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突然魔法少女? 57

「ああ、今日はだな……ちょっと隊に用事があって……」 

 不安そうな誠を見ながらつぶやく要。そのうろたえた調子に笑みを浮かべた楓が輝くような笑顔を浮かべて要に歩み寄ってくる。

「もしかして訓練とかなさるんですか?僕も入れてください!」 

「いや、そう言うわけじゃねえし……」 

 楓に迫られる要が助けを求めるように誠を見つめる。その気配を察して楓が睨みつけるような視線を誠に向ける。誠はただ冷や汗が額を伝うのを感じながら箸を握り締めた。

「嵯峨少佐、ちょっと僕達はアイシャさんの手伝いがあって……」 

「ああ、神前曹長。クラウゼ少佐の手伝いですか……それじゃあ僕達も手伝います!」 

 あっさりと答えてさらに要の手をしっかりと握り締める楓。要は誠がまったく頼りにならなかったことに呆然としながらじりじりと顔を近づけてくる楓に耐えていた。

「おい!そんなくっつくな!息がかかるだろ」 

「僕は感じていたいんです!お姉さまの吐息や鼓動や……」 

 百合的展開に食堂の男性隊員の視線が泳ぎながらちらちらと要と楓を見ているのがわかる。それを見ながら自分に刺さる視線の痛さに頭をかく誠。

「要、貴様の負けだ」 

 いつの間にか要と楓のそばに立っていたカウラの一言に楓の顔が笑みに占められる。島田が冗談で言い出したことから誠が会長にされていた保安隊ポニーテール萌え協議会が押す二大ポニーテールのカウラと楓。そんな二人がそろって自分に視線を向けるのを感じて誠の鼓動が高まった。

 エメラルドグリーンの髪を質素な緑色のバンドで巻いたカウラのポニーテール。戦国時代の姫武将と言った感じに白い布で後ろ髪をまとめ、両のこめかみから垂れる髪を白い髪留めでまとめた和風の楓のポニーテール。ギャルゲーではポニーテールのヒロインを最初に攻略することに決めている誠にとっては天国ともいえる状況だが、周りの視線がその喜びを完全に打ち消す効果を発揮していた。

「なに?手伝いに来てくれるの?」 

 いつの間にか戻ってきたアイシャまでもじっと見つめあう要と楓を眺めている。

「ああ、アタシは心が広いからな。神前も結構やる気みたいだし」 

「え?僕が」 

 要の言葉に唖然とする神前だが、目の前の女性陣の視線が恐ろしくて誠はただ頷くしか出来なかった。

「じゃあ、朝食ね。それとカウラちゃんの車は四人しか乗れないから……」 

「私の車がありますから」 

 黙って状況を見守っていた渡辺の言葉にアイシャが満足げに頷く。

「そうね、それじゃあ楓ちゃんはかなめちゃんの車で移動。私達はカウラの車で四人と。足の確保とスタッフの確保は完了。それじゃあ朝食にしましょう。楓ちゃん達は食べたんでしょ?ああ、お腹すいちゃった、さっき誰かさんが追い回したりするから」 

 そう言いながらカウンターに向かうアイシャ。両手を広げてお手上げと言うようなしぐさをしてその後ろに続くカウラ。すっかり主導権をアイシャにとられて、ただ不味そうに味噌汁をすする要に誠は同情するような視線を向ける。

「ちょっと休日つぶれてしまいましたね」 

「何が悲しくて非番の日に隊に行かないといけねえんだよ」 

 ぶつぶつとつぶやきながら要が味噌汁を飲み干す。島田とサラはそんな要を同情の視線で見守っていた。

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