表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/168

階層を増やそう

 目が覚めた俺はメニューの『ダンジョン』を眺めている。これはどうやらダンジョンの状態を表しているようで、簡単に言えばどこに罠が有るか、何階層になっているかなどの細かい情報が書かれている。


 因みに今の俺のダンジョンは一層しかなく、ダンジョンコア剥き出しのとびきりピンチな状態である。

 それで寝てしまった俺自身をぶん殴ってやりたい。


 今のダンジョン一層の広さは四方に500メートル程度の広さだ。

 


「部屋を増やすには『カタログ』かな?」


 カタログにはDPを使って色々な物と交換が出来る……ネット通販的な感じだろうか。

 何故か地球の物とかも載っているので頑張れば地球での暮らしが可能だと思う。

 まだ考える暇は無いけどな。


「面倒だな1個1個探すのって……カテゴリーで分けてほしいわ……あるじゃん最初から」


 1個1個探していた労力を返してほしい、DPで。

 文句を言っても仕方ない、あのくそ神に頼るだけ無駄だし、地道にやるしかないよね。


「えーと、階層を増やすのに5000DP!? 高いなぁ……いや、行けなくは無いけどさ、何このちょっと躊躇うようなお値段」


 まだ59156DP残ってる。全部使おうと思えば12層まで作れる訳だ。拡張オプションを付けるともっと高いけど、初期の階層の広さが四方500メートルだから迷路みたいにすれば広くする必要はないし、今のところは階層を広げる必要はないね。


 取り敢えずは簡単にはたどり着いてこないように2層程追加しておこう。そしてダンジョンコアは最下層の部屋にぶちこむ。


「まぁ、部屋だけ作っても歩いてたらたどり着かれちゃうんだけどねー」


 面白いことにダンジョンの機能の1つ、部屋割りと言うものがあり、階層の空間に壁や仕切りを作って完全な迷宮にすることが可能。

 やっぱりダンジョンって迷宮にしなきゃね。難攻不落って感じにしなきゃね死ねる……。


「やっぱり迷宮作りは良いとして、外の様子も見てみたい、1層は外の景色と変わらないような物にしたいな」


 冒険者等が緊張した面持ちで入ってきた後に外と変わらない景色で微妙にガッカリする光景が見たい。

 

「ちらっと見るだけなら問題無いと思うし、これで逆に襲われたら俺の運って凄いよね」


 冗談はそこまでにしてマスタールームダンジョンの1層へと移動する。

 ダンジョンマスターはダンジョン内なら何処にでも転移が出来るらしい。これなら逃げ道は約束されたもんだぜ。


「……ちょこっとだけ、ちょこっと顔出すだけなら大丈夫でしょ……」


 ダンジョンの入り口となっている場所から顔だけ出して辺りを見回す。

 何かかなり危険な魔境だったり、大陸のど真ん中ですべての国から睨まれる状況だったりと言う訳でもなく、ひたすら木が大量にある森のなかだった。


 開拓されてもいない獣道が通っているだけの森、完全に鬱蒼としていて確実に人の手が入っていないのは俺でも分かる。


「……これなら人なんて絶対に来ないよな」


 誰が好き好んでこんな森に来るのか、暫く、というか殆ど人は訪れることは無いだろう事が確認できた訳だ、安全は保証された様なものだろうな。


「と言うことは、DPは節約しなきゃね、びびって12層も作らなくて良かった」


 これでダンジョン作りに専念出来るだろう、邪魔も入らないし。というか12層なんてまずDPが足りなかった。今現在の問題は地脈以外からDPが来てくれない所かな、やっぱりダンジョンは人を入れてこそ回るんだろうね。

 経済と一緒だな。多分。


 取り敢えず一層は結構雑に作っても問題ないだろう。森を配置するだけだし、手入れとかも要らないだろうし。

 微妙な気分になるだろうね、洞窟を発見したと思えば中は入る前と同じ景色の森とか。


 2層は……どうするかな。

 考えが思い付かないのでここからは時間稼ぎの迷宮にしておこう。3層しかないからあっという間に攻略される訳には行かない、無駄に複雑にしてやるぜ。


「ははは! これで俺のダンジョンは無敵! ……何て言うことはない。油断してたら死ぬって、注意しないとね」


 1人芝居はこの辺にしておいて、3層目はどうしようかな、ここはコアが剥き出しなんだよな……そうだ!


 

「まぁこんなもんだよな、完成試写会が来るのがいつになるかは知らないけど……けどダンジョンって設定弄るのにもDPがいるんだなぁ」


 まさか森の配置でそこそこむしりとられた。そこはまだ良いんだけど、迷宮エリアの場所に罠仕掛けまくってたら結構減った。でも仕切りなんかは0DPで有りがたかったね。


 最初は階層を上に伸ばしてやろうかと思ったけど無理だった。意味わからないよね、仕方ないから地面に伸ばしての3層となっている。


 迷宮は殺傷能力は高いけれど見破られたら終わりと言うのが問題だよね、使い捨てってダルい。森にもある程度は罠仕掛けてあるけど落とし穴とかその程度だし、それくらいは予想して来ると思うんだよね。


 残りのDPは色々あって23466、最初の森エリアはお遊び、本命は迷宮エリアの方だ。最悪な仕掛けから面白い仕掛け、ただひたすらやる気をなくす仕掛けなど様々だ、ぜひ楽しんでほしい。ただしお客と言う名の冒険者が来なければこのテーマパークは無意味に終わる。


「来てほしくないけど来てほしいってだいぶ矛盾してるよね」


 1人で薄ら笑いを浮かべながら実装を待つことにしよう。


 ……俺が直接行こうかな、あ、ダメだ。死ぬ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ