表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/160

突然魔法少女? 80

「あ、えーと。あの」 

「大丈夫!私達、口重いから」 

 そう言って島田を押しのけて迫ってくるサラの赤い目に思わず引き下がる誠。それを白い目で見るパーラ。

「やめといた方が良いわよ。どうせ話したりしたら三十分後にはあの三人が殴りこんでくるわよ」 

 パーラは呆れたようにそう言うとそのまま立ち上がる。

「何よ!パーラちゃんだって気になるんでしょ?失敗経験もあるし……」 

 そこまで言ってサラはパーラの顔色が曇るのを見て口をつぐんだ。

 保安隊の運用艦『高雄』の機関長、別名『新港の種馬』鎗田司郎大尉とのどろどろした愛憎劇というものがあると聞かされている誠もサラの失言に思わず彼女の顔を見た。

「ごめん、パーラ」 

 思わずうなだれるサラ。島田がそっと彼女の肩に手を乗せる。

「悪気があるわけじゃないんだから……」 

「良いのよ、気にしないで」 

 そう言ってパーラは顔を上げて誠を見つめる。明らかにその瞳には殺気が篭っている。パーラの話でうまいこと逃げられると踏んだ誠の思惑とは違う方向に話が転がりそうで思わず背筋に冷たいものが走る。

「無理よね。神前君は優しすぎるから言い出せないんでしょ?」 

 とつとつと語るパーラ。島田とサラの視線が容赦なく誠に突き刺さる。

「あの、別に好きとかそう言うことじゃなくて……」 

「なんだよいつも一緒にいるとき良い顔してるだろ?」 

 友達路線を主張しようとした矢先に島田に釘を刺されてまた誠は黙り込む。

「そうだ!誰が一番神前君のことが好きかで選べば良いんじゃないの?」 

 サラがいかにも良いことを思いついたと言うように叫ぶ。だが、島田もパーラもまるでその意見に乗ってくる様子は無い。

「西園寺大尉が選ばれなければ血をみるだろうな」 

「意外とアイシャも切れるとすごいのよ。それに溜め込んでいるだけカウラもすごいことに……」 

 島田とパーラが今度は同情するような視線で誠を見つめる。

「そんな怖いこと言わないでください……」 

「パーラ!帰るわよ!」 

 またドアをいきなり開いて入ってきたのはアイシャだった。ニコニコ笑いながらずかずかと島田の部屋に入り込みパーラの肩を叩くアイシャ。

「話し合いついたんですか?」 

「当然よ。今回の件はすべて誠ちゃんの責任と言うことで、誠ちゃんに払ってもらうことになったから!」 

 そう晴れ晴れとした表情で言うアイシャに誠は泣きそうな目を向ける。

「アイシャさん……僕、何か悪いことしましたか?」 

 涙目で泣きつこうとする誠だが、アイシャはまるで誠を相手にしていないと言うようにパーラの肩を叩きながら出発を促した。

「まあがんばれ」

 島田はそう言うと立ち上がる。サラとパーラは同情する瞳を投げながら再び隊に戻るべく立ち去ろうとする。誠は一人島田に付き添われてそのまま廊下に出た。島田が部屋に鍵をかける。それを見ながら涙がとまらない自分に呆れる誠だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ