表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/160

突然魔法少女? 94

 ランの右の握りこぶしが掲げられた場面が転換して夜のような光景になった。懐中電灯を照らしながら山道を歩くシャムと小夏が見える。

『魔法を使っちゃ駄目なの?』 

 肩に乗った手のひらサイズの小熊のグリンにたずねるシャム。

『だーめ!勝負を決めるのは魔法の力だけじゃないんだ。瞬間的な判断力や機転、他にも動物的勘や忍耐力。まだまだ魔法以外に学ばなければならないことが一杯あるんだよ』 

『うーん。アタシは難しいことは分からないけど……』 

 そう言って苦笑いを浮かべるシャム。そのシャムの言葉に画面の前に居る誠達が一斉に頷いた。シャムが難しいことがわからないのはいつものこと、そう言う思いが画面の前の人々に同じ行動を取らせることになった。

『つまり私達自身が強くならなきゃ駄目ってことね』 

『そう言うこと。それにこの森の波動は僕が居た魔法の森の波動と似ているんだ。きっと修行には最適の場所だよ!』 

 そう言いながら二人は山道を進む。そして画面が切り替わり、夜中だと言うのにサングラスをかけた大男が映し出される。

「あ、明石中佐ですね。来てるんですか?」 

 蛍光オレンジのベストに手に猟銃を持った明石清海中佐の姿がアップで映る。

「ああ、何でも管理部の提出資料の確認に来たらしいんだがアイシャに捕まってな」 

 カウラの言葉に納得しながら誠は画面の中の明石を見ていた。

『この気配……』 

 そう明石が言うとすぐに画面は広場に出たシャムと小夏が映し出される。

『じゃあいいかい。まず目を閉じてごらん』 

 グリンの言葉でシャムと小夏は目を閉じる。シャムの視界のイメージ。真っ暗な世界。

『君達には見えるはずだよ、この森の姿が。そして生き物達の波動が!』 

 その言葉が終わるとシャムの視界を表現していた真っ暗な画面が白く光り始める。光の渦は木の形、草の形、鳥の形、獣達の形。さまざまに変化を遂げながら中心で微笑む全裸のシャムの心のイメージを取り巻くように流れていく。

『そう!そうすれば分かるはずだよ。そしてそうすれば生き物達の力が君達に注がれるんだ』 

 グリンの言葉とともにシャムの姿はさまざまな森の生き物達に取り巻かれるようにして森の上空へと飛び立っていく。

『見つけたぞ!熊っころとおまけ共!』 

 突然響いたのは要の声だった。現実に引き戻されたシャムと小夏はもみの木の巨木の上に立つ女性の影に目を向けた。それはランではなく胸の膨らみを強調するような衣装を纏った魔女の姿だった。

「ああっお姉さま!」 

 画面の中で月の光に照らされながらもみの木の枝に立って唇を舐め上げるタレ目の女幹部の表情が拡大されていた。そんな悪女の表情を作る要を楓が頬を染めて見入っている。

「やっぱり鞭ですか、武器は」 

 渡辺も興奮気味に画面に吸いつけられる。カウラと誠は二人の上昇していくテンションについていけないというように顔を見合わせた。

「おい、あいつ嫌だとか言ってた割にはのりが良いな」 

 そう言って茶を啜る嵯峨。春子は空になった嵯峨の湯飲みに緑茶を注ぎながら様子を伺っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ