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侵入者は冒険者

1日早く更新できたぞ、誉めて誉めて。(憐れ)

「おい、なんだこれは!?」


 広大と言っても良い程の森を探索していき、冒険者の集団が目にしたのは洞窟のほら穴だった。


 一見なんの変哲もない、ただの洞窟にしか見えないがこの森のことを知る冒険者達はそうは行かなかった。


「こんな洞窟初めて見たぞ……キン、ギン、ドウこれはどう言うことだ?」

「それは俺達も聞きたいことだけどな……」


 頬を掻きながら苦笑いをしてキンは呟きパーティーメンバーである二人を見た。


「原因は分からない。俺達もつい数ヶ月前に発見したんだ」

「数ヶ月前? おいテメェら何で報告しなかった、義務だろうがよ」


 鋭い剣幕で1人の冒険者がキン達を睨み付けるがドウはともかくキン、ギンは苦虫を噛み潰した様な顔をする。


 ダンジョン等未知の物を見つけた場合報告すること。


 これが冒険者ギルドの義務であり常識でもある。だが、全員が全員これを守る事はない。


 何故なら情報を独占すると言うことは他の冒険者よりも1歩や2歩、場合によれば何歩も先を行くことになる。向上心の高い者の多い冒険者は当然秘匿する。勿論ギルドもそれを分かっていながらも提唱しているし、基本的に学の高くない冒険者などの様子から大体は察してはいるが黙認している部分もある。


 報告をすればその分多大な報酬を受けとることも出来るが一時的に得る金銭余裕よりも定期的に利益を得る方が得であるため報告をする者は割りと少ない。


 当然ながら未知の物を発見すると言うことは生半可には行かない。発見は大体が運に左右されるものなので冒険者の9割程は発見どころか手がかりすら見つからないものだ。だからこそ秘匿していた者を妬む傾向はざらにある。


「あー、俺達も報告出来るならしるんだけどな。」

「はぁ? なんだよしているって、脅されてる訳でもねぇだろうに」

「正解だ脅されてるのよ俺達はよ」


 脈絡の無いキンの言葉に他の冒険者達は大量のハテナマークを浮かべる。


「脅されてるって……誰にだよ、Aランク冒険者にか?」


 とある冒険者は背中に巨大な大剣を背負った無表情で殺傷力の高い攻撃を繰り出してくる絶壁の少女の顔を思い浮かべる。


「いや、ここにだ」

「ここにって、洞窟だぞ。何言ってんだお前」


 普通に考えて頭おかしなヤバい人に視られても文句は言えないキンの台詞にだが当の本人は結構真剣な顔つきをしており、冒険者達はこれまでの経験とキン達へのある程度の信頼からおふざけでは無いと言うことを察する。


「説明して貰っても良いんだよな?」

「制約の問題で厳しい点もあるが……試してみるかキン、ギン援護頼む」

「街中や依頼のための平原でならいざ知らず、ここなら行けるかもな。任せろ!」

「が、頑張ります!」


 何の話だろうかと他の冒険者達が顔を見合わせているがそれを待つ様子もなくキンとギンはドウの周りを警戒するように視線を巡らせお互いに武器を抜く。


「【風壁】」

「え、えーと【サーチ】!」


 杖を翳した魔法使いであるドウは中級魔法でありその名の通り風の防御壁を展開しより守りを強固にしていく。

 盗賊であるギンはスキル【サーチ】により警戒範囲内の生物の存在を感知する。


「よし、行くぞ……『ダンジョン』」


 沈黙。特に何も起こることはないがキン達の表情は真剣かつ全神経を集中している様子だった。


 そして冒険者達の何度目になるか分からないこいつら何言ってるのという顔。それが数秒続いた後キン達は警戒ある程度は残しつつ深呼吸をする。


「どうやら大丈夫な様だな」

「そうかも知れねぇけどそれは俺達がもういるって向こうさんも気がついてるんじゃねぇか?」

「確かにそうですね……これは生半可には行きませんよ」

「どうせ攻略に赴くんだ。最後はバレるんだから問題はない」

「おいおいおい! だからどういう事だよ!」


 冒険者そっちのけで話す3人に流石に状況を把握したい冒険者達は業を煮やす。


「あぁ、すまん。どこから説明するべきか……依頼内容はここに入れば分かるし、まずは入ってからだな」


 さぁ行くぞ! とどこか解放感漂う爽やかな表情を浮かべてドウは意気揚々と洞窟へと向かっていく。


「ちょ、説明くらいしていけよ!」


 その後を冒険者の一同は慌てた様子で追いかけていった。



◇◇◇



 はいはい、どうやら侵入者が来たみたいだな。


 何で分かるかって、俺はダンジョンマスターだぞ? 侵入者の接近に気がつかないほど愚かではないさ……。


 冗談だ、報告を聞いて慌てて汗だくで戻ってきたよ。のんびりとミストと人生ゲームしてたらどこからともなくスライムがやって来たんだものそりゃ驚いたさ。


 ちくしょう、折角有名企業の社長になって子会社を束ねてたと言うのに……まぁあれは最終的に破産して妻子にも捨てられる運命だから良いだろう。ミスト? アイツはゲームでもアンデットだったよ。


 続きは対処してからやるとして侵入者だったな……うわぁ、なんかぞろぞろ引き連れてんじゃん。スライムの情報では確か、あ、いた。


 先頭の方を先人切って歩いている3人組、以前うっかり侵入してあっさりとボコボコにして帰したのだが、なるほどリベンジに来たと言うことか……リベンジとは言っても1層すらまともに歩けてなかったけどな。


「何で大勢を引き連れて来れた?」


 ダンジョンの話は禁句として大根役者ことラビィにより呪いと言う名のスライム監視官を置いて観察と監視をしていた筈なんだがな。


 文字で伝えようとしても攻撃するように命令は出していたとは思うんだけど、何でだ?


『は? 何で洞窟の中が森になってんだ?』


 む、何か話し始めたか?

 彼らは今、第1層の入り口に入ったばかりだ。


『あぁ、忘れてた。ここはダンジョンでこれから攻略するつもりでお前達を呼んだんだ』

『はぁ!? ダンジョンだと!? なんで言わなかったんだよ!』

『言えなかったんだ! さっきの見たろ! 俺ら監視されてたんだよ、だから言えなかったんだ、言ったら殺されるからな』

『あー、脅しってこう言う事だったのか……』


 その後も何か話していた。

 ある日洞窟を見つけ、少し探索をしようと入ってみればそこはダンジョンであり、ただのスライムにやられそこからダンジョンの精霊に出会いダンジョンのことを口外しないように呪われ脅され今に至ると。


 うん、ダンジョンの精霊はラビィだがアイツが精霊って笑えるよな。


「ふふん、まだ私の事を精霊だと思ってるんだね。人間はアホだねクロト」

「お前も大概アホだから同格だな」

「失敬な!」


 ぶーぶー言ってくるラビィは放置だ、問題はどうやって仲間を連れてきたか、だ。

 ダンジョンに関しては筆記すら許さない徹底ぶりだったにも関わらず合計10は越えそうなさまざまな冒険者がこぞってやって来やがった。


 今は報告が上がった時点で遅かれ早かれ乗り込んでくるのは分かっているので派遣スライム達は監視を終わらせダンジョンの防衛に努めてもらっている。


『俺達はダンジョンと言う単語すら言葉に出すことも文字に興す事も出来なかった、監視されていたからな。だから黙ってお前達を高額の報酬で連れてきたんだ』


 黙って連れてくるってマジかよ。そんな抜け道あったのか……盲点だったな。

 それにしても監視されていた事に気がついてたのか、呪いと称していたんだけどな。


『待て待て、呪いじゃなかったのか?』

『あぁ、厳密には魔物による監視だった』

『それってさっき使ってた【サーチ】で気づいたのか?』

『これはたまたまだが、依頼でギンが【サーチ】を使った後警戒範囲に魔物が入ってきたんだ』

『それって普通のことじゃねぇのか?』

『いや、通常であれば気づかれる事は無い【サーチ】の範囲に入った魔物が慌てて範囲から離脱した。上位の魔物ならいざ知らずここらの魔物はそこまで強くはない、それなのに気づくと言うのはおかしい』


 【サーチ】ねぇ……あ、本当だそんなスキルがちゃんとあるな。

 索敵用のスキルみたいだが監視をされているって根拠に繋がるのか?


『さらに言えばギンは眼がかなり良い。索敵範囲内に入り逃げた魔物の姿をちゃんと確認していたからな』

『は、はい。見えたのは一瞬だけでしたけど、姿はスライムでした』

『はぁ、スライム!? それが何に繋がんだよ』

『俺達はこのダンジョンでやられたのはスライムだ』

『スライム程度にやられたのかよ、ダッセェな』


 ドウのいって言っていることは紛れもない真実だが他の冒険者からしてみればお笑い草だったみたいだ。

 そりゃ最弱の魔物に分類されてるし普通はそう思うのは当然だな。


『あぁ、笑いたければ笑えば良い。だが事実だ、油断していたとは言えギンすら奇襲に気がつかなかったのだからな』

『……嘘だろ? マルタのギルドじゃ優秀な部類に入るギンが?』


 どうやら信じ始めたみたいだな。

 ふーむ、見る限りどうやらこの3人かなり優秀で人望があってそれなりに実力も有るみたいだな。

 警戒レベルもう少し上げとくか。


『つ、つまりそのスライムで結論付けたってことで良いんだな?』

『あぁ、その通りだ。そしてそのスライムのお陰でこれ「呪い」』ではなく「監視」だったと判明した。後は簡単だ、意思を伝えて行動が出来ないのなら行動で意思を伝えれば良い。お前らは良くも悪くも金で動く、だが信頼もできるし実力もある。賭けではあったがこうして攻略に乗り出す事ができた訳だ』


 今の俺の気持ちを教えてやろう。

 完璧な犯罪をどこぞの居眠り野郎に全部推理された犯人の気分だ。


 悪者扱いされてる気がするな……多分ヘイトはラビィが受け持つことになるだろうが、それでもちょっと心にくるものがあります。


「酷いな! 私達だって生きるために必死なんだからそこに悪者とか正義とか無いんじゃないの!?」

「ラビィの言いたいことは良く分かる。だが、結局どっちにも正義があるから対立するんだろうよ」


 こちらとしても平穏を脅かす侵入者を撃退し全滅しなければ明日は無いのだ。


 悲しいかな、平穏に生きたいのに侵入者を呼ばなければダンジョンとして機能しないだなんて……。


 それにバレてしまったからにはこのダンジョンの事は世間に広まるに違いないしこのままダンジョンを廃らせるのも忍びない。ダンジョンマスターは命懸けのお仕事ですのでおすすめはしないよ。


「さて、後先の事はこれから考えるとして侵入者を排除しよう」


 せいぜい生き延びて見せろ、冒険者!


唐突に悪役の様な台詞を吐く主人公。

彼の明日はどっちだ!?


誤字脱字ありましたら報告してくれると嬉しいです。


一人称と三人称を言ったり来たりしてすみません、模索中ですので、読みやすい方をお聞きします。


評価やブクマしていっておくんなましー


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