ぼ う け ん しゃ は に げ だ し た !
設定は色々思い付くのに文章にしてストーリーを進めきれない作者を許してください。
設定だけで言うとストーリーはまだ序盤中の序盤なのが憎らしい
「はい、ストップ」
「どうしたのクロト。いま良いところ何だけど?」
うんそうだね。
意気揚々とくそデカイ大剣を軽々と振り回して慌てふためく冒険者に無双してたらそりゃ良いところだろうよ。俺だってそう思うから。
モニターを見ればやたらゴツい漆黒とも呼べる塗りつぶしまくった鎧を着けた背の高い冒険者くらい位の魔物が、さらに自分よりもデカイサイズの大剣をもって脈絡もなく冒険者に襲いかかっている。
突然現れた化け物が周りを見境なく破壊しながら襲いかかってくるのは一種の恐怖だし、それがデカイとなお怖い。
「あれなんだよ!」
「え、何ってリビングアーマーだけど……」
あ、さいですか。
そうならそうと言ってくださいよ姉御ぉ、得体の知れねぇものが出てきたからビックリしたじゃないッスか~。
「って、なるかぃ!」
「本当にどうしたの!?」
どうしたもこうしたもない、元凶は貴様である。
「一体いつからあんなもん仕込んでた? 前まで無かった筈だが?」
ダンジョンの改造はすぐ最近まで続いてたし当然迷宮エリアも多少ではあるがメンテナンスの様なことはしており、魔物の数も把握していた筈だ、あんなデカイ奴を見落とすとは思えない。
するとラビィは自慢気に笑いだす。
「ふっふっふ、こんなこともあろうとねコツコツと貯めてた|お小遣い(DP)で召喚したんだよ!」
キメ顔でがっつり親指を立てる。
詳しくは、俺とロクロウ、そしてサノーが街で冒険者の真似事をしている最中に確かに俺は自分が不在の場合何らかの事態に対処してもらうためにラビィ権限を渡していた。
結果としてはマスタールームがゴミだらけになり、ミストの家はゴミ屋敷となり大量のDPが失われて2度と渡すものかと決めた。
決めた、そう決めたのだがそれは既に遅かったとも言える。
始まりは確かにゴミ屋敷事件のときだ。
あのとき俺が思った事は第一に「マスタールームはそこまでゴミが多くはない」と言うことと、「取り出すDPの少ない菓子類だけであんなにDPが減るのか」と言うことだ。
確かに子供のお菓子に対する胃袋の大きさは女子が「甘いものは別腹」と言う魔法の言葉と同じ概念で働いている。ミストやラビィの胃袋の量は分からんが恐らくそんな感じだろう。
だがそれにしては減ったDPとお菓子のゴミの量が不釣り合いだった。
既にラビィは布石を打っていたのだ。
まず俺がいない間にDPで召喚し、そこから武器や防具など何故か食べ物よりも消費の多い装備品などで絶賛大暴れ中のリビングアーマーを強くしていたと言うことか。
「なるほど、よしそこに座れ」
「ア、ハイ」
「どうやって隠してた?」
そこだ、そこなのだ。
俺はマップでダンジョンの構造を見ることも、魔物の数も確認が出来る。だと言うのにラビィは俺の目を掻い潜ってこっそりと仕込んでた訳だ。
「だ、ダンジョンの外に隠してました……」
「マジかよ」
それは盲点だった。
俺の持っている権限は基本的にダンジョン内限定の能力であり、ダンジョン内ではある程度無敵とも言えるが外に出るとたちまち俺はボロクソのゴミくずに成り下がる。
そしてその目となるモニターなどはダンジョン内しか映さない……なるほど、木を隠すなら森の中と言うわけか、違うな。
随分とまぁ、賢く……ずる賢いと言うべきにまでなったものだ、成長する方向を間違えてやがる。
「……まぁこの際、戦力が増えるのは良いや。その分は活躍してもらうぞ」
「う、うん任せといてよ!」
「使ったDP分は働いてもらうから」
「……ハイ」
リビングアーマーは確か980DPだぞ、スライムよりも段違いに高いしあの装備なんて絶対にデフォルトじゃない。完全にカスタマイズされたものだ。
ラビィの事だから強い武器を詰め込んだだけだろうがそれでも効果は高いしリビングアーマーには嵌まっていると言うところが憎たらしい。
それだけDPがかかったと言うことは戦力としてはかなり強い部類に入るだろう、相談が無かったのは許さんが結果としては良い。
魔法使いの男、ドウだったか? が何やら見たことない魔法で攻撃してるっぽいがそこまで効いている気はしない。
何だろうあの魔法、半透明だし風魔法の類いだろうか……最下級しか持ってない僕には分かりません。
ラビィが育てたにしては良い結果をだし続けているとは思うが……あ、冒険者の一人の頭の上ギリギリにかすった。
良かったな冒険者、どうやら君は幸運に恵まれてるようだ。
そして残念なお知らせだ冒険者諸君、君達はこのラビィの操るリビングアーマーの実力のテスターとなるのだ、存分に実験させて貰おう。
ラビィは流石に黙ってやったことに対して焦っているのかそれとも憂さ晴らしなのかは知らないが一心不乱に冒険者を追いかけ回している。
この後の予定としては迷宮エリアは次の層で待機しているホブゴブリンとオーク達の能力を見極めて、墓地エリアで最終戦力のミストに始末して貰おうと思ってたんだが……。
「ええぃ! もうどうにでもなれ! ラビィ殺っておしまい!」
「急にキレた!? わ、わかったよ!」
この野郎こっちの計画を潰しやがって許さねぇからなリビングアーマー! あとラビィ!
この場はもうリビングアーマーの実力を見ることにする、族長? ミスト? 知るか! ボードゲームでもしてろ!
族長達の実力は侵入者を対処した後でリビングアーマー使って試してみるとしよう……戦力の確認になるのだろうか。
後の事は暇になった俺に輸送するとして今はストレス発散だ、リビングアーマーの無双っぷりを堪能しておこう。
因にだが冒険者パーティー1つ分のDPが入って来ており、2880DPも入ってきている。
ダンジョン内で生物が死んだ場合、通常入手できるDPは3倍になるらしく、高ランクの冒険者を倒せば倒すほど入手できるDPも増える訳だ。
確かさっき倒した奴等はCランク辺りらしいし3で割ると……一人辺り240DPだと? 負けてますよミストさん。
だが強さ的にバラつきがあるしあの四人は束になってもミストに勝てないと思うんだが、一体どんな基準でつけられているのだろうか……謎は深まるばかりだな。
恐らくはランクで分けられていそうだが……つまり、物凄い雑魚をAランクまで上げてしまってダンジョンに放り込んで始末すれば良いのでは? ……少し考えておこうか。
ともあれDPの入手としては上々だろう。
冒険者達が侵入してきてからもDPは増え続けてるし、これは始末したあとにダンジョン強化計画フェーズ2を開始することが出来るそうだな。
あと厳密には1日経たないとDPが貰えないと言うことではなく、時間で分割してDPは徴収されている。いわゆる時給的な。
1日辺り7950DP手に入れている俺だが、時給に換算すると1時間で331程だ。1DP1円ならブラック企業顔負けの時給だな。
実際にはDPの価値の方が高いので当てはまることは無いんだが、時給と考えてしまうと途端に働いている気分になるから2度と考えないようにしよう。
そして現在冒険者達の総DPは侵入したての時点で1日辺り2400DPだが、1パーティー潰れたので1440になっており、旨味が感じられなくなってきた。
でも潰せば最終的に7200ものDPが入り1日で得られるDPに匹敵するのだ。
だがここで思ったのが「あれ、これ冒険者呼ぶ必要性あんまり無くね?」である。
Cランクって言うのは冒険者の中では強い方だと俺は思う。そんな奴等がが10人もやって来ているのにも関わらずこの体たらくであり全滅させても今の1日で得られるDPにも及ばない。
ぶっちゃけダンジョンをまともに運営してもメリットあんまり無いなぁって思い始めておりモチベーションは絶賛低下中だ。
「ラビィ、さっさと殺ってしまおう」
「え、クロト今度は元気なくなってない?」
「骨折り損って奴だよ」
せめてDP1週間分程ぶちこまれればやる気も出たがもう駄目だ、折角無駄に凝った作りをしたと言うのにリターンがショボいとかやる気も無くすわな。
あとはもうボーっとモニターでも眺めておこう。
◇◇◇
漆黒の鎧を着た悪魔は死の暴風を撒き散らす。
「のわぁぁぁぁあ!」
「ヤバイヤバイヤバイ!」
振り回される大剣はその一撃一撃が必殺とも呼べる威力であり、例えタンクの役割を出来るキンであってもまともに受けるのは無理難題であった。
「これは俺たちの手に負えねぇぞドウ! 二人殺られた!」
「分かっている! ……仕方ない撤退す「ぎゃぁあぁぁ!」……っ!?」
僅か数分で二人の冒険者が大剣の錆びとなり、たった今もう1つのパーティーの最後の1人すらもその命を落とした。
退路はリビングアーマーが塞いでしまい、進むしか選択は残されていない様なものであり、『黄金比率』の3人は回避に集中しつつもどうにか対策を立てる。
「ドウさん、あれを使うべきでは!?」
「あぁ、値段は張ったが仕方ないだろう。合図で俺の元に来い! ……今だ!」
リビングアーマーの大剣が地面を抉り少しの隙を晒した瞬間にキンとギンは離脱し、全力でドウの元に駆け寄る。
「絶対にもう一度やって来るからな! 【転移】!」
懐から出した1枚の紙切れ、そこに魔力を注ぐことで任意の魔法が発動する【マジックスクロール】と呼ばれる一度きりの魔法が発動される。
リビングアーマーはその発動と同時に大剣を投げるものの直撃することはなく空を切りそのまま壁に激突しその場にはリビングアーマーと壊れた迷宮だけが残された。
◇◇◇
マルタの街の冒険者ギルドは王都に比べると暇である。勿論忙しい時間はあるのだがそれでも少しの時間潰しにしかなら無い。
「はーぁ、サノー様最近全然見ないなぁ」
そんなギルドの受付嬢の女性は退屈しのぎに1人呟く。
既に日は傾きかけており、併設されている酒場では仕事を終えた冒険者が酒を飲み、楽しそうに笑っている。
すると受付カウンターの目の前が光だし、それに驚いた受付嬢は目を凝らしてしまい、光が強くなったと同時に目が眩む。
「成功だ!」
「はぁ、はぁ、魔力を殆ど持っていかれたぞ……」
「ありがとうございます、ドウさん」
光りますが消えるとその場にはギルド内で有名な冒険者パーティーが、消耗した様子で座り込んでいた。
「眩しっ! ……てあれ? 『黄金比率』の……どうしたんですか!?」
受付嬢は急に現れた3人とかなり消耗した様子から駆け寄り、1番消耗が激しいドウに肩をかす。
「すまない、急いでギルドマスターと王都の方に連絡を頼む。」
「え、ま、マスター? 王都? いったい何があったんですか!?」
ギルドの長たるギルドマスターへの報告ならまだ分かるが王都へと連絡を取ろうとする事から受付嬢は問いただす。
王都への連絡とはその土地の者では解決出来ない時や異常が発生したときに連絡をするもので、普段はギルドマスターや領主だけ問題に留まるのだ。
「あぁ、かなり不味い事態だ。ダンジョンが見つかった!」
誤字脱字、設定矛盾などありましたらお申し付け下さい。勢いで書いているので歯止めが効かないので。ストッパーは君だ!




