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突然魔法少女? 79

「盛り上がっているところ大変申し訳ないんですが……」 

 そう言って現れたのは島田正人准尉だった。技術部整備班長であり、この寮の寮長である彼の介入はある意味予想できたはずだが、誠はその威圧するような瞳にただたじろぐだけだった。

「おう、島田。こいつがドアぶち破ったから何とか言ってやれ!」 

「島田君、誠君を襲おうとした要ちゃんから守ってあげただけよ」 

 突っかかる二人を抑えながらそのまま誠に近づいてくる島田。

「もう少し配慮してくれよ。俺にも立場ってものがあるんだから」 

 誠の耳元でそう囁くと島田は倒れたままの誠を起こした。

「別に俺も隊長とおんなじで野暮なことは言いたくないんですがね」 

 そう言って場を収めようとする島田だが、要は不服そうに彼をにらみつけた。

「まあ、オメエとサラの関係からして当然だな」 

「要ちゃん!」 

 野次馬の後ろにサラの赤いショートカットの髪が揺れている。

「ああ、すいません。ベルガー大尉!そこに集まってる馬鹿共蹴散らしてくださいよ!」 

 島田のその声にカウラが手を出すまでも無く野次馬達は去っていく。そこに残されたのは心配そうに誠を見つめるサラの赤い瞳と汚いものを見るようなパーラの青い瞳だった。

「問題になってるのはこいつでしょ?ちょっと説教しますから借りていきますよ。まあこのドアの修繕費についてはお三方で話し合ってくださいね」 

 そう言うと誠の襟首をつかみ上げて引きずっていく島田。要とアイシャは呆然として去っていく誠を見送っている。

「ああ、ベルガー大尉も同罪ですから。きっちり修理代の何割か支払ってくださいよ」 

 ドアに寄りかかっていたカウラも唖然として誠を連れ出す島田、サラ、パーラを目で追っていく。そのまま誠は階段まで連行され、要の部屋から見えない階段の裏でようやく開放された。

「ちょっと俺の部屋に来い」 

 島田はそのまま誠についていくように促して階段を下りる。日のあたらない西向きの管理人室が島田の部屋だった。元が管理人室というだけあって質素なドアを開けると、中にはバイクや車の雑誌が積まれている机と安物のベッドが置いてあった。

 そのまま誠は付いてきたサラとパーラに押し込まれるようにして島田の部屋に入った。

「まあ、そこに座れ」 

 島田は和やかな面持ちで誠にそう告げる。サラとパーラの痛い視線を受けて誠は島田に促されるままに座布団に腰掛ける。

「まあ、なんだ。お前さんが悪いと言うことは確定しているから置いといてだ……」 

 そう言うと島田は急に下卑た表情に変わる。

「誰が一番なんだ?」 

 誠はしばらく島田が何を言いたいのか分からなかった。

「神前君、教えてよ。ね?」 

 興味津々と言った表情で赤い髪をなびかせて顔を近づけてくるサラ。

「あんた達本当に似たもの夫婦って……ああ、夫婦じゃないわね」 

 呆れたように状況を観察しているパーラ。誠はただ島田とサラに言い寄られて苦笑いを浮かべていた。

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