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突然魔法少女? 73

「それは無いんじゃないかな?確か二人の付き合いは『東都戦争』のころからって聞いてるけど、見ていてリアナお姉さんみたいな兆候もなにも……」 

「鈍いねえ小隊長殿は」 

 首をひねるカウラを笑いながら酒を飲む要。だが、そんな要の表情が不意に険しくなった。

「オメエ等、黙ってろ」 

 そう言うと要は忍び足で外に暖簾のはためくガラスの引き戸へ向かう。

「要、何やってるの?」 

 着替えてきたシャムに静かにするように人差し指を立てる要。いつもなら突込みを入れる猫耳セーラー服姿のシャムをちらっとだけ見て頭を抱えた後、そのまま扉に手をかける。

 急に開いた引き戸。暖簾の下で一瞬、男女の影が映った。そのまま飛び出して追っていく要。

「まったく何がしたいんだ、あいつは」 

 そう言いながら空の烏龍茶のコップにラム酒を注ぐカウラ。明らかに間違えている彼女の行動を注意しようとする誠だが、入り口付近で騒ぐ声に気を引かれて黙り込んでしまった。

「ごめんなさい!ごめんなさい!」 

 気の小さい技術部の技師、レベッカ・シンプソン中尉が謝っている姿が誠達の目に飛び込んでくる。

「良いじゃないですか!僕達がどこで食事しようが!」 

 同じく技術部整備班の最年少である西高志兵長が口を尖らせて襟をつかんでいる要に抗議していた。

「色気付きやがってこの熟女マニア!何か?19で酒飲んでいいのか?ここは胡州じゃないぞ、東和だぞ。お酒は二十歳になってからだぞ!」 

 要の声にしゅんとなる西。眼鏡をいじりながら身なりを整えたレベッカは一瞬だけ勇気を出して要をにらみつけようとするが、威圧感では隊でも屈指の要の眼光に押されておずおずと視線を落とす。

「そんな……僕達はまじめにお付き合いを……」 

「西。オメエ19だろ?で、レベッカが28……そんなに胸がでかい女が好きなのか?」 

 意味ありげな瞳を向ける要の後頭部をシャムが蹴飛ばした。

「だめだよ!要ちゃん。愛に決まりなんて無いの!それに要ちゃんも28で誠ちゃんが23でしょ?大して変わらないじゃないの!」 

 頭をさすりながらシャムに目を向ける要。その目は明らかに泳いでいた。

「な、何馬鹿なこと言ってるんだ?アタシがあのオタクが好き?そ、そんなわけ無いだろうが!」 

 あまりにも空々しい否定。声がひっくり返っての弁明。その姿に一同はただ生暖かい視線を向けた。

「はい、はい、はい。ご馳走様ですねえ、外道。お母さん!お客さんだよ!」 

 シャムとそろいの猫耳セーラー服にエプロンをつけた姿の小夏が厨房に消えていく。レベッカと西も愛想笑いを浮かべながらシャムに引っ張られて誠達の隣のテーブルに向かい合って座った。

「酒は……やめておけ……よ」 

 カウラが一語一語確かめるようにして口にするのを見た誠と要は、空だったはずの烏龍茶のコップになみなみと琥珀色の液体が満たされているのに気づいた。

「おい!お前、勝手に人の酒飲むんじゃねえよ!」 

 そう叫ぶ要をとろんとした目で見つめるカウラ。その様子に気づいてレベッカと西もカウラに目を向ける。

「大丈夫なんですか?アイシャさんもそうですけど『ラストバタリオン』の人ってあんまり飲めないんじゃ……」 

 そう言う西をじっと見つめるカウラ。だが、すぐにその瞳はレベッカの豊満な胸へと集中していった。

「……なんで私は……」 

 うつむくカウラ。誠も要もどう彼女が動くのかを戦慄しながら見つめていた。

「あら、西君。また来たの……って要さん!」 

 春子が明らかにおかしいカウラを見るとすぐに圧迫するような感じで要に目を向けた。

「アタシじゃねえよ!こいつが勝手に飲んだんだよ!」 

 そこまで要が言ったところでカウラは急に立ち上がった。

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