戦いの結果
「いやぁ、負けた負けた。あー、強かった。やっぱり新人だから仕方ないよな」
只今、強制的な決闘が終了しギルドへと戻っている。
動き回ったお陰で結構な疲労感があり、明日は筋肉痛確定た、やったね。
「不服……」
俺達、この街に来てから何も飲んでいないことが発覚し、ギルド内にある酒場にて果実をふんだんに使ったジュースを飲んでいる。なお、ブドウみたいな味がする、普通に上手い。
金が払えるかな? とは思ったのだが、偶然! 何故か! 奇跡的に! ポケットに銅貨が1枚入っており、何とか飲み物にありつけたと言うわけだ。
俺って結構幸運かもな。
サノーはこの場にはいない、ギルドの受付嬢達に捕まり別のテーブルでわいわいやってます。
死ねば良いのに……あ、アンデッドだし死んでるのか。
大人しく成仏させるにはどうしたら良いだろうか、帰ったら検討してみよう……お仕置きに使えるかもしれない。
「何で、手を抜いた?」
おっかしいな、勝負は終わったつもりなのにこの子、いつまで着いてくるんだろう。
そう、勝負が終わり、ギルドに逃げるようにして戻って飲み物をテーブルで飲んでいたと言うのに、この少女は当然のように真正面にに座ってきやがった。
控えめにいって意味が分からない。
「……ロクロウ、なんでこいついんの?」
服の中にいるロクロウへと向こうに気がつかれないように声をかける。
ついでにブドウジュースを飲ますために、テーブルの下にコップを持っていくと、ロクロウは器用に一部を伸ばし、ストローの様に飲んでいく。
器用だな、脈打ってるみたいにうねうねしてる。
「陛下が手を抜いたので文句を言いに来たのでは? と愚考致します」
「なるほど、そんなこと確かに今言ってたな」
こちらとしては全力の負ける演技だったんだけどな、真正面からやりあうとか無理、俺チート持ってないし。
最下級魔法しか使えないのに『竜狩り』とか呼ばれる女に勝つなんて無理だろ。
確かに勝てば周囲が湧くかも知れないし、一気に有名になるかもしれないが、当然却下。
俺は勇者とかでもないし、冒険者として成り上がるつもりは一切ない。
成り上がるつもりでも無理だと思うけどな、訓練してない一般人が勝つ通りは無いのだ。
それにあくまでも調査をするために街へ来たんだから、目立つ訳にもいかん。
サノーは目立ってるが……あれは良いや、他人のふり他人のふり。
それに冒険者成り立ての新人に異名持ってるような、それこそ幼い頃から冒険者してきているであろう女の子に勝つとプライドズタズタだと思うんだ。
モチベーションが喪失されてしまうと、ギルド的にも迷惑だろう。
無論、俺の手札で勝てる要素は無いんだけどな、あっちも本気は出してないとは思うんだ。
スキルとか、魔法とか使ってこなかったし、『竜狩り』と着くくらいならスキルの1つや2つ持っている筈だしな。
「なんで無視する?」
つい先程、滅茶苦茶無視されたので、八つ当たりしてやろうかと思ったとは言い難い。
「ごめんごめん、あまりにも激しい戦闘で疲れててさ、疲労で頭が回らないんだよ」
「……本当に疲れてる?」
勿論疲れている。
こちとら森らここまで半日かけて歩いて、そこから休む事なく勝負に巻き込まれてるんだぞ、今考えているのは少しでも明日の筋肉痛をどうにか和らげたい。
あ、ロクロウに包まれてみたらひんやりしてて気持ち良さそうだな、後で頼んでみよう。
「で、なんで着いて来てんの? もう用は済んだろ?」
「闘い、納得いかない。勝ちを譲られた」
バトルジャンキーか、どうして俺の周りは好戦的な奴等が多いんだろうか、お前ら全員世紀末な異世界に行くことをお勧めするよ。
因みに俺はお花畑が一杯な自然な世界に行きたいな。
「譲るって……剣を避けたのも全部まぐれなんだけど」
「うん、とても謙虚。でも騙されない、全部演技」
ジトっとした目で見つめてくる少女。
負けるまでのプロセスは演技だが、大剣をかわすのはあれ、大体まぐれなのは本当なんだが。あと謙虚じゃねえ。
「それに最後、力が殆ど流された。あれは並の人間じゃ出来ない。あなた、実力者」
うん、人間じゃないもの、魔物がやったんだもの……確かに並みではないスライムだが。
ロクロウの奴、気づかれない程度にって言ったのに殆ど流しちゃバレるだろう。
過ぎたことは仕方ないよな、まぁそのお陰で風評被害にあっているんだが。
「すみません、陛下。思ったよりも剣が鋭く、完全には流すことは出来ませんでした」
そこじゃない、完全に流すつもりだったのかこの野郎!
別に、威力弱めてくれれば良かっただけだから、実力無いのにそんな事したら怪しまれるだろうが!
「それは、きっと偶然だな。多分【暗転】と避けようとした俺の偶然により起こった現象だ」
「……そうは思わない」
「過ぎたことはいつまでも悔やんでちゃ前には進めないぞ? お前が誰だかはマジで知らないけど、上を目指すならこの程度は気にしちゃ駄目だ。おっと、新人が上から失礼した」
「わかった、そう言うことにしておく」
「じゃあ、俺は宿にでも行こうかね」
ふぅ、どうやら納得言ってくれた様だな。
よし、帰れ、今すぐ帰れ。
俺は疲れたぞ、流石に動きたくない。
宿に言ってぐっすり眠るんだ。
「陛下、確認しますが宿はとっておりませんし、今日は稼いでもおりませんよ」
「あ」
やっべ、金なし宿なしだと!?
つまり、あれか、今日は疲労しただけだと言うのか!?
骨折り損じゃん! 冒険者の登録料金で俺とサノー合わせて銀貨2枚、残りは4枚。
ぶっちゃけ相場が分からないので入れるかな? それに今は夕方になりかけだ、宿屋が空いてる保証はない。
まぁ、俺一人でも入れれば良いだろう。
サノー? 知らんよ、簡易テントでも使えば? どうせあいつの事だから最終的に受付嬢のお姉さんの家に泊まれるだろう。死ねば良いのに。
よし、急いで宿屋に行くしかねぇ!
◇◇◇
「お客さん、良かったね。一部屋空いてるよ」
「よっしゃあ!」
3軒ほど回って最後の1つが空いていた。
これは借りるしか無いだろう、あ、サノー? まだ俺に着いてこようとしたあの女の子を止めるための犠牲になって貰ったよ。
アイツの事は忘れない、将来、本の隅っこにパラパラ漫画としてその勇姿を書き綴って上げよう。
犠牲にしたことできっとクレームを入れてくると思ったので、受付嬢全員に、宿が借りれないから泊めてあげてくれとお願いしたら快く引き受けてくれた。
サノーはお金を持っていないので逃げて、宿屋に入ると言うことは不可能、俺の気遣いに感謝すると良い。
「じゃあ、飯つきで銀貨1枚だな。体拭きたかったら銅貨5枚でお湯用意してやるよ。自分で沸かせるなら料金はいらねぇけどな」
「わかった、ありがとう。飯をください」
「あいよ!」
筋肉もりもりの宿屋のおっさんはニッコリとすると奥に入っていった。
宿屋は1階が食堂になっており、結構な広さで、普通のファミレス位の広さはある。
木で作られた机や椅子も、ちゃんとヤスリなどを使っており、スベスベだ。
木がほんのりと良い香り……素晴らしい。
「何匂い嗅いでやがんだ? 変な坊主だな」
「出たな、悪者め」
「顔だけだろ!」
宿屋のおっさんが直ぐにやって来たので多少驚いたが、恐らく仕込みは終わっていてあとは善そうだけだったんだろう。
料理は野菜のスープにサラダ、パン、そして得体の知れない肉。
まぁ食べられるなら何でも良いだろう、早速……。
「奇遇、なんでこんなところに?」
「へ?」
スープを口に入れようとしたところで声がかけられた。
声のする方向を見ると……なんの因果か、狙っているのだろうか、そこに立っていたのは……。
先程の『竜狩り』だった。
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