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突然魔法少女? 96

 そこには火炎の玉を目の前に展開するシャムの姿が写っていた。

『森、木々、命のすべて!私に力を貸して!』 

 そう叫ぶとシャムが杖を振り下ろす。何度か変則的に曲がって飛ぶ火の玉。そしてその周囲の空間がそれ自体が燃えているように画面を赤く染める。

『なんだと!これは……うわー!』 

 そう叫んでイッサー大尉こと要はその火炎を受け止めるべく鞭を握って結界を張るが、勢いに負けて吹き飛ばされて崖へ追い詰められる。

『こんな……こんな筈では……私ともあろうものが……』 

 あちこち焦げてコスチュームが非常にきわどい姿を晒す。それにあわせて画面にさらに近づく楓と渡辺。誠は二人に呆れながらおはぎを口に運ぶ。

『私が……負ける……?』 

 アップにされた要の姿を良く見ると腕やふくらはぎから機械の様な色を放つ内部構造が見える。

『そこまでだ!機械帝国の手先め!』 

 突然要のわき腹のむき出しの機械の部分に猟銃を突きつける明石。あまりに唐突な登場に誠は目を覆った。

「これもアイシャの狙いか?」 

 再び口におはぎを持っていきながら嵯峨が誠に尋ねてくる。誠はさすがにこの展開はないだろうと思ってただ苦笑いを浮かべるだけだった。そんな状況を知らないだろう要ことイッサー大尉は静かに手にしていた鞭を投げ捨てた。

『おじさん!その人から離れて!』 

 そこにシャムが現れる。彼女が要に止めを刺そうとしていると思って手を握り締めて画面を見つめる楓と渡辺。

『駄目だ!こいつはこの世界を崩壊に導く機械だ!壊してしまわなければ』 

 そう言って猟銃の引き金に指をかける明石。だが、シャムから放たれた小さな火の玉に銃を取り落とす。

『イッサー大尉。本当にそれで良いの?世界を機械で埋め尽くして……それが願いなの?』 

 歩み寄るシャムに再び鞭を取ろうと立ち上がろうとするが、腕や足から機械音がするばかりで体を動かせずにいる要。

『シャム!近づいたら!』 

 小夏の制止を無視して歩いていくシャム。要の腕や足から煙が上がる。

『大丈夫、あなたを壊したりしないわ』 

 そう言うとシャムの両手に暖かいクリーム色の球体が浮かぶ。それはゆらゆらとゆれて要の壊れた体を修復していく。

「便利だねえ。俺も魔法使えないかな?」 

 そう言いながら明らかに無理をしておはぎを口にねじりこむ嵯峨。

『情けを……貴様……敵に情けをかけたつもりか?』 

 悔しそうに唇を噛む要。なぜか出てきた猟師っぽい明石が再び銃を手にしてイッサー大尉に向ける。

『この借りはいつか返すぞ!』 

 そう言って消える要。そのまま森に残されたシャムと明石は顔を見合わせていた。

「すごい組み合わせだな」 

 おはぎを手に取るとカウラは呆れたようにそう言った。

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