特訓するらしい
なにやら新しい配下? ができた。いや、俺の回りバスケットボール見たいな奴しか居なかったから人の形をしてくれている奴がいて少し安心したよ。
魔物だけど……魔物だけど!
ラビィのお陰で分かった事は、俺のスキル【魔物化】は自分以外にも使えると言うことだ。おっと? これならDP使わなくても魔物配置し放題じゃね? とウキウキしている。
「そんな時期が俺にもありました」
「クロト、何言ってるの?」
俺とラビィ、そしてユキムラは今森林エリアに居る。そしてこの森一帯の木を魔物にしたら最悪で最高じゃないかなと思ったんだけど、出来なかった。
原因は恐らくダンジョンを魔物化したときに規定量を通り越してしまったお陰で魔力枯渇の状態っぽい。
だから無料魔物計画は頓挫しましたとさ。
「焦ってる訳じゃないし、全然問題ないよね」
「何考えてるか分かんないけど気楽にいこうよ」
「そうですぞ主、某率いる十勇士がいればこれ以上の魔物など不必要ですぞ!」
「ユキムラ達は喚び出したばかりだし、まだ熟練度もないから今冒険者が来るとあっさり死ぬと思うんだよね」
そんなことを呟くとユキムラはその場で動きを止めた。どうしたんだろう、腹でも壊したかな。さっきあげたイチゴミルクが合わなかったのかな。
「確かに、某達スライムはまだまだ弱小……未熟! これなら主の役にたてるわけなど無い! 主! 某、少し十勇士と共に修行に取り組むので、これにて!」
そう言うとユキムラは結構な速さで迷宮エリアに続く階段の方へと走り去って行った。修行か……恐らく俺が教えた事を徹底的にやるのだろうか。と言うかあの自分に厳しそうな世界代表スライムは恐ろしく強くなりそうだな。
とか何とか考えてみるが、そう短期間で強くなる訳無いもんな。
ユキムラの事だ、護衛だ何だと言ってすぐに戻ってくるだろ。マスタールームに帰ろう、やることがない。
「クロト、帰るの?」
「やることもないからな~。ここ来て3日は忙しなく働いていた気がするし……」
いや、結構忙しくはしてないな。やったことってユキムラ達喚んで少しだけ訓練してダンジョン広げて改造してダンジョン魔物にしただけだもんな。
ま、ダンジョンマスターなんてそんなもんじゃないかな? こっちは森の奥にあるっぽいから危険とか皆無だろう。
マスタールームへと戻った俺とラビィだが、なぜマスターでもない者が入ってこれるのかは不思議である。
なんでラビィは入ることができるんだ?
『解、マスターか入室を許可した者は入ることが可能です』
許可……したっけなぁ。ま、1人ダンジョンで勝手に暮らしやがれ! って言うのも可哀想だし、部屋は有るからな。
「ラビィはそっちの部屋を使ってくれ、俺はちょこっと調べ物があるから」
そう言って俺の部屋、まぁただの寝床なんだが……に入り床に座ると隣にラビィも座る。……なんでだ。
「良いじゃん! 退屈なんだよ?」
「まぁ、良いけど……」
一先ずラビィは放置だ。俺はやるべきことがあるのだから。
それはこの世界の事だ。正直ダンジョンから1歩も出てないし、出たら生きていけるほど強くはないから『ヘルプ』を活用して情報とか取り放題なんでない!? とか思った訳だ。
この世界について教えて
『解、……エラーが発生しました。この情報は提示出来ません』
え? エラー? まさかの秘匿ですか? 情報は自分で集めろと、そう言うんですか! くそぅ……絶対にでなきゃならん様だな。ま、また今度で良いか。
ヘルプはどこまで質問に答える事が出来る?
『解、ダンジョンのこと、ダンジョン内に入ったものに限り情報の提示が可能です』
なんて限定的な、お助け機能だ。性能が良いのか微妙のか迷うところだぞ。仕方ない、情報に関しては地道に集めていくとしよう。『ヘルプ』の限界も分かったと言うことはそれなりの価値のある情報を手に入れたのと一緒だからな。儲けだ。
「いざとなればスライムに頼んで情報を得てもらおうかな……」
大分先の話になると思うけどな。まぁでもこれは一応予定としているからな、上手く行くことを願っておこう。そのためにも十勇士の訓練をしなくては。
あ、ユキムラは十勇士の所に居るんだろうか? 取り敢えず様子見してみようかな。
「ユキムラの所に行ってくる」
「私も行くよ!」
と言うわけで俺とラビィは迷宮エリアへと足を運ぶ。直ぐに顔を出せば手抜き訓練でも俺が来たことでしっかりとしたものをしている様に装う可能性があるので迷宮の壁に隠れながら進んでいく。
「あ、居たぞ」
ここは……迷宮エリアの真ん中の少し広い所だな。手前に居るのがユキムラでその他は十勇士だろうか……。
さて、サボっていないかちゃんと見させてもらうぞ。
「そらぁ! そこ! ジンパチ、サボるで無いわぁ!」
ユキムラ達が居る空間は壁や天井、全てを使って全員が縦横無尽になんか凄い速度で動き回っている。
なにか、なにか分からないが凄い気がする!
その後、無駄に凝っている訓練の内容をこっそり見た俺達は、その場を去ることにした。
……俺の出る幕無いや。