ってたのにな〜」
不満そうでありながら楽しそうに少女がそう言った。崩れゆく世界の中で少女だけが、
笑っていた。
「案外人間なんて弱いもんだね。まっ、少し前まで私も人間だったんだけどね〜」
俺は守れなかった、大切だったこの世界を。
一人の少女によってほんの少しの時間で、全てを壊された。
「ねぇ、君ももう疲れたでしょう? 今から私が楽にしてあげるよ」
少女は血濡れた剣を振り上げる。だが、下ろす寸前で何か思いついたように笑みを浮かべた。
「先に君の恋人から殺してあげるよ。その方が苦しいよね?」
やめろ。そう口を動かすが、少女には届かない。
「それじゃあ、さよなら。アイネちゃん♪」
鈍い音が鳴り、俺のすぐ側に温かい液体が流れてくる。そして、愛らしい顔の生首が目の前で潰れた。
「さて、君の恋人は死んだよ。次は君の番だ」
こんなところまできて死ぬのか。
「普通の人間にしては、よく生きたよ」
守りたかったのに。
「でも、君は無力だ」
なんでこうなるんだよ。
「だからこそ、こうして死ぬんだよ」
俺のした事は無駄だったのか?
『否、君のした事には価値があった』
お前は誰だ。
『ボクは***、君の事はずっと見ていたよ』
俺は、死んだのか?
『まだだよ。死ぬ前に君と話したくて、少し時間を
貰ったんだ』
どういう意味だ。
『そのままの意味だよ。ボクが此処から消えれば君はそのまま死ぬ。だからこうして、時間をもらったんだ。死んだら話せないからのね』
そうか、死ぬんだな。
『うん。でも、君はこの世界を守りたかつたんたろう?』
そうだな、この世界を俺は守りたかったんだ。
『そうかい。なら、君にチャンスをあげるよ』
そりゃありがたいな。
『それじゃあ、時間を巻き戻してあげるよ』
そう言われると時間が戻り、少女が剣を振り上げた。
「さよなら」
俺の首に剣が迫る。そんな時、さっきの不思議な声を耳にする。
『この世界を救ってくれよ』
はじめまして、鹿倉 蒼です。今回の投稿が初めての作品なので、拙い文章だと思いますがどうぞよろしくお願いします。