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突然魔法少女? 65

「キムは小火器管理の責任者だろ?そしてうちの部隊の銃器の多くが隊長の家から持ってきた骨董品を使ってるわけだ」 

 そう言ってカウラは腰の拳銃を取り出す。SIG226。二十世紀末にドイツで開発された拳銃ということは嵯峨から聞かされていた。誠はベッドの横に置かれた自分のベルトを見てみる。そこにはP06パラベラムピストル。こちらにいたっては二十世紀初頭の銃である。

 そしてこの二つの銃の弾は同じ9mmパラベラムと言う規格のはずだが、キムには絶対にカウラの銃の弾は使うなと誠は言われていた。キムに言わせると誤作動の原因になるという話だった。

「銃は動作部品の集合体だ。ちょっとしたバランスで誤作動を起こすからな。弾薬も使用する銃にあわせて調整したものが必要なんだ。特にお前のP06はかなり神経質な銃だ。市販品の弾を使おうものならかなりの確立で薬莢が割れたり引っかかったりする誤作動を起こすだろうな」 

 カウラはそう言うと誠のP06を手に取りマガジンを抜く。手にした弾薬を誠の前に見せ付けた。

「傷がありますね」 

 誠の目の前の弾丸の薬莢には引っかいたような跡が見えた。

「ああ、これは一回使用した薬莢を回収して雷管を付け直して再生したものだ。P06を市販の同じ規格の弾薬で発射したらどうなるかはキムに聞いてくれ」 

 そう言ってカウラは再びマガジンに弾薬を押し込もうとするが、その強すぎるマガジンのスプリングでどうしようもなくなった。カウラはいったん手にした弾丸を誠に渡して力を込めて弾丸を押し、ようやく隙間を作って装弾する。

「もしかしてその作業を……」 

「延々一時間。薬莢に雷管を取り付け、火薬を計って中に敷き詰め、弾丸を押し込んで固定する。それだけの作業を映し続けたんだ」 

 ドムが苦々しげにつぶやいた。確かにそのような映画は見たくは無かった。しかも一応保安隊の仕事のひとつであることには違いないだけに誠も頭を掻きながら愛想笑いを浮かべるしかなかった。

「で、今度はどれになったんだ?ファンタジーとか、うちの子供が好きでね」 

「魔法少女ですよ」 

 誠の言葉にドムは表情を失う。

「アイシャの奴か?」 

 次第にいつもの不機嫌な調子に戻るドム。カウラは黙ってマガジンをはずした誠のP06を点検している。

「はあ、シャムさんがヒロインでライバルがランさんだとか」 

 誠の言葉に腕を組みしばらく考えるドム。

「吉田に期待だな。あいつ傭兵時代にはフリーの映像作家も兼業でやってたとか言う話も聞くしな」 

 投げやりなドムの言葉に誠は意表を突かれた。

「映像作家ですか?あの人が?」 

「俺もまた聞きだけど傭兵だって戦争が無い状態でも飯は食うからな。それにあいつの高性能の義体のメンテにどれだけの金がかかるか……それなりに稼げる仕事じゃないと生きていけないってことだろ?」 

 カウラが誠の首に湿布を貼るのを見終わるとドムは再び机の上の書物に目を向けた。

「もう平気だろ?西園寺を放置しておいたら大変だからとっとと行ってこいよ」 

 ドムの言葉を背中に受けると誠はすばやく置いてあった勤務服の上着とベルトを手にしてカウラとともに医務室を出た。

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