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突然魔法少女? 68

「オメエが何でこいつの彼女なんだ?」 

 カウラを指差す要。誠は台本の役の説明に目を落とす。

『南條カウラ、ヒロイン南條シャムの姉。父、南條新三郎の先妻の娘。大学生であり神前寺誠一(神前誠)と付き合っている』 

 自然と誠の目がカウラに行く。カウラもおどおどしながら誠を見つめた。

「アイシャ。さっき自分が神前の彼女の役やるって言ってなかったか?」 

 大声で叫ぶ要に長い紺色の髪の枝毛をいじっているアイシャ。

「そうよ、そのつもりだったけどどこかの素直じゃないサイボーグが反対するし、どうせ強行したら暴れるのは目に見えてるし……」 

「おい、誰が素直じゃないサイボーグだよ!」 

 叫ぶ要を全員が指差した。ランに助けを求めようとするが背の低いランは要の視界から逃げるように動いた。

「神前!テメエ!」 

「なんで僕なんですか?」 

 誠はずるずると後ずさる。要はアイシャ達から手を離してそのまま指を鳴らしながら誠を部屋の隅に追い詰めていく。

「オメエがはっきりしないからこうなったんだろ?責任とってだな……」 

 そこまで言ったところで要の動きが止まる。次第にうつむき、そのまま指を鳴らしていた手を下ろして立ち尽くす要。

「あ、自爆したことに気づいたね。誠ちゃんがなにすれば許すのかなあ」 

 小声でシャムがランに話しかける。

「そうだな……なんだろな。やっぱりアホだろこいつ」 

「だから面白いんですよ中佐殿」 

 そうランに言ったアイシャの顔面に台本を投げつける要。

「ったく!やってられるかよ!」 

 そのまま要は走って部屋を飛び出していく。

「あーあ。怒らせちゃった。どうするの?アイシャちゃん。このお話、要ちゃんの役はやっぱり要ちゃんじゃないと似合わないわよ」 

 シャムの言葉にアイシャは台本をぶつけられて痛む頬をなでながら苦笑いを浮かべる。

「市からの委託事業の一つだからな。一応これも仕事だぞ。神前、迎えに行け」 

 小さな魔女の姿のランがそう誠に命令する。小悪魔チックな少女が軍の制服の誠を見上げて命令を出すと言う極めてシュールな絵に見えたが、誠には拒否権が無いことに気づいた。

「じゃあちょっと……」 

 そう言って頭を下げると誠は部屋を出て廊下に飛び出した。そして誠は立ち止まった。

『要さんの行きそうなところ……』 

 誠には見当も付かなかった。要はそのきつい性格からあまり他人と行動することが少ない。カウラやシャムと一緒にいるのはだいたいが成り行きで、誠も時々いなくなる彼女がどこにいるのかを考えたことは無かった。

「とりあえず射場かな」 

 そう思った誠はそのまま管理部のガラス張りの部屋を横目にハンガーの階段を下りる。整備員の姿もなく沈黙している05式を見ながらグラウンドに飛び出した。

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