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突然魔法少女? 74

 全員の視線を受けてよたよたと歩き出すカウラ。彼女はそのまま春子が持っていた盆を引っ張って取り上げるとそのまままっすぐにレベッカと西のテーブルにやってくる。

「おきゃくひゃん。つきだしですよ?」 

 そう言って震える手で二人の前に突き出しを置く。

「……どうも……」 

 そう言ったレベッカを今度は急に涙目で見つめるカウラがいた。

「どうも……ですか。すいましぇんねー。わたひは……」 

 そのまま数歩奥の座敷に向かう通路を歩いた後、そこに置かれていたスリッパに躓いて転んだ。自然と誠はカウラのところに駆け寄っていた。

「大丈夫ですか!」 

「誠……このまま……」 

 そこまでカウラが言ったところで要が立ち上がる。誠は殺気を感じてそのままカウラを二階へあがる階段のところに座らせる。

「おい!神前、帰るぞ」 

 そう言うと要は携帯端末をいじり始めた。

「でも運転は……」 

「だから今こうして代行を頼んでるんだろ?……はい、運転代行を頼みたいんですが……」 

 あっさりと帰ろうと言い出した要のおかげで惨事にならずに済んだということで胸をなでおろす春子。そして彼女にたこ焼きを注文する西。

 誠はただ呆然と彼等を眺めた後、カウラに目を向けた。彼女の目はじっと誠に向けられている。エメラルドグリーンの瞳。そして流れるライトグリーンのポニーテールの髪に包まれた端正な顔立ちが静かな笑みを浮かべていた。

「おい!もうすぐ到着するらしいから行くぞ!それとカウラはアタシが背負うからな」 

 有無を言わせぬ勢いで近づいてきた要はカウラを介抱している誠を引き剥がすと、無理やりカウラを背負った。

「なにするのら!はなすのら!」 

 暴れるカウラ。女性としては大柄なカウラだが、サイボーグである要の腕力に逆らえずに抱え上げられる。

「じゃあ、女将さん!勘定はアイシャの奴につけといてくれよ!」 

 そう言うと、突き出しをつつきながら談笑しているレベッカと西を一瞥してそのまま店を出て行く要。誠は一瞬何が起きたのか分からないと言うように立ち尽くしていたが、すぐに要のあとを追った。

「別に急がなくても良いじゃないですか。それにカウラさんかなり飲んでるみたいですよ。すぐに動かして大丈夫なんですか?」 

 抗議するように話す誠を無視するように要はカウラのスポーツカーが止まっている駐車場を目指す。

「こいつなら大丈夫だろ?生身とはいえ戦闘用の人造人間だ。頑丈にできてるはずだな」 

「うるはいのら!はなすのら!」 

 ばたばたと暴れて要の腕から降りたカウラはそのままよたよたと駐車場の中を歩き回る。

「まったく酔っ払いが……」 

 要はそう言うと頭を掻きながらカウラを見ていた。

「こいつもな、もう少しアタシのことを気にせずにいてくれると良いんだけどな」 

 ポツリとつぶやく要。

「要さん?」 

「なんでもねえよ!……すぐ来るって話だったけど遅いな!」 

 間が持たないというように腕の時計をにらみながら要がそう言ったところで運転代行の白いセダンが駐車場の入り口に止まった。

「誠、そいつから鍵を取り上げろ」 

 要の言葉に従って、枯れ草を引き抜いているカウラに誠は近づいていった。

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